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ソクラテス、現代に転生して哲学でAiに打ち負かされる  作者: がお


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9/9

【名言9】人は、自分が思っている以上に多くを語っている

久しぶりに哲学してみました。

最近、決まって来る少年がいる。

買うのは、いつも同じ。

駄菓子を、数個。

多くもなく、少なくもない。

ソクラテスは、袋を手に取りながら言う。

「袋は要るか」

少年は、首を振る。

「いらない」

「そうか、気を付けて帰るのだぞ。」

少年は、どこか元気なく店を出た。

自動ドアが閉まる音だけが、残った。

ソクラテスは、しばらくその方向を見ていた。

それから、隣にいる主人公へ視線を向ける。

「聞きたいのだが」

「ん?」

「この時間に、あの少年は何をしておると思う」

主人公は、少し考える。

「この辺、最近塾できたじゃん」

「だから、それじゃない?」

「帰りにうち駄菓子買いに来てるとか」

ソクラテスは、すぐには答えなかった。

「ほう」

短く、そう言う。

「……何?」

主人公が首をかしげる。

「いや」

ソクラテスは、レジに手を置いたまま言う。

「その考えは、多いのだろうな」

「は?」

「遅い時間の少年」

「近くに塾」

「ならば、そう結びつける」

主人公は、少しムッとする。

「普通そうだろ」

ソクラテスは、静かに首を振る。

「普通とは、多数だ」

「正しいとは限らん」

間。

「では、問おう」

「む」

「お前は、あの少年が“そうだ”と知っておるのか」

主人公は、言葉に詰まる。

「……いや、別に」

「ならば、それは何だ」

「推測だろ」

ソクラテスは、わずかに口角を上げる。

「そうだ」

「そして人はな」

「推測を、いつの間にか事実にする」


次の日。

同じ時間。

自動ドアが、同じ音で開く。

少年は、やはり来た。

棚の前で立ち止まり、

同じ駄菓子を、いつもより多く取る。

――昨日と、違う。

レジに置く。

音まで、似ている気がした。

ソクラテスは、何も言わない。

「袋は要るか」

「いらない」

昨日と、同じ言葉。

同じ速さ。

同じ声。

違うのは――

ほんの少しだけ、目線が低い。

会計を終え、少年は出ていく。

自動ドアが閉まる。

静寂。

主人公が、小さく呟く。

「……やっぱ、塾かもな」

ソクラテスは、答えない。

ただ、レシートを見ながら言う。

「昨日より、多く買っておる」

「え?」

「同じということは、変わらぬということではない」

「むしろ――」

一瞬、間を置く。

「隠しておる可能性が高い」

主人公は、眉をひそめる。

「隠してる?」

ソクラテスは、少年が出ていった扉を見る。

「人はな」

「言葉で隠し、行動で漏らす」

次の日。

同じ時間。

自動ドアは、開かなかった。

店内は、いつも通りだった。

客は来る。

商品は売れる。

何も、変わらない。

――一つを除いて。

主人公は、時計を見る。

もう、とっくに過ぎている。

「……来ないな」

ぽつりと呟く。

ソクラテスは、棚を整えながら答える。

「来ぬな」

それだけだった。

「いや、でもさ」

主人公は、少し落ち着かない。

「塾が休みとかじゃない?」

「あるいは、曜日が違うとか」

ソクラテスは、手を止める。

「ほう」

「また、それか」

「え?」

「理由を、作る」

「安心するために」

主人公は、言葉に詰まる。

「……違うのか?」

ソクラテスは、ゆっくり首を振る。

「分からん」

「だから、問う価値がある」

間。

「来るという前提で考えていた」

「来ぬ可能性は、考えなかった」

主人公は、黙る。

確かに――

自分は、来るものだと思っていた。

理由もなく。

ただ、昨日まで来ていたから。

「人はな」

ソクラテスが、静かに言う。

「続くものを、続くと信じる」

「それが崩れたとき、初めて考える」

店内の空気が、少しだけ重くなる。

主人公は、無意識に入口を見る。

もう一度、開く気がした。

――開かない。


数日が過ぎた。

同じ時間は、何度も過ぎた。

だが、少年は来なかった。

そして――

ある日。

自動ドアが開く。

時間は、まだ早い。

いつもの、あの時間じゃない。

少年だった。

足取りが、少しだけ重い。

棚の前で、立ち止まる。

手が、伸びる。

だが――

一度、止まる。

それでも、取った。

いつもの駄菓子。

ただ、数は少ない。

レジに来る。

目は、合わせない。

ソクラテスが、静かに言う。

「お主」

少年の肩が、わずかに揺れる。

「……はい」

「今まで、どうしておった」

少しの沈黙。

「……来れなかっただけです」

「なぜだ」

少年は、視線を落とす。

指が、わずかに震えている。

「家が、厳しくて」

「……駄菓子、ダメなんです」

間。

