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シェード・エプリコッド ─召喚者たちの異世界略奪戦争─  作者: 椋之樹
奴隷への明示─Intersect Feelings─【前哨編】
24/41

2-1 勝てない者


 ────どーもぉ、『アミュファ』のコリンだよぉっ!今日は皆で企画をやっていきまーっす!それじゃぁ早速っ!キートちゃん、説明よろしくぅっ!

 ────何でキートが!?それ、コリンが説明するって言いましたよね!?

 ────どうでも良いから早く始めてくれよ、キート。もうなんか、ウル、眠くなってきたし……ふぁ……。

 ────始まってまだ五秒も経ってないんですけど!?

 ────じゃあコリンも、ウルちゃんと一緒に寝よかなぁ。

 ────寝るかぁ。

 ────寝るぅーっ!

 ────って、ちょっ、寝るなぁぁぁっ!!



 ……。

 …………。

 ………………。



 大型ショッピングセンターにあるコーヒーショップで、複数人の若い男女が丸テーブルを囲んで会話を弾ませていた。

 両耳にイヤホンを付け、携帯端末を片手に、ライブ映像を楽しんでいる。


「テキトー!だけどそこが良いんだよねぇ」

「皆は誰推し?コリンちゃんの天真爛漫なところも好きだし、キートちゃんの真面目っぷりも好きだし、ウルちゃんの無愛想なところも好きだし……」

「ていうか、『アミュファ』はもう全員すこ。それ以外異論は認めん」

「それな。間違いないわ」


 ゲーム実況や商品紹介、バラエティー等。

 テレビ等のメディアだけでなく、一般人が自分で企画して動画を撮影、編集し、ウェブサイトにアップするという動画投稿が今時の流行りになっている。

 いいや、企業案件も請け負っている点では、ただの趣味ではなく、仕事という認識で間違ってはいないかも知れないが。

 最近では、3Dモデルに自分の動きや声を当てて動画を製作する、というやり方が爆発的に広まっており、動画投稿のジャンルに新たな波が立ちつつあると言えるだろう。

 彼らが推奨するのは、三匹の獣娘型3Dモデルキャラクターが運営している、『アミュファ』というグループチャンネルだった。

 その三者三様な性格を持つ獣娘たちが、各々で縦横無尽に振る舞う様がある意味で清々しいと言われている、若者からの絶大的な人気を誇るチャンネルの一つだ。

 今現在、十分前に始まった生配信の視聴者数は優に二万人越え。

 ただ、彼らは知らない。

 それを視聴している者たちの中に……彼らのまったく想像もつかない場所から、生配信を見ている者が居ることもあるのだと。



 ……。

 …………。

 ………………。



 約一時間、テーブル脇に立て掛けたROSCで『アミュファ』とやらの生配信を見終わると……期を見計らったかのように電話が掛かってきて、端末の向こう側から興奮したような声が聞こえてくる。

 通話相手は、羽間中央高等学校の二年生、クラスメイトの露原悠生だった。


『見たかね!?』

「見たけど。何で急にこれを薦めて来たんですか」

『いやいや。“アミュファ”を見た者は、皆同志。つまり、これでまっちゃんも俺と同志。んねっ?』

「おぉ、永遠にさようなら」

『おーいおいおいおい!?まっちゃん!?それは薄情じゃない!?』


 露原は、思い立ったら即行動という思考の元に動いている人物であり、今回の『アミュファ』とかいう動画チャンネルに関しても、何の脈絡もなく唐突に薦めて来たのが、今から一時間前のことだった。

