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短篇集  作者: 猫田たい子
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13/47

第13話 刺青

 近所に刺青のある人が住み始めた。

 住民達はその人を避けた。


 刺青のない人が引っ越してきた。

 皆は彼を「笑顔の素敵な青年」だと噂し、顔を合わせるたびに挨拶を交わした。


 人を見かけで判断してはいけない。

 分かっていながら人は見かけで判断する。


 刺青の人は私の頭を撫でてくれた。

 その手は驚くほど優しかった。


 ある日、空き家が放火された。


 真っ先に疑われたのは刺青の人だった。

 警察に連行される時に皆は口を揃えて言った。


「やっぱりね」


 私は犯人を知っている。

 犯人は今も笑顔で皆に挨拶をしている。


 遠くからその様子を眺めていると、私の視線に気づいた犯人が笑顔で近づいてきた。


 そして――近くにいた人に尋ねた。

「かわいい猫ちゃんですね。誰かの飼い猫ですか?」


 私は犯人に身体を撫でられてゾッとした。




20226/03/13

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