第24話 同じ壁の上で
ある街で、若い自称画家が壁に絵を描いた。
モチーフは匿名のストリート・アーティスト――ここでは仮に「コメット(彗星)」と呼ばれている人物を模した風刺画だった。
数時間後、男は器物損壊と不法侵入で逮捕された。
警察署で彼は声を荒らげた。
「なぜ俺だけ? コメットだって同じことをしているじゃないか!」
取調室でも主張は変わらない。
「コメットは街中に勝手に描いても『アート』と呼ばれて、俺は犯罪者扱い? おかしいじゃないか!」
弁護士も法廷で同じ論点を繰り返した。
「同様の行為が社会的に評価されている例がある以上、依頼人のみを処罰するのは公平性を欠きます」
被告人は言った。
「俺はコメットがやっていることを真似しただけだ。違いがあるなら説明してくれ。なぜ彼は許されて、俺はダメなんだ?」
傍聴席が騒ついた。
「確かに線引きが曖昧だな」
「でも法律は同じだろ」
裁判官は答えた。
「この裁判は、コメットという人物の行為を評価する場ではありません」
「でも、その『評価の違い』で人生が変わるなら同じルールじゃないだろ!」
法廷に重い沈黙が落ちた。
――判決は下された。
有罪。
判決後、被告は法廷の外に出た。
その日のニュースサイトに短い記事が載っていた。
「匿名ストリート・アーティスト『コメット』の新作が発見される」
写真には、彼が描いたものとよく似た壁画が写っていた。
ただ、キャプションにはこうあった。
『新たな都市表現として注目』
「同じ線を引いても、名前が違うと世界は変わるのか……」
彼の描いた壁画は、その日にはもう塗りつぶされていた。
2026/05/02
https://www.cnn.co.jp/style/arts/35247117.html
バンクシーの新作が出たねー。
しかも、彫刻って!
防犯カメラだらけの世界の中で、こういう大きな作品が現れる。
不思議というより疑問が残る。




