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短篇集  作者: 猫田たい子
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第5話 猫の日

 私は犬だ。


 犬年齢で十歳、人間でいうと五十代だ。

 今日は2月22日。世間では猫の日らしい。

 飼い主と外へ出ればどこも猫だらけ。

 犬の私にはゾッとする光景だ。


 猫に優しいこの世界では、犬は蔑ろにされている気がする。

 目の前を通る犬に猫の耳がつけられ、思わず同情した。


「あっ、この曲、フレデリック・ショパンの『猫のワルツ』だ!」

「今日は猫の日だからね」


 本当は『犬のワルツ』だが、日本ではなぜか『猫のワルツ』になっているのだ!


――ああ、猫が忌々しい……。


 次に出た飼い主の言葉に思わず度肝を抜かれた。

「やっぱり猫ってかわいいわね。私も猫が飼いたくなる」


 私は犬のプライドを守ろうとしたが飼い主に名前を呼ばれると、「ニャン」と鳴いてしまった。

 犬としては屈辱だが飼い主は大喜び。


 世の中、理不尽だ。




2026/02/22

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