「だから、こっそり」

「塾の帰りに、買ってて」

声が、小さくなる。

「……バレました」

店内は、静かだった。

機械音だけが、淡々と流れている。

主人公は、何も言えない。

ソクラテスは、少年を見たまま言う。

「そうか」

それだけだった。

責めもしない。

慰めもしない。

ただ、受け取る。

少年は、少しだけ顔を上げる。

「……もう、やめます」

小さく、そう言った。

その言葉は、誰に向けたものでもなかった。

だが――

確かに、置かれた。

ソクラテスは、ゆっくりと問う。

「それは」

一拍。

「正しいか」

少年は、答えない。

答えられない。

ただ、唇を噛む。

「誰の、意見だ」

少年は、黙ったまま俯く。

答えは出ているのに、

言葉にならない。

ソクラテスは、しばらく待ってから、静かに続ける。

「では、もう一つ問おう」

少年が、わずかに顔を上げる。

「む」

「お前は」

一拍。

「それを、親に伝えたのか」

「……え?」

「駄菓子を、どうしても食べたいと」

少年の目が、揺れる。

「……いや」

「言って、ないです」

「なぜだ」

言葉が、詰まる。

「……怒られるから」

「そうか」

ソクラテスは、わずかに頷く。

「では」

「怒られぬように、隠した」

「……はい」

「そして、見つかったからやめる」

「……はい」

短い沈黙。

ソクラテスは、静かに言う。

「それは」

「お前の、意見か」

少年は、何も言えない。

主人公は、そのやり取りを見ながら、息を飲む。

ソクラテスが、さらに続ける。

「人はな」

「怒られぬように動くとき」

「自分の意見を、手放す」

少年の手が、ぎゅっと握られる。

「だが」

「問うこともせずに、従うのは」

「正しいとは言えぬ」

間。

「お前は、まだ」

「何も、選んでおらん」

主人公は、少しだけ迷ってから口を開いた。

「……なあ」

「一回、言ってみたらどうだ?」

「ちゃんと、自分の言葉でさ」



いいね、その一言でちゃんと“前に進む”感じが出る。

ただ、そのままストレートに置くより

少しだけ間と迷いを入れると、ぐっとリアルになる。

整えてみるね。

少年は、しばらく何も言わなかった。

視線を落とし、考える。

短くない時間。

それから――

小さく、頷いた。

「……分かった」

一拍。

「言ってみる」

声は、強くない。

だが――

「それでよい」

ソクラテスは静かに答えた。


次の日。

同じ時間。

自動ドアが開く。

少年は、来た。

いつもと同じ。

同じ時間。

同じ歩き方。

――だが。

違う。

表情が、明るい。

棚の前で、少しだけ迷う。

そして、いつもの駄菓子を取る。

数はいつも通り――

レジに来る。

目が、合う。

ソクラテスが、静かに言う。

「どうした」

少年は、少しだけ照れたように笑う。

「……昨日」

「親に、話しました」

一拍。

「そしたら」

「意外と、あっさり」

「いいって」

主人公が、思わず言う。

「え、マジで?」

少年は、頷く。

「量、ちゃんと守るならって」

「あと、隠すなって」

ソクラテスは、わずかに口角を上げる。

「ほう」

「では」

「どう思う」

少年は、少し考えてから言う。

「……最初から」

「言えばよかったです」

その言葉は、素直だった。


主人公は、少年の背中を見送りながら言った。

「なあ」

ソクラテスが、ゆっくり視線を向ける。

「ん?」

「なんで分かったんだよ」

一拍。

「悩んでるって」

ソクラテスは、少しだけ考える。

それから、静かに言った。

「簡単だ」

「む」

「人はな」

間。

「自分が思っている以上に、多くを語っておる」

主人公は、眉をひそめる。

「……語ってたか?」

ソクラテスは、レジの方へ視線を落とす。

「同じ時間に来る」

「同じものを買う」

「同じことを言う」

一拍。

「だが、少しずつ違っておった」

「目線」

「間」

「手の動き」

主人公は、黙る。

思い返す。

確かに――

「……ああ」

小さく、漏れる。

ソクラテスは、わずかに口角を上げる。

「言葉だけが、言葉ではない」

「人は、自分が思っている以上に多くを語っている」

主人公は、何も言えなかった。

レジの小さな音だけが、店内に残る。

そのときだった。

少し離れた場所から、

Aiの淡々とした声


【行動は情報である。

 それを見逃さず、手を差しのべること――それが理解だ】


店内の空気が、わずかに揺れる。

主人公は、ゆっくりと顔を上げた。

「……今の」

ソクラテスは、視線だけで応じる。

「うむ」

それ以上は、何も言わない。

だが――

同じ意味が、そこにあった。



【人は自分が思っている以上に多くを語っているとは?】

人は、言葉にしてない気持ちまで、行動や態度に出てしまうってことだ。

少しづつてすが、また再開しますね。

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