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「幼なじみは最強なのに、俺だけ無能だと思われていたが――実は“規格外”の力に誰も気づいていない」  作者: まちゃ粉
残された世界

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第22話「ぶつかる意志」

——ピシッ

 再び、空間に亀裂が走った。

「……また来た」

 リンの声が、わずかに震える。

 あの感覚。

 間違いない。

「サクヤ……」

 無意識に、一歩踏み出す。

「待て、リン!」

 レオが腕を掴んだ。

「近づくな」

「でも——」

「ダメだ」

 強い口調だった。

「さっきので分かっただろ。あれは危険すぎる」

 その時。

「……今だな」

 レイが、静かに言った。

「は?」

「接触するなら、今しかない」

「ふざけんな」

 レオの声が低くなる。

「また引き込まれたらどうする」

「可能性はある」

 レイはあっさり認める。

「だが、この不安定な状態なら“干渉できる”」

「リスクの話してんだよ!!」

 怒鳴り声が響く。

「リンが戻ってこれなかったら終わりだろうが!!」

「だから俺が行く」

 即答だった。

「……は?」

「リンじゃなく、俺が接触する」

 空気が止まる。

「お前……」

「観測と干渉を同時にやる」

 冷静に続ける。

「もし危険なら、切り離す」

「簡単に言うなよ」

 レオの手が、剣にかかる。

「相手はサクヤだぞ」

「分かってる」

「分かってねぇよ」

 一歩、踏み出す。

「“切る”って選択肢を持ってる時点でな」

 沈黙。

 レイも、一歩前へ出る。

「必要なら切る」

 はっきりと言った。

「それで被害が防げるなら」

 空気が凍る。

「……やっぱりそうかよ」

 レオの目が、鋭くなる。

「お前はそういうやつだよな」

「合理的と言え」

「冷てぇだけだろ」

 ——ギン

 剣が、わずかに抜かれる。

「それ以上言うな、レイ」

「止める気か?」

「当然だ」

 殺気が混じる。

「リンを巻き込むやり方は認めねぇ」

「なら、お前は何もしないのか」

「タイミングを待つ」

「その間に崩壊が進む」

「それでもだ」

 ぶつかる視線。

 空気が軋む。

 ——次の瞬間。

「もういい」

 リンの声だった。

 二人が、同時に振り向く。

「私が決める」

 静かな声。

 でも、揺れていない。

「……リン」

「さっき、触れたのは私」

 胸に手を当てる。

「呼ばれたのも、私」

 だから。

「行くのは、私」

「ダメだ」

 レオが即座に否定する。

「させねぇ」

「行かせるべきだ」

 レイが言う。

「成功確率が一番高い」

「確率の話じゃねぇ!!」

 再び衝突しかけた、その時。

「——二人とも」

 リンが、一歩前に出た。

「お願いだから、聞いて」

 強く言う。

「怖いよ」

 正直な言葉。

「でも、それ以上に」

 目を上げる。

「サクヤを、このままにしたくない」

 沈黙。

「助けたい」

 その一言に、すべてが詰まっていた。

「だから——」

 二人を見る。

「一緒に来て」

 選ばせない。

 どちらかじゃない。

「三人で、やる」

 静かな、でも絶対の意志。

 レオが、歯を食いしばる。

「……チッ」

 やがて。

「絶対に離れんな」

 それが答えだった。

 レイも、小さく息を吐く。

「……了解」

 視線が交わる。

 まだ完全には納得していない。

 それでも。

 同じ方向を向いた。

 その瞬間——

 亀裂が、大きく開いた。

 黒が、溢れる。

 今までとは比べ物にならない。

「来るぞ……!」

 レオが剣を抜く。

 レイも構える。

 リンは、まっすぐ前を見る。

 その奥に——

 “サクヤ”がいる。

 そして。

 それだけじゃない“何か”も。

 ——境界が、崩れ始める。

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