珈琲と占いの店 地底人7
太田まりあの話④
終業式の翌日。私は委員長会に参加するために登校した。
「お疲れ様ー。今日もあっついねぇ!」
多目的室に入るとA組の澪がそう言って私を出迎えてくれた。私はそれに「お疲れ様です。暑いよね」と軽く返した。澪とは入学以来ずっとこんな関係なのだ。良い意味で気安い仲。素直にそう思う。
「これで……。みんな集まったね。ではこれより七月度委員長会を始めます。今回は私が議長を務めさせていただきますね」
澪はそう言うと今回の議題の書かれたプリントを各クラスの委員長に配った。議事進行に卒がない。流石は一年で一番の優等生だ。
「えっと……。マリー悪いんだけど書記お願いできる?」
「いいよー」
「ありがと。それじゃ始めますねー」
それから澪は各クラスの委員長に話を振ってはその意見を全体に回していった。そして私が筆記しているタイミングを見てそのたび適当な雑談を挟んだ。澪はこういうところが上手いのだ。書記のことも他のクラスの委員長のこともおざなりにはしない。理想的な学級委員長。客観的に見てもそう思う。
「――では次回の委員長会は二学期に入ってからですね。そのときに秋期コンペの話は決定ということで」
会議の終わり。澪はそう言って各クラスの委員長たちを見渡した。それに対して委員長たちは「異議なしです」と声を揃えて言った――。
「う、うーん! ったくしょうがないよねぇ。夏休みに入ってから登校とかさぁ」
委員長会が終わると澪はそう言って大きく背伸びをした。
「そうね。今回は先生たちの都合で振り回された感じよね」
「そうそう! マジでさぁ。勘弁して欲しいよ。まったく」
澪はそんな風にぼやくと「フフッ」とどこか嬉しそうに笑った。そして「まぁ、でもマリーと会えて良かったよ。ちょうど話したかったんだ」と続けた。その口調から察するに澪は私に何か相談事でもあるようだ。
「何? 何か悩み事?」
「ああ、ちょっとね。ねぇ? 今からちょっとプール行かない? 掃除頼まれてさ」
澪はそう言うと多目的室の窓から校庭横のプールを指さした。そして「あそこなら邪魔入らないだろうし」と悪戯っぽく笑った――。