 一応外出中ではあったものの、休憩がてら見てみるのも悪くないと思い、カフェのテラス席に座って生配信を見ることにしたという流れだ。


「なんだよ、ウルサイな。新手の宗教勧誘ですか?」

『そんな冷たいこと言うなよーまっちゃんさー。画面越しででも夢の異種族交流って奴を楽しもうってのにさー。これ、もう最っ高じゃない?』

「お前の楽しむって発言は犯罪臭がするから嫌だ」

『それ普通に傷つくんだけど……』

「それに、“そういうの”は間に合っているので。それじゃ」

『え?ちょっと待っ』


 露原の制止もお構い無く通話を切ってから、ROSCをテーブルの上に置いて、『オセロ盤』が表示された端末の方へと視線を落とす。

 オセロ勝負も終盤に差し掛かった。

 向かい側の席で、むむむっ、と難しい顔で考え悩むのはリノリス=トラント。

 彼女は盤上から目を離さずに、小刻みに震える指先で黒色の駒を打ちながら尋ねてきた。


「もしかして電話相手、露原さん?」

「よく分かったな……っと、角頂き」

「うぐぅっ!えっと、主様が辛辣になる時って、大体露原さんが相手の時だもん」

「それは……確かに、否定出来ないかも……」


 今回、デートという名目で『ある場所』にやって来たのだが、リノリスが唐突に「勝負をしたい」と切り出したのがオセロ勝負のきっかけだった。

 外に出てまでやることではないとは思うのだが……。

 実は、当初から予定も特に決まっていなかった為、一先ず、一番最初に目についたカフェテリアに立ち寄り、端末のアプリゲームを用いて勝負をすることに。

 ちなみに、これで十戦目。

 自分が最後の一マスを埋めて勝負が終了すると……リノリスが両手で顔を覆い隠しながら仰け反り、呻き声を上げていた。


「ひぅぅ……また負けたぁ……」

「自分が強いって言うつもりはないけど、ハッキリ言ってしまえば……まぁ、弱いんだよな、リノリスは。勝負事に関しては特に」

「うぅぅ……まぁ、慣れているから良いんだけどさぁ……」


 リノリスの言う『慣れている』とは……つまりのところ、勝負に『“負け”慣れている』、ということだ。

 これは、彼女の生前における経験が関連しているのだが……。

 実は彼女、リノリス=トラントは元々、闘技会に参加していた拳闘士だったという。しかしながら、その実力は────『万年敗北者』と呼ばれる程に弱かったらしい。

 そんな経験が、彼女のフィーネスの器に授けられた《特性》として顕れており、『如何なる理由があろうとも勝負事には勝てない』、という状態異常が常に付いて回ることになっているのだとか。

 その証拠に、オセロ勝負の成績は……十戦十敗。

 これでもかと言わんばかりに、自分の勝利が続いている状況だった。


「よし、リノリス。ジャンケンしてみようか」

「え?」

「ジャンケン、ぽんっ」

「わわっ、ほいっ!」


 不意に切り出したジャンケン勝負。

 一発目に差し出したパーの手に対して、リノリスが慌てて出したのは、グーの手だった。

 だが、別に一回勝負とは言っていない。

 数撃てば当たる作戦で、何回か続ければ、流石の《万年敗北者》の特性を持つリノリスでも、一回くらいは勝てるだろう。


「続けて行くぞー」

「えぇ!?」


 それから休憩を挟みながら、計五十回はやっただろうか。

 結果から言えば、リノリスは……見事に全戦全敗。

 最早、何か悪い病気か呪いにでも掛かっているのではないかと疑ってしまう程に、彼女が勝負を収めることはなかった。


「リノリス……」

「ふぇぇっ、もう泣きそうぉ……」

(あー……流石に興味本意でやり過ぎた……っ)


 若干に瞳を潤わせながら落ち込むリノリスを前に、心の中で罪悪感が沸き上がってきた。

 慌てて頭をフル回転させてから、抽象的な励ましの言葉を彼女へと投げ掛ける。


「まぁ、世の中勝ちばかりが全てじゃない。勝てば全てが成功する訳でもないし、勝てば全てが解決する訳でもない。だから、あまり気に病む必要はないだろ」

「……えへへ。そう言って貰えると、何だか救われるなぁ」

(うぅぅ……その無邪気な顔ヤメロぉ……何か、心が痛くなるだろぉがぁ……)


