トランキライザー⑥
私が作ってしまった重苦しい空気は、なかなか入れ換えれない。気の毒そうな目で見てくる。誰だっけ。この人たちがツンデレ、天の邪鬼、人見知り、人間不信って言ったの。
「…一之瀬さん」
「なぁに、瑞妃ちゃん」
「私、帰った方が良いですよね」
お茶を飲んで、お菓子を食べる。仄かに苦味のある抹茶クッキーは美味しくて、何枚も食べてしまいそうになる手を抑えながら一之瀬さんを見た。何故か他の人たちまで一之瀬さんを見る。
「え」
「直也さんと一緒に帰った方が良いのかなって」
「なっ、なんで急に?さっきは、住む気満々のに」
「よく考えてみれば、私は皆さんに守られる理由がないんですよね。仕事を増やしてるだけだし」
「でも、学園が一番安全って限らないよ?」
「それは此処だって同じことでは?」
「此処には彰良さんが居るから、少なくとも屋敷のなかで一人になることはありませんよ」
お茶を注いでくれた圭人さんは心配そうな顔をしていた。この人たち、本当にツンデレ、天の邪鬼、人見知り、人間不信なのかな。凄い心配してくれてるんだけど。
「瑞妃ちゃん」
「はい」
「僕は、君がこの屋敷に居る限り、全力で君を守るよ。瑞妃ちゃんがいることで仕事が増えたとか、そんなのありえないからね」
「…」
「瑞妃ちゃん、僕らねこう見えて生活力ゼロなんだ」
「そうそう。彰良さん、ダークマターしか作らないからね」
「彰良の守りは随一だから、瑞妃。此処に居れば良い。お前の予言が覆るまで。お前を守る奴が現れるまで」




