↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短篇集  作者: 猫田たい子
PR
35/48

第35話 二センチの愚痴

 最近の若い連中は肩を信用していない。

 軽さだの自然さだの、妙に身体に正直だ。


 昔は違った。

 多少の嘘はむしろ礼儀だった。


 肩は口ほどに物を言った。


――二センチ。


 それが当たり前だった時代があった。


 銀行員、国会議員、離婚寸前の男も、みんな少しだけ大きくなって街へ出た。

 こちらも黙ってその虚勢を支えてやった。


 ジェームズ・ボンドだってそうだ。

 女を口説く前からもう勝負はついていた。


 今では八ミリらしい。


――八ミリ。


 それはもうほとんど気遣いだ。


 若い職人が私を見て笑った。

「ずいぶん分厚いですね」


 分厚いんじゃない。

 昔はこれが普通だった。


 人間というのは不安になるほど形を欲しがる。


 もっとも、『ありのまま』だけで街を歩ける人間がこの世にどれほどいるのかは知らないが……。


――さて。


 そろそろ紹介しよう。


 私はサヴィル・ロウの地下に三十年放置されている、二センチの肩パットである。




2026/05/29

「あたらしい紳士服の教科書 サヴィル・ロウの歴史と仕立ての技法から知るスーツの文化と魅力」のニュースを見て、肩パットをお題にした。

https://x.gd/v2kiY


サヴィル・ロウ(Savile Row)は、イギリス・ロンドンのメイフェア地区にある実在の通り(ストリート)の名前。


ただの通りの名前やけど、18世紀末から19世紀にかけて高級テーラー(仕立て屋)が集まった事で、現在では「サヴィル・ロウ」=高級オーダーメイド紳士服の聖地という意味合いになってる。


「ソーイング・ビー」のパトリックもサヴィル・ロウの人。あっ、この本「あたらしい紳士服の教科書 サヴィル・ロウの歴史と仕立ての技法から知るスーツの文化と魅力」の著者もパトリックやった。


私が学生時代は1センチ~1.5センチの肩パット入れるのが普通やった。今では1センチないし、入れないスーツが多いね。時代やねー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。