 目元を指先で拭いながら、柔らかい笑顔を浮かべるリノリスを見ていると……また再び、心を射抜かれたような痛みが走る。

 あまり純粋な姿勢を見せ付けられると、とてもじゃないが、こちらの身が持たない気がしてきた。

 取り敢えず、罪悪感を悟られないように席を立ちながら話題を切り替えておく。


「……さてと。次は何処へ行こうか。といっても、土地勘も全く無いから何処に何があるのか分からないんだけど」


 実はこの場所……いつもの住み慣れた『現世』ではない。

 そことは掛け離れた領域に存在する『異世界』であり、現世としては既に滅亡を迎えた筈の世界……。


 ────『大陸樹』の中枢都市、『エルミナノーグ』だ。


 どういう理屈が働いたのか、日陰舘一族の屋敷が現存する『離元空間』と直結する形で存在しており、ROSCを使用して壁を開けば、大陸樹と離元空間を自由に行き来することが出来るようになっていた。

 異世界間を制限無しで渡れるという現象は、あまりにも呆気なさ過ぎて逆に恐怖心を抱いてしまうが……どうやら、現時点で特に心配することは無いとのことらしい。


「こういう時は現地の人に聞いてみるに限るよっ!すみませーん!この辺りに面白い所ありませんかーっ!」

「相変わらず、兎とは思えない人懐っこさだよなぁ……」


 眼を輝かせながら意気揚々と通行人に声を掛けに走るリノリスだったが……そこで出会した一人の女性は、一体何を思ったのか、忽然とこう切り出した。


「ジャンケンぽんっ!」

「うぇぇっ!?」


 最早、その結果は語る必要もないだろう。

 また不意を突かれてリノリスが慌てて出した手はグーで、女性が出した手はパー。

 ある意味で当然とも言うべきか、見ず知らずの相手にも敗北したリノリスは、ブリキ人形のようにガタガタと震えながら、丸くした目で女性を見上げる。


「あ、ホントに勝っちゃった。弱いんだね、本当に」

「……うわぁぁぁぁぁぁっ!!主様の人でなしぃぃぃぃぃっ!!」

(エ?ナンデ俺?)


 何故かこちらに対して悪態をつきながら、リノリスは一目散に通りの向こう側へと走り去ってしまった。

 尻尾を巻いて逃げるとは、まさにこういうことか。

 まさか、悪戯目的で、あの女性をこちらがけしかけたとでも思っている訳ではあるまいが……それはまったくの誤解である。


「初対面の相手に、それは失礼じゃないか……?」


 一先ず、出会い頭にいきなり失礼を働いた女性に言うべきことを言うと、彼女はすこぶる申し訳なさそうに頭を下げていた。


「あー、ごめんね。さっきあなた達が、その、ジャンケン?とやらで勝負しているのを見ててさ。本当に負けっぱなしだったものだから、ちょっと気になっちゃって……うん、申し訳ない」

