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ソクラテス、現代に転生して哲学でAiに打ち負かされる  作者: がお


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10/14

【名言10】友を得るには、まず友たれ。

久しぶりに投稿します。必殺の方も一段落したので、また再開します。

朝。

主人公が洗面所で顔を洗い、身支度を整える。

制服代わりの私服に着替え、鞄を肩に掛けてリビングへ向かうと、ソクラテスが湯呑みを片手にくつろいでいた。

「おお、おぬし。朝から忙しそうじゃのう」

「大学ですから」

主人公が答えると、ソクラテスは首を傾げた。

「だいがく?」

「最初に僕らが出会った所ですよ。」

「ほうほう。あそこは学ぶ場所というわけじゃな」

「そうです」

ソクラテスは顎髭を撫でながら、しばらく考え込む。

「して、何を学ぶのじゃ?」

「経済学です」

「けいざいがく……」

ソクラテスは難しい顔をした。

「それは美味いのかの?」

「食べ物じゃありません」

「そうか。残念じゃ」

主人公はため息をついた。

「じゃあ、行ってきます」

「うむ」

ソクラテスは頷く。

だが次の瞬間、当然のように立ち上がった。

「では、わしも行こうかの」

「なんでですか」

「学ぶ場所なのじゃろう?」

「そうですけど」

「ならば、わしも学びたい」

「絶対問題起こしますよね?」

「心外じゃのう。わしはただ質問をするだけじゃ」

「それが問題なんです」


場面は変わり、大学。

広いキャンパスを歩きながら、主人公は何度も周囲を見回していた。

幸い、ソクラテスは物珍しそうに辺りを見回しているだけで、まだ問題は起こしていない。

講義棟の前で主人公は足を止めた。

「僕は授業がありますから」

「うむ」

ソクラテスは頷く。

「しばらく別行動です」

「分かった」

妙に素直な返事だった。

主人公は少し不安になる。

「いいですか。絶対に騒ぎを起こさないでくださいよ」

「わしを何だと思っておるのじゃ」

「問題製造機です」

「ひどい言われようじゃのう」

ソクラテスは肩をすくめた。

「わしは少し大学というものを見て回るだけじゃ」

「本当でしょうね」

「安心せい。わしはただ、人々に話を聞くだけじゃ」

主人公は額を押さえた。

それが一番危ない。

「とにかく、おとなしくしていてください」

「善処しよう」

その言葉が全く信用できなかった。

主人公は何度も振り返りながら講義棟へ入っていく。

一方その頃、ソクラテスは学生たちが行き交う広場へ向かっていた。


時間は流れ、昼休み。

講義を終えた主人公は食堂へ向かう途中で足を止めた。

「そういえば……」

朝から放置していた人物を思い出した。

ソクラテスである。

嫌な予感しかしない。

主人公は辺りを見回した。

すると、中庭の方に妙な人だかりができているのが見えた。

何人もの学生が輪を作り、その中心を覗き込んでいる。

「まさか……」

主人公の頬が引きつる。

嫌な予感が確信へと変わる。

「やっぱり……」

主人公は人混みへ向かった。

近づくにつれ、聞き覚えのある声が耳に入る。

「では君は、友とは何だと思うのじゃ?」

やっぱりだ。

主人公は頭を抱えたくなった。

人垣をかき分けて中へ入る。

そこにはベンチに腰掛けたソクラテスと、それを囲む十数人の学生たちがいた。

まるで即席の講義である。

「友達って、一緒にいて楽しい人じゃないですか?」

一人の学生が答える。

ソクラテスは満足そうに頷いた。

「なるほど。では、一緒にいて楽しい者は全て友なのかの?」

「え?」

学生が言葉に詰まる。

ソクラテスは続ける。

「祭りで隣になった者と楽しく話した。ならばその者も友なのかの?」

周囲から「確かに……」という声が漏れる。

主人公は空を見上げた。

おとなしくしていろと言ったはずなのに。

なぜ講義を始めているのだろう。

しかし不思議なことに、学生たちは誰も嫌がっていなかった。

「何このおじさん」

女子学生が思わず吹き出す。

「変なこと言ってるのに、なんか面白い」

隣の友人も笑いながら頷いた。

一方で、腕を組んだ男子学生が感心したように呟く。

「でも、一理あるな」

学生達は、それぞれ意見を述べている。

「ならば明日も裏切らぬと、どうして分かる?」

男子学生は言葉に詰まった。

周囲から「おお……」と感心した声が上がる。

「はい、そこまでです」

主人公がソクラテスの肩を掴んだ。

「おお?」

「昼ご飯です」

「ほう、飯か」

ソクラテスは素直に立ち上がった。

学生たちから残念そうな声が上がる。

「えー、続きは?」

「またの機会じゃな」

ソクラテスは手を振る。

主人公はため息をつきながら歩き出した。

「食堂へ行きますよ」

「しょくどう?」

「ご飯を食べる場所です」

「なんと素晴らしい場所じゃ」

二人は学生食堂へ向かった。


食堂でそれぞれ昼食を受け取る。

主人公は定食を、ソクラテスは興味本位でカレーを選んでいた。

「ほう。これが大学の飯か」

「冷めないうちに食べましょう」

二人は空いているテーブルに腰を下ろした。

