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第七話
それは、ある日の夕方。オレ、松波は隣にいる人物の散歩に付き合っていた。
何となく、その人物に視線を移す。
髪の色も着てるものも真っ白で、歳は40代後半くらいの男だ。
何故、くらいと言ったのか……、それはこの人があまり自分の事を教えてくれないからだ。
年齢はいくつなのか、どういう仕事に就いてるのか、どんな食べ物が好きなのか、殆ど知らない。
普通なら、そんな怪しいオッサンに付き合うなんてしない。だって、何かあったら怖いじゃん?
なのにオレはこの人を勝手に「先生」と呼んでついて回ってる。
うん、めっさ嫌がられたよ、そりゃあもう。
オレだって、なんで先生なんて呼んでるか分かんねえし。
弄りやすいかもと思って弄ったら拳骨が飛んできたこと数知れず。どれも痛かったぜ、畜生。
それでもオレはこの人を先生と呼んで親しんだし、先生も諦めたのか、或いはオレに悪意がないと思ったのか、深く溜め息を吐いて「好きにしろ」と一応認めてくれた。
それを聞いて、オレは喜んだ。
別に、一緒にいて特別面白いとか、ためになるとか、そういう訳じゃない。
何となく、この人の側にいたいと思った。
この時のオレは、どうしてそう思ったのか分からなかった。
ただ、こうも思う。
もし、この後に起きる結末を分かっていたら、オレは共にいることを選んだのだろうか?




