第六章 Ⅱ
第六章 Ⅱ
雪時が黙々と作り続けて、一時間が経過しようとしていた。
立体パズルは、平面的なジグソーパズルと違って、組み立て方が難しい。繋がる相手と本当に繋がっているのか分かりにくいのだ。違う相手とはまったくはまることはないが、多少の違いならはまる可能性がある。よく繋がり部分を確認しながらはめる必要があった。さらに、この手のパズルは意外と崩れやすい。少し外れたら全滅の可能性もある。
集中、集中……。
周囲の声は届かない。楽人の声も届くことはなかった。
極限状態の集中力に、次第に周囲は黙り込む。雪時が黙々と作り続けるのを、誰が止められるというのだろうか。
そうして、一時間と一五分が経過しようとした頃。
――雪時は、パズルを完成させた。
透明なパズルは日光を受け、輝きを放っている。堂々と構える城は、とても魅力的であった。
雪時はゆっくりと息を吐き出す。ちらり、と元々パズルを組み立てていたグループを見た。
「……で、できた、ぞ」
途切れ途切れになりながらも、雪時の声は相手に届く。沈黙が空間を覆った。
……ほら、見ろ。やっぱり、出てくるもんじゃないな。
雪時は静かに席を立つ。楽人が止めようとした瞬間。
「お前、すげえよ!」
周囲から声が上がった。勢いよく声が発せられ、思わず雪時はびくりと身体を震わす。何事か、と目を見張った。
――グループの面々が、目を、輝かせていた。
雪時はぱちくりと目を丸くした。驚いて、声が出てこない。さらには、普段合わないはずの視線が、相手と絡み合った。
「……は?」
やっと出てきた言葉は、それだけで。雪時の言葉は続かない。だが、相手はまくし立ててくる。
「ちょ、早くね!?」
「今のどうやったんだよ! な、もう一回!」
「いや、あの……」
もみくちゃにされつつも、雪時の口元は、かすかに笑っていたのだった。




