第36話 夢のミキサー
三人の男がいた。
ある朝、彼らは同じ喫茶店に集まって昨夜見た夢の話を始めた。
「化け物に追いかけられた夢を見た! どこまで逃げても追ってくるんだ。怖くて目が覚めた」
一人目は震えながら言った。
「僕の夢は最高だった! 青空を飛んでいた。知らない人たちが拍手してくれて、幸せだったよ」
二人目は笑った。
「俺は何も見なかった」
三人目は首を傾げた。
「何も?」
「ああ、真っ暗でもない。白くもない。ただ、何もなかった」
その夜、三人は同じ夢を見た。
巨大なミキサーがあった。
誰もスイッチを入れていないのにぐるぐる回っていた。
その中に恐怖、幸福、無――三人の夢が流し込まれていった。
刃が回った。
悲鳴が笑い声になり、笑い声が沈黙になり、沈黙が何かの足音になった。
やがてミキサーは止まった。
ガラス容器には灰色の液体が残っていた。
三つのコップに注がれ、三人はそれを飲んだ。
そして目を覚ました。
翌朝、三人は同じ喫茶店に集まった。
誰も夢の話をしなかった。
ただ、互いの顔を見るたびに変な違和感があった。
初めて会ったような……。
ずっと昔から知っていたような……。
「なあ」
「ん?」
「昨日まで、お前たちって三人だったっけ?」
誰も答えられなかった。
テーブルにはコーヒーカップが四つ置かれていた。
2026/05/31
ニルヴァーナの「Smells Like Teen Spirit」聴いてて、
mulatto 混血児
albino アルビノ
mosquito 蚊
libido 性的欲望
言葉を繋ぎ合わせて最後「o」で終わるようにしてる。カート、かわいい~って思った。
これを短篇にする場合、言葉をミキサーにかけるより、夢をミキサーにかけたらどうなるかってお題にした。
カットアップをイメージした。バロウズみたいなオチになった?




