cinque ヒント探し1
「昼食後、片付けは私カミルイが行います。そこで皆さんにはヒントとなるカードを探しに行ってほしいです」
食事もほとんど終わり、自己紹介も終わってから、カミルイさんは告げた。
とうとう本格的にマダミスが始まる。果たしてどんなヒントがあって、そこからどういう風な答えになるのだろうか? 頭がふわふわする、楽しみだな。
「調べることができるのはセアラの部屋、ミーナ、リズ、リリの部屋、ヘアトンの部屋、ローズの部屋、リアンの部屋、大ホールの6部屋です。自分が使っている部屋以外を1つだけ調べてほしいのですが、どうしますか?」
今自分が使っている部屋は調べたら駄目で、それ以外の部屋らしい。
それならどこがいいかな? ていうかどこの部屋を調べたら良いのか、分からない。
「私はヘアトンの部屋を調べたいです。やっぱり人が死んだ部屋にヒントが多いですよ」
「そうだったら、私は大ホールが良いです」
リアンさん、ローズさんの2人はあっさりと探す場所を決める。
これで残るは、私とメイド達だけだ。
「私は3人の部屋を調べます。疑っていませんが、念のためです」
自分の部屋は自分で調べられない。ということは3人が自室にしている部屋を調べた方がいいでしょ。
今残っているのが、私の部屋と3人の部屋、それからローズさんとリアンさんの部屋。これじゃあ自室を調べることができないので、3人は自分の部屋以外になる。それなのに4カ所しか調べることができないから、私しか調べる人はいないしね。
「私はセアラ様の部屋にします。私が3人の中で、一番セアラ様から距離がありますから」
3人の中で、リリさんが真っ先に答える。
「私はローズさんの部屋にします」
「私はリアンさんの部屋ですね」
ミーナさんとリズさんも決めて、