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短篇集  作者: 猫田たい子
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45/47

第45話 阪神タイガース

 子供の頃から、気づけば自然と阪神タイガースを応援していた。

 熱狂的なファンの両親に連れられ、甲子園球場まで足を運んで試合を観戦していたほどだ。


 結婚してからはそんな時間もなくなった。

 野球に興味のない旦那は、テレビにかじりつく私の姿に毎回呆れていた。


 今日の試合も阪神がまた負けた……。

 これで四連敗だ。


 ここ数日、負けるたびに気持ちがムカムカして心臓がキリキリ痛くなる。

 旦那にあーだこーだと愚痴をこぼしながら、たまっている仕事に手が付けられない。


 私は心臓が悪く、数年前に心筋梗塞で救急車で運ばれたこともある。

 ストレスがたまると心臓が痛くなるため、気持ちを落ち着かせる努力をしているが、応援するたびに心臓が締め付けられるぐらい痛くなる。


 もう応援しない方がいいのか……。


 そんなことを考えながらSNSを開くと、負けた腹いせに選手を侮辱するコメントで溢れていた。


 こんな酷いコメントを書いている人達は、いったいどんな顔をして書いているのだろうか。

 鏡を見ると、眉間に皺を寄せて不満そうな顔をした自分と目が合った。

「あっ、こんな顔やな」


 旦那が台所から顔を出した。


「俺、甲子園球場行ったことないから、今度一緒に行こうや」

「何や、いまさら」

「二人で応援したら、次の試合、勝てるかもしれへんやん」

「あんた、『六甲おろし』歌われへんやろ!」


 私が怒鳴ると、旦那は歌い出した。

 音痴だったが楽しそうに歌っていた。


 旦那の姿に、私は笑ってしまった。


「その顔や」

「えっ?」

「おまえは笑ってるほうがええ」


 恥ずかしくて、言葉を返せなかった。

 試合には負けたけど、今夜は心臓が痛くならなかった。




2026/10/17


阪神、負けたけど優勝したし。

悔しいけど、来年も応援するから……。

楽しい一年やった。

ありがとう、阪神タイガース。


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