「それにしては中々辛辣な一言だったと思うぞ」

「よく言われる、本当にごめん。お詫びに、さっき彼女が知りたがっていた『面白い所』を教えるから、それで手打ちにしてよ」


 自分で行けば良いだろうと諭すものの、何やら急用があるらしく、『面白い所』について簡単に説明してから、彼女は立ち去ってしまった。

 仕方がないと溜め息を吐き、リノリスの走り去っていった方向へと歩いていくと……ほんの数十メートル離れた木箱の裏で、兎の姿になって隠れているのを発見する。


「リノリス、居るか?今日は王家親衛隊の模擬演習が執り行われるんだと。一見の価値はあるって話だから、ちょっと見に行ってみないか?」


 どうやらいじけている様子のリノリスに、前屈みになって柔らかい口調で声を掛けた。

 すると、少しだけ間を置いてから、ヒョッコリと顔半分だけ出した彼女は小さな声で同意を示す。


『…………いく』

「よし。落ち着いたら行こうか」

『……ん…………主様』

「うん?」

『……抱っこ』

「分かったよ、おいで」

『……ぐすっ……えへへっ』


 リノリスの小さな顔の前に手を差し出すと、彼女はそれに顔を近付けて鼻を動かす。

 それから安心したような声が聞こえてくると、腕をよじ登り、胸の前に上げた上腕の上にチョコンと落ち着いた。

 一羽の兎としてまったくもって愛らしい行動をする彼女の頭を指先で撫でてから、一緒に通りを歩き始めるのだった。

 


─※─※─※─※─※─※─※─※─※─※─



 誰もが言う、平和とは良いものだ。

 混迷とか恐慌とか人を危機に陥れる懸念もなく、外敵とか敵対者とか命を懸けた闘争がある訳でもない……穏やかな時間だけが流れる日々。

 それぞ、人々が当たり前のように望む人生観なのだと、つくづく思うものだ。

 しかし、危機とは思わぬ形で到来するのが常である。

 万が一、何らかの形で、この世界に危機が訪れた時に、平和の中だけで生きてきた人々が、そこに立ち向かうことが出来るのか。

 言ってしまえば、平和ボケした人間に、戦うだけの力があるのか……そう考えると、無性に恐ろしくなってくる。


 その為にも、備えておかなければならない────『戦う力』を。


 王家の親衛隊、『クワバミ』とは、王家と人民を守り、戦う為に設立された戦闘部隊だ。

 彼らの存在意義と必要性を提示する為、何日かに一度、城下前広場にて『模擬演習』を一般公開するようにしているのである。

 だが、実はこの『クワバミ』に、『戦闘部隊』という概念を置いていることを、世間からは問題視されていた。敵も脅威も存在しない世界では不穏因子になりかねないとされ、設立した当初から縮小の一途を辿っている始末だ。

