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短篇集  作者: 猫田たい子
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16/48

第16話 インフルエンサー

 私の愛猫はフォロワー数百万の人気インフルエンサーだ。

 毎日の投稿は笑顔と猫のお勧め商品で溢れ、誰もが夢中になった。


 ある晩、愛猫の体に異変が起こった。

 熱、寒気、全身のだるさ――インフルエンザにかかったようだった。


 奇妙なことに画面越しに愛猫の投稿を見たフォロワーたちも、次々に同じ症状に襲われた。

 熱、頭痛、くしゃみ――それでも誰も投稿を見る手を止めない。


――誰もが猫の笑顔をリポストするのをやめないのだ。


 病院に駆け込む間もなく、私は気づいた。

 ただの風邪や病気ではない。

 愛猫そのものが「人を感染させるウイルス」と化していたのだ。


 投稿一つで流行と熱を同時に広げる。

 かわいい笑顔一つでフォロワーの心も身体も『感染』させる。


 世界中が猫の投稿に晒されるたび、インフルエンザのように猛威を振るう「流行ウイルス」が、SNSを通じて拡散していく。

 病院の窓から外を見ると、街の人たちはスマートフォンを握りしめ、熱にうなされながらも猫の投稿を追いかけていた。


「やっぱり……猫の影響力はウイルスより強いのかもしれない」


 愛猫の笑顔が誰も止められない『感染源』になっていた。




2026/03/30

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