第2話 白猫の家族
私の白猫は長い毛を持っている。
ふわふわしてきれいで、お姫様みたいだ。私は家族のように大切にしているけれど、兄は違う。白猫を外に追い出したり、珈琲をかけて白い毛が汚れるのを楽しんでいる。
兄は海外旅行が好きで、ある国の話をよくする。猫を食べる国だ。
「俺、猫を食ったことがあるんだ」
白猫の前でニヤニヤと笑った。
猫は人間よりも繊細な生き物だから、白猫の前でそんな話はしないでと兄に注意をしたが、酷くなる一方だった。
母と父に相談したが真剣には取り合ってもらえなかった。
その頃、近所で殺人事件が起きた。子供が親を殺害して遺体をバラバラにして捨てたという。
外の動物が遺体を食べた――そんな噂が広まっていた。
――事件の夜、兄は白猫を外に出していた。
翌朝、私は白猫を探し回り、見つけると白い毛は真っ赤に染まっていた。
白猫を抱いて帰ると、兄は私たちを見てゲラゲラ笑った。
悔しくて涙が出た。
しばらくして、警察が来た。事件の聞き込みで兄が対応していた。
「遺体の一部が動物に食べられていましてね」
――その時。
兄の背後で白猫が低く唸り、毛を逆立て兄に向かって威嚇攻撃をした。
「わぁぁぁぁ!」
白猫の攻撃に兄は血相を変えて尻もちをついた。
警察は兄を見て面白おかしく笑った。
私が名前を呼ぶと、白猫は私の腕に戻ってきた。
警察が帰った後、私は兄に言った。
「家族でも憎くなって殺すことがあるんだって……気をつけないとね」
白猫は私の腕の中で喉を鳴らしていた。
兄は何も言わなかったが、白猫に向けられた視線は怪物を見るようだった。
2026/01/15




