↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短篇集  作者: 猫田たい子
PR
17/48

第17話 戻らぬ鴉

 聖書『ノアの箱舟』によると、洪水が引いた後、ノアはまず鴉《カラス》を放った。

 ところが、放たれた鴉は箱舟に戻らなかった。

 自由で現実的な鴉は生存本能に忠実に漂流物をついばみながら、空のどこかへ消えていった――ネヴァーモア。


 次に放たれた鳩は、オリーブの枝を加えて戻った。

 箱舟の人々は喜び、鳩を希望と平和、神の約束の象徴として讃えた。


 私は鴉の立場を知っている。

 戻らなかったのは自分の意思で行動しただけで、世界の真実を知るのは鳩ではなく鴉だ。


 そんな鴉が羨ましくも思えた。


「うちの子よく鴉を見てるけど、どうしてかしら?」

 飼い主は愛犬を撫でながら呟いた。

 犬の目の奥には誰も踏み込めない世界の片隅が映っていた――ネヴァーモア。




2026/03/30

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。