27「よしそれでは一旦解散!」
【闇魔法·眷属化】
魔物の魔石に自らの魔力を注ぎ、肉体を再構築することで、絶対服従の眷属を作り上げる。魂まで支配することにより、術者の意志一つで眷属の自我をなくし人形とすることも可能。ただし眷属にも恩恵はあり、魔力の増加、身体能力の強化、術者との念話などがある。さらに魔石さえ無事ならば再度復活させることもできる。
俺はいまこの魔法を使い、四匹のゴブリンの肉体を再構築していた。復活したゴブリンたちは自分たちの身に何が起こったのかわからないようでキョトンとしている。
ただゴブリンメイジだけが、こちらを厳しい目つきで見ていた。
『何をした……』
「一度お前たちを殺し、取り出した魔石から俺の魔法で眷属として復活させた」
『なっ、殺しただと……っ』
「喚くな。一度は仲間のために死のうとした奴が。いまは俺の眷属として復活しているんだからそれでいいだろ?」
『従魔としてという話だったろう!』
憤るゴブリンメイジに俺は深くため息をついた。
「あのなぁ、あんなタグ一つつけただけで俺がお前たちを大事な畑に行かせると思うか? あの夫婦にもマトの実畑にも何かあっては困るんだよ。それに眷属化はお前たちにとっても悪いもんじゃないはずだ。体、軽いだろ? 魔力量も多くなっているだろうし」
『確かにそうだが……』
「まだごちゃごちゃ言うなら自我をなくして人形のようにすることもできるんだぞ。主人は俺だからな。そうしないのは一応お前たちの意思を尊重しているからだ」
『……』
「理解したか? なら次はお前たちに名をつける」
『名?』
「ゴブリンだけじゃ誰を呼んでいるかわからないだろ。お前はメイジがつくからいいが。……おい、そこのお前、お前の名はタロウ、その隣がジロウ、さらに隣がサブロウだ。それでメイジのお前は、そうだな、フウマだ」
なんとなく日本風の名にしてみた。さして考えずポンポンとつけていく。
「わかったな? よしそれでは一旦解散! 準備ができ次第、念話で報せるのでそれまでは待機だ」
まだ何か言いたそうなフウマたちを森へと帰し、俺は明るみ始めた空を見上げた。
さて、少々忙しくなりそうだ。まずはオールから従魔の証を四つばかり貰わなければ。それからギルドで従魔登録だ。
やることを一つずつ確認し、俺は宿へと足を進めた。
「ようやくお帰りか」
俺が出た時と同じ窓から部屋へ入ると、ベッドに腰かけたオールと目が合った。その目の下にはうっすらと隈が浮き出ており、寝ていないことがわかる。
「お前、すごい顔になっているぞ」
死んだ魚のような目に隈がプラスされ、さらに寝不足による半目。子供が見たら確実に泣いて逃げそうだ。
「誰のせいだと思っている……っ」
え? 俺のせいなのか? ちゃんと出掛ける理由は言ったし、朝までに戻ることも言っていたから俺に落ち度はないはずなんだが。
本気でわからず首を傾げていると、オールに深々とため息をつかれた。なんだ、その残念な子を見るような目は。
「……まぁ、いい。ところで外で何をしてきた?」
さっさと話を進めたオールに、俺はやるべきことを思い出した。
「そうだ、オール、従魔の証を四つくれ!」
「は?」
俺の申し出にオールから疑問の声が上がった。ふむ、急に従魔の証をくれと言っても困惑するか。
俺はオールに夜の散歩と称し、どこへ行き、何をしてきたのかすべて語った。話が進むにつれてオールの目から光が失われていき、しまいには頭を抱えてしまったが、うん、まぁ、頑張れとしか言えない。
「お前は、本当に、何をやっているんだ」
話し終わったあとのオールの第一声がこれだ。俺だってやりたくてやったわけじゃない。ただ、労働力がそこに転がっていたら手に入れるしかないだろう。すべてはマトの実のためだ。
胸を張って言ってやったらさらに頭を抱えられた。
「……とにかく一度そのゴブリンたちに会ってからだ」
なるほど、労働力となり得るか見たいということだな。
「わかった。なら朝食のあとだな」
四ゴブたちの名前は漢字にすると風魔、太郎、次郎、三郎となります。




