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第3話 鬼瓦と鯱
別居中の俺が久しぶりに自宅に戻ると、家の中に妻と愛猫の姿がなかった。
心配になって深夜、探しに外に出た。
家の近所を歩きながらお寺を見上げると、屋根の鬼瓦と鯱の姿が見えた。
鬼と目が合ったかのようでゾッとしたが、つい笑ってしまう自分もいた。
寺の角を曲がると新しくできた家屋の屋根に、お寺を真似たかのように鬼瓦と鯱が乗っていた。
「お寺の真似か。粋なもんだな」
自然に笑みが出た。
近づいて見上げるとゾッとした。
屋根の鬼瓦の下、窓の中には――亡くなった妻の顔がこちらを見つめ、猫は尻尾をピンと伸ばし、鯱のように背を反らせて妻に寄り添っていた。
俺の笑みは瞬時に凍った。
2026/01/18