 確かに、世間の意見も分からない訳ではない。

 しかしながら、現在の人々から滲み出る平和に慣れたような雰囲気には、何か危機感を感じざるを得ない。

 ただの思い過ごしならば、それはそれで構わないのだが……。


「……何というか、気迫が足りないように見えるよな。こう、遊び半分でやっているみたいな感じで」

「……!」


 ふと、そんな言葉が聞こえた気がして辺りを見渡すと……見物客の群衆の中に立つ、一人の少年が目に入る。

 端から見れば秀でた特徴も無いように感じるが……その頭の上に乗せた小さな兎と、会話しているようにも見えるのは、気のせいだろうか……。




 ヴーズダットの策略で滅亡した『大陸樹』は、トア=ラィド・イザベリングの死力を尽くした活躍により『転生』し、新たな世界として生まれ変わった。

 即ちこの世界は、かつてトア=ラィドたちが『英雄』として生き続けた世界とは異なる。

 同じ形状はしているが、全くの異世界だ。

 恐らく、この世界でかつての『英雄』の記憶を持った者は一人も居ないだろう。


『平和な世の中になったってことで良いんじゃないかな。トアさんやヨウさんが居た時代とは異なる世界観なのかも知れないけれど……それでも、決して悪い世界観じゃないよ』


 城前の大広間にて、赤いマントを身に纏った『親衛隊・クワバミ』の隊員たちが、各々で剣を手に模擬戦を執り行っていた。

 彼らの周りに群衆となって立ち並ぶ沢山の見物客たちは、時に息を呑み、時に歓声を上げながら、クワバミたちの模擬演習を見守っている。

 その群衆の中で模擬演習を遠目に眺めながら、リノリスにだけ届くような小声でこう呟いた。


「悪いことじゃないだろうさ。だけど俺は、この世界を命懸けで築き上げた人物が居ることを知っている……だから、少しばかり複雑なだけだよ」


 彼らの模擬戦は、確かに見物だ。

 まるで本物の死闘を見ているかのようで、迫力は満点だった。

 別に物足りない訳ではない。

 だが、『彼女』たちの互いのしのぎを削るような戦いぶりと比べると……幾分か、典型的であり、画一的、つまりはありきたりな様にも見えてきてしまう。

 そう、まるで舞台上で行われる剣劇……一種のパフォーマンスのようだった。


『きっと、トアさんは満足していると思うよ。例えこの世界がトアさんを忘れてしまったとしても、トアさんがこの世界を守りたかったって事実に変わりはない。あの人は、それを成し遂げた……本当に、凄いことだよね』

「……そうだな。流石は〔英雄〕の属性を与えられただけのことはある……あいつは、最初から最後までずっと『英雄』だった」


 トア=ラィド・イザベリングが去ってから、もう間もなく一ヶ月が経つだろうか。

 向こうからの連絡は一切無いが、彼女のことだから、この空と同じ景色が見える何処かの場所で逞しく行動していることだろう。


(心配するのも野暮な話か……一応立場的には、あいつにとっての俺は『敵』なんだしなぁ……)


 いつかは必ず殺す、トアはそう言って去った。

 敢えてそんな言葉を使った理由は、味方のように慣れ親しむつもりはない、ということなのだろう。

 顔を合わせた時は、本気で殺しに来る。

 そう思わせてくれるのもある意味で……自分と彼女らしい、切っても切れない『信頼関係』というやつなのかも知れない。

 だから、大丈夫だ。

 この『繋がり』は、例え何処にいたとしても、自分の強さになってくれる……そう思わせてくれるから。


「むしろ、何が足りないと思われますか?」


 忽然と呼び掛けられて大空から右隣に視線を落とすと、茶色いローブを身に羽織いフードを深く被った、比較的小柄な人物が目に入る。

 その高い声色から察するに女性のようだが……この声、何処かで聞いたことがあるような……。


「足りないというか……やっていることは間違ってはいない。だけど。もしも、もしもこの世界が……戦争や殺し合いの勃発する非情な世界だとしたら、あまりにも呑気な見せ物としか思えない……そう感じただけだ」

「……呑気、でございますか……失礼ですが、お名前を伺っても?」

「……日陰舘雅人。こっちの兎はリノリス」

「ぷぅ(よろしくだよっ!)」

「雅人様、とは……珍しい名前ですね……あぁ、わたくしのことはベレシードとお呼び下さい」

「ん?」

「ぷぅ(ベレシード)……?」


 どうやら、リノリスも違和感を感じ取ったようだ。

 ベレシード……その名は、かつての大陸樹の世界意志ザーヴァとして降臨していた神に等しい者、『ベリュジード』の名称に酷似しているような気がした。

 ただ、あの時に対峙した少女とは口調も背丈も大きく異なる為、恐らくは別人だと思われるが……。


「さぁ皆さん、ここからが見物ですっ!今より、我ら『クワバミ』が誇る部隊長の演習を執り行いますっ!」


 演習の進行係と思われる人物が高らかに声を上げると、まるで待ってましたと言わんばかりに、見物客がざわめき始めた。

 次に、広場の真ん中に姿を現したのは、他の団員と比べて背丈が高く、若干痩せこけた男。

 進行係の呼称も然り、そのニヤけた顔つきと胸を張って大袈裟に歩いている辺り、まるでガキ大将のように相当の高飛車な性格をしているように感じる。

 どうやら、彼と対面して立つ小柄な男と、一対一の模擬戦を始める様子だが……。


『……あの相手の人、もしかして……っ』

「リノリス?」


 頭の上で伸びていたリノリスが声を上げたと思ったら、忽然と頭の先から飛び出して、人混みの中へ消えてしまう。

 次に彼女が『人型』となって姿を現したのは……。


 今まさに模擬戦が始まろうとする、広場に展開するクワバミたちのど真ん中だった。


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