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短篇集  作者: 猫田たい子
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3/47

第3話 鬼瓦と鯱

 別居中の俺が久しぶりに自宅に戻ると、家の中に妻と愛猫の姿がなかった。


 心配になって深夜、探しに外に出た。


 家の近所を歩きながらお寺を見上げると、屋根の鬼瓦《おにがわら》と鯱《しゃちほこ》の姿が見えた。

 鬼と目が合ったかのようでゾッとしたが、つい笑ってしまう自分もいた。


 寺の角を曲がると新しくできた家屋の屋根に、お寺を真似たかのように鬼瓦と鯱が乗っていた。


「お寺の真似か。粋なもんだな」

 自然に笑みが出た。


 近づいて見上げるとゾッとした。

 屋根の鬼瓦の下、窓の中には――亡くなった妻の顔がこちらを見つめ、猫は尻尾をピンと伸ばし、鯱のように背を反らせて妻に寄り添っていた。


 俺の笑みは瞬時に凍った。





2026/01/18

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