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「幼なじみは最強なのに、俺だけ無能だと思われていたが――実は“規格外”の力に誰も気づいていない」  作者: まちゃ粉
残された世界

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第24話「崩壊の臨界点」

——歪む。

 視界が、音もなく引き裂かれていく。

 黒が膨張するたびに、世界そのものが“耐えきれない”と悲鳴を上げていた。

「くっ……!」

 レオが踏み込み、剣を叩き込む。

 だが。

 ——ズブリ

 嫌な感触。

 斬ったはずの刃が、“沈む”。

「またかよ……!」

 押し返される。

 重い。

 いや、重さじゃない。

 “拒絶されている”。

「レオ、下がれ!」

 レイの声。

 同時に、地面に刻まれた紋が淡く光る。

「展開——!」

 魔力が広がり、黒の一部を“固定”する。

「今だ、そこは干渉できる!」

「チッ、最初からそう言え!」

 レオが踏み込む。

 狙いは一点。

 黒に覆われた“サクヤの胸部”。

「そこにいるんだろ——!」

 剣が、振り抜かれる。

 ——バキィン!!

 確かな手応え。

 黒が弾ける。

「やったか……!?」

 その瞬間。

 ——ドクン

 嫌な鼓動。

「……違う」

 レイが呟いた。

「来るぞ——!」

 黒が、“収縮した”。

 次の瞬間。

 ——爆ぜる。

「ぐぁっ!!」

 衝撃波。

 レオの体が吹き飛び、地面を転がる。

「レオ!!」

 リンが叫ぶ。

「……っ、まだだ!」

 無理やり立ち上がる。

 だが。

 足が、震えている。

 その隙を——

 黒は、見逃さなかった。

 ——ズンッ

「っ……!?」

 見えない一撃。

 レオの体が、真横に弾き飛ばされる。

 鈍い音。

 壁に叩きつけられる。

「……が、は……」

 呼吸が止まる。

「レオ!!」

 リンが駆け寄ろうとする。

「来るな!!」

 叫び。

 その直後。

 さっきまでレオがいた場所が、抉れた。

「……っ」

 リンの足が止まる。

 一歩でも遅れていたら——

「くそ……」

 レイが舌打ちする。

「出力が上がっている……さっきの比じゃない」

 視線の先。

 サクヤの姿は、ほとんど黒に呑まれていた。

 人の形を保っているのが、奇跡のような状態。

「……リン」

 かすかな声。

「……サクヤ!」

「……来るなって、言ってる……」

 苦しそうな声。

「もう……抑え、きかねぇ……」

 黒が、脈打つ。

 明らかに、“限界”。

「……レイ」

「聞こえている」

「……今なら、まだ……」

 一瞬の沈黙。

「終わらせられる」

 その言葉に。

「やめて……!」

 リンが叫ぶ。

「そんなの、絶対ダメ!!」

「……リン」

 サクヤの目が、わずかにこちらを向く。

「……悪いな」

 その瞬間。

 黒が、完全に“反転”した。

 ——ゴォォッ!!

 圧が変わる。

 さっきまでとは別物。

「……っ、段階が変わった……!」

 レイの顔が歪む。

「完全侵食に入る!」

「何それ……」

「ここから先は——」

 言いかけて、止まる。

 説明するまでもない。

 見れば分かる。

 ——終わる。

 このままでは。

 全部。

「……チッ」

 レオが、血を吐きながら立ち上がる。

「まだ……終わってねぇだろ……」

 ふらつく足。

 それでも、剣を構える。

「レオ……もう無理だ!」

「うるせぇ……!」

 一歩、踏み出す。

「ここで引いたら……マジで終わりだろうが……!」

 その瞬間。

 黒が、“狙いを変えた”。

 向いた先は——

「……リン!?」

 一直線に、迫る。

「しま——」

 間に合わない。

 レオも、レイも。

 距離が、足りない。

 黒が、リンを呑み込もうとする——

 その瞬間。

「……やめろォォォ!!!」

 叫び。

 サクヤの声。

 黒が、一瞬だけ“止まった”。

「……っ!?」

 全員が目を見開く。

「……リンに……触るな……」

 震える声。

 その奥に、確かにあった。

 サクヤの意志。

 だが——

「……限界だな」

 レイが低く言う。

 止まっているのは、一瞬だけ。

 すぐに崩れる。

「このままじゃ、次は防げない」

「……っ」

 リンが、前を見る。

 サクヤを。

 その中にいる“彼”を。

「……まだ、いる」

 小さく呟く。

「サクヤは、まだいる」

 拳を握る。

「だったら——」

 一歩、踏み出す。

「リン、やめろ!!」

 レオの叫び。

 それでも、止まらない。

「今行かなきゃ、もう戻れない」

 真っ直ぐに、進む。

 黒が、再び動き出す。

 止まらない。

 止められない。

 それでも。

「サクヤ!!」

 手を、伸ばす。

 その瞬間——

 黒が、すべてを呑み込んだ。

 ——視界が、消える。

「リン!!」

 叫びが響く。

 だが、届かない。

 世界は、完全に黒に閉ざされた。

 そして。

 静寂。

 残されたのは。

 立ち尽くす、二人だけだった。

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