表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
睦月の幻  作者: 時計屋
第一章「睦月の幻〜Reunion and a Beginning〜」
3/19

第三話


『あけましておめでとう!!』


1月1日、新年の始まりと共に私の前後で祝う声が響き、並んでいた列が動いた。

冬の外気で冷たくなった携帯を懐にしまい、私も前の人達に続く。


小さい神社故に、順番はあっという間にやってきて、私は予めポケットにしまっていた小銭を取り出し、賽銭箱へと投げ入れる。


二拝二拍手一拝。幾つかを願い、私は拝殿を離れた。


「ここは……変わらないな」


境内で話す人達を眺めながら、私は零す。


神社という場所柄、数える程度しか来たことはないが、それでも、記憶と何一つ変わらない光景に安堵した。しかし……………

(安堵?何故、何に……………?)

無意識に感じた想いを私は不思議に感じ、その答えを求めるように拝殿へ視線を移すも、当たり前というべきか、答えは返ってこなかった。




◆◆◆


あれから数分後、私は神社を後にし、細い路地を通り帰途についた。

この時間、当然バスなど出ているわけがない。帰りは自然と徒歩になる。だが、気にするような事でもなかった。

歩き慣れた道だ。幼い頃に何度も歩いた道だ。


だが、周りの建物を見て、また妙な寂しさを覚える。

あの頃に見た建物(けしき)は取り壊され、空き地が目立つ。


小さな書店も和菓子屋も、自転車屋も、あった場所には何もない。


仕方のないことだ。建物の老朽化などもあるが大通りが再開発の影響で賑わい、この辺りは余計に閑静な場所へと変わってしまっている。


いつまでもあの頃のままなどあり得ない。


寂しさが、また胸を埋める。その時だった。


「…………?」


遠くから聞こえる喧騒。気付けば、路地は目の前で三つに分かれていた。


正面、やがては団地に行き着く行き止まり。


右、小さなバス通りへ続く道。


そして左、商店街通りへ続く道。


私が目を向けたのは左、商店街へと続く道だ。

聞こえてくる音は、思ったよりも大きく、視界の奥に見える淡く光る暖色の漏れ出る場所に私は眉を顰める。

あり得ないから、だった。


(どうする………?)


と考える。見なかったことにして、右へ向かい、バス通りを道なりに進み、帰るべきだ。

そう結論づけた。

しかし、私の身体はその結論を無視し、左へと向かった。


そうして私は、信じられない光景を目にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