第45話 阪神タイガース
子供の頃から、気づけば自然と阪神タイガースを応援していた。
熱狂的なファンの両親に連れられ、甲子園球場まで足を運んで試合を観戦していたほどだ。
結婚してからはそんな時間もなくなった。
野球に興味のない旦那は、テレビにかじりつく私の姿に毎回呆れていた。
今日の試合も阪神がまた負けた……。
これで四連敗だ。
ここ数日、負けるたびに気持ちがムカムカして心臓がキリキリ痛くなる。
旦那にあーだこーだと愚痴をこぼしながら、たまっている仕事に手が付けられない。
私は心臓が悪く、数年前に心筋梗塞で救急車で運ばれたこともある。
ストレスがたまると心臓が痛くなるため、気持ちを落ち着かせる努力をしているが、応援するたびに心臓が締め付けられるぐらい痛くなる。
もう応援しない方がいいのか……。
そんなことを考えながらSNSを開くと、負けた腹いせに選手を侮辱するコメントで溢れていた。
こんな酷いコメントを書いている人達は、いったいどんな顔をして書いているのだろうか。
鏡を見ると、眉間に皺を寄せて不満そうな顔をした自分と目が合った。
「あっ、こんな顔やな」
旦那が台所から顔を出した。
「俺、甲子園球場行ったことないから、今度一緒に行こうや」
「何や、いまさら」
「二人で応援したら、次の試合、勝てるかもしれへんやん」
「あんた、『六甲おろし』歌われへんやろ!」
私が怒鳴ると、旦那は歌い出した。
音痴だったが楽しそうに歌っていた。
旦那の姿に、私は笑ってしまった。
「その顔や」
「えっ?」
「おまえは笑ってるほうがええ」
恥ずかしくて、言葉を返せなかった。
試合には負けたけど、今夜は心臓が痛くならなかった。
2026/10/17
阪神、負けたけど優勝したし。
悔しいけど、来年も応援するから……。
楽しい一年やった。
ありがとう、阪神タイガース。




