表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「幼なじみは最強なのに、俺だけ無能だと思われていたが――実は“規格外”の力に誰も気づいていない」  作者: まちゃ粉
観測者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/40

第14話「外側の異変」

――重い音が、響いた。

 ドゴォン!!

 大剣が地面を叩き、衝撃が広がる。

「……こんなもんか」

 レオは肩で息をしながら、大剣を担ぎ直した。

 外周訓練場。

 誰もいない広い空間で、ただひたすら剣を振るう。

 それが日課だった。

「やっぱ一人だとつまんねぇな……」

 ぼやいた、その時。

 ピタリ、と動きが止まる。

「……なんだ今の」

 違和感。

 音じゃない。

 気配でもない。

 もっと“奥”に触れるような何か。

 胸の奥が、わずかにざわついた。

「……気のせい、か?」

 再び剣を振り上げる。

 だが――

 振り下ろす直前。

 視界の端が、歪んだ。

「……は?」

 あり得ない光景だった。

 何もないはずの空間が、ぐにゃりと曲がる。

 そして。

 ぬるり、と。

 黒い“手”が、そこから伸びてきた。

「……なんだそれ」

 一歩下がる。

 直感が告げていた。

 ――ヤバい。

 ただの魔物じゃない。

 その瞬間。

 ビュンッ!!

 “手”が伸びる。

 槍のように鋭く変形し、レオの首元を狙う。

「チッ!」

 反射で動く。

 ガキンッ!!

 大剣で弾く。

 重い。

 ただの質量じゃない、“抵抗”がある。

「……気持ち悪ぃな」

 吐き捨てる。

 だが、それで終わらない。

 もう一本。

 さらにもう一本。

 空間が裂けるように歪み、“手”が増えていく。

「増えるのかよ……!」

 数が多い。

 だが――

 レオは笑った。

「上等だ」

 大剣を構える。

「まとめて来い」

 一歩踏み込む。

 そして。

 ――振り抜いた。

 ドゴォン!!

 衝撃が爆ぜる。

 複数の“手”がまとめて吹き飛ぶ。

 だが。

 完全には壊れていない。

 歪みながら、再生するように動いている。

「……再生か?いや……違うな」

 目を細める。

「そもそも“壊れてねぇ”のか」

 感触がおかしい。

 斬ったはずなのに、手応えが曖昧。

 まるで――

 “本体じゃないもの”を殴っているみたいだ。

「……チッ、面倒くせぇタイプだな」

 舌打ちする。

 だが、その時。

 ズン――

 地面が、わずかに震えた。

「……っ」

 顔を上げる。

 遠く。

 建物のある方向。

「今の……」

 ただの揺れじゃない。

 もっと“深いところ”から来た衝撃。

 そして同時に。

 胸の奥が、もう一度ざわつく。

「……サクヤか?」

 確信はない。

 だが、妙に引っかかる。

 この違和感。

 この気配。

 偶然とは思えなかった。

「……中で何か起きてやがるな」

 再び“手”が襲いかかる。

 ビュンッ!!

 空間を裂いて迫る。

「邪魔だ」

 ドンッ!!

 大剣で叩き潰す。

 今度は地面ごと砕くように。

 “手”が弾け飛ぶ。

 だが――

 また現れる。

「クソが……キリがねぇ」

 歯噛みする。

 行きたい。

 中へ。

 だが、このまま放置すれば――

「外まで広がるな、これ」

 判断は一瞬だった。

 大剣を握り直す。

「……しゃーねぇ」

 肩に担ぐ。

「こっちは俺が止める」

 視線を、建物の方へ向ける。

「サクヤ」

 小さく呟く。

「死ぬなよ」

 次の瞬間。

 ドゴォン!!

 レオは再び踏み込んだ。

 外側で、暴れる異変を叩き潰すために。

 ――その頃。

 中では。

 ドクン。

 サクヤの胸が、大きく脈打っていた。

 そして。

 無数の“手”を前に。

 静かに、一歩踏み出す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