その時だった。

「失礼」

一人の男子学生が近づいてくる。

「急で悪いんだけど、財布を忘れちゃってさ」

男子学生は困ったように頭をかいた。

「昼飯代を貸してもらえないかな? 明日返すから」

主人公は少し迷った。

だが、本当に困っているようにも見える。

「分かったよ」

主人公は財布を取り出し、千円札を差し出した。

「ありがとな!」

男子学生は頭を下げる。

主人公は苦笑した。

「ちゃんと返せよな」

「もちろん!」

男子学生はそう言うと、食券売り場の方へ走っていった。

ソクラテスはその背中を見送りながら尋ねた。

「彼は友かの?」

「え?」

主人公は顔を上げた。

「今の男子学生じゃ」

「ああ、一応」

主人公は箸を手に取る。

「入学した頃からの知り合いです」

「ほう」

「友達かと言われると微妙ですけど」

主人公は苦笑した。

「普段はあまり学校に来ませんし、会うのもたまにです」

「なるほど」

「それに会う時は、大体お金を貸してくれって言われます」

ソクラテスは黙って主人公を見つめた。

主人公はその視線に気付いて肩をすくめる。

「まあ、悪い人じゃないんですよ」

「ふむ」

ソクラテスは小さく頷いた。

食事を終えたソクラテスは、お茶を一口飲むと立ち上がり、先ほどの男子学生のテーブルへ向かった。

男子学生は一人で昼食を食べている。

ソクラテスはその前に立った。

「少し尋ねてもよいかの?」

「え?」

男子学生が顔を上げる。

「おぬしは、あやつの友か?」

ソクラテスは主人公を指差した。

男子学生はきょとんとした顔になる。

「友達……ですけど?」

ソクラテスは静かに頷いた。

「なるほど」

そして、さらに問いを重ねた。

「では、おぬしは友とは何だと思うのじゃ?」

「何って……」

男子学生は少し考えた。

「困った時に助けてくれる相手、ですかね」

「なるほど」

ソクラテスは顎髭を撫でる。

「では、おぬしは今まで彼を助けたことがあるかの?」

「え?」

男子学生は固まった。

「彼には何度か金を借りています」

ソクラテスは静かに続ける。

「それは知っておる」

男子学生は言葉に詰まる。

「だが、おぬしは彼のために何をしたのじゃ?」

「それは……」

答えが出てこない。

ソクラテスは責めるでもなく言った。

「友とは助けを求めるだけの相手ではあるまい」

男子学生は視線を落とす。

「友を得たいなら、まず自らが友であらねばならぬ」

しばらく沈黙が流れた。

「わしはそう思うのじゃ」

男子学生は気まずそうに頭をかいた。

「はは……そうかもしれませんね」

ソクラテスは黙って見つめている。

「まあ、今度何かあったら手伝いますよ」

男子学生は軽く笑った。

その返事に深い反省の色はない。

ただ、その場をやり過ごしたいだけにも聞こえた。

「そうか」

ソクラテスはそれ以上何も言わない。

男子学生はトレーを持って立ち上がる。

「じゃあ、俺もう行くんで」

そう言い残し、足早に食堂を後にした。

主人公はその背中を見送りながらため息をつく。

「全然響いてないじゃないですか」

ソクラテスはお茶を一口すすった。

「そうかの?」

「そうですよ」

「人は他人の言葉では変わらぬ」

ソクラテスは静かに言う。

「変わるとすれば、自ら考えた時じゃ」

主人公は首を傾げた。

「では、今の話は無駄だったんですか?」

ソクラテスは小さく笑う。

「友を得るには、まず友たれ――じゃな」

「え?」

「友とは求めるだけのものではない。自らそうあろうとするものじゃ」

主人公は男子学生の背中を思い出す。

「でも、あの人には伝わってないと思いますよ」

「かもしれぬ」

その時だった。

主人公のポケットのスマートフォンから声がした。

『私は少し違う意見ですね』

主人公が顔をしかめる。

「お前、聞いてたのか」

『もちろんです』

スマホAIは平然と答えた。

『友を得るには、まず友を選べ――ですかね』

ソクラテスの眉がぴくりと動く。

『一方的に利用する人間と付き合い続ければ、損をするのは自分です』

「おぬしは随分と現実的じゃのう」

『統計的な話です』

ソクラテスは面白そうに笑った。

「確かにそうじゃな」

主人公は意外そうな顔をした。

「否定しないんですね」

「なぜ否定する必要がある?」

ソクラテスは肩をすくめる。

「友を選ぶのも大切なことじゃ」

そう言うと、ソクラテスは主人公を見る。

「だがまあ」

「?」

「友なら、もうここにおるではないか」

主人公は首を傾げた。

ソクラテスは自分を指差し、次に主人公のポケットのスマートフォンを指差す。

『その判定には異議があります』

AIが即座に返す。

「却下じゃ」

「却下しないでください」

主人公は思わず突っ込んだ。

昼休みの食堂に、二人の笑い声が響いた。



【友を得るには、まず友たれとは?】

良い友達が欲しいなら、まず自分が良い友達になりなさいという事。

友達だからと甘えるのではなく、友達だからこそ大切にしよう!

最近AI 使用が厳しいですが、僕にとってはAI はパートナーなので、このままのスタイルで続けます。

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