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第十一話
12月31日、夜。支度を整えた松波は実家の部屋を出る前に一度、携帯に保存した画像を開いた。
開いた画像は壁にかけられた一つの絵。
それはある女性を描いたものだ。
「……なんか、変な気分だな」
改めて見直してみれば、そんな感想が口から漏れる。
何故ならば、この絵を描いたのは自分ではない。
自分ではないが、描いた人物が知り合いだ。
そして、絵の女性……彼女ともまた面識がある。
大分、複雑な経緯ではあるけれど。
松波はこの絵を手にした……いや、預けられた時のことと、女性と出会った時のこと、再会を思い返せば、「数奇な運命とはこういうことを言うのか」と、嫌に納得せざるを得なかった。




