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第二十一話
「あー、疲れた。無理、動きたくない……」
時間は三時ごろ。力の抜けた声でそんなことを吐きつつ、オレはベッドへとぼふっとダイブする。
あれから、オレは深夜のテンションも合わさり歩けるだけ歩こうと試みた。
が、結局は四駅分歩いたところで力尽き、ちょうど目に入ったホテルに転がり込んだのだ。
家のベッドなんかよりよっぽどふかふかで、身体が沈み込んでいく心地よさで一瞬、意識が飛びかけるが、オレは先ほどのことを思い起こして大の字になって天井を見上げた。
「会えるといいですね。いつか、か……」
自分が知る現在の状況を思い起こしながら、女性に言った言葉をぽつりと呟く。
『知人に会いにきた』
女性に言った言葉は本心だ。
でも、それが叶う日が来るのだろうか?
そんな思いが、胸の奥で小さく疼いた。
ふとした拍子に、景色が歪んだ。
それに加え、瞼が重みを増し、強い眠気が思考を支配した。
「やべ、ねみぃ……」
あくび交じりで呟き、ライトを消して布団を被る。
睡魔でだるくなった思考が軽くなり、微睡みに落ちる中……
「…オレも、あの人が今、何処にいるか分からないんだもんな……」
曖昧な意識で、その言葉を呟いた。
◆第四章「The Woman in the Painting」 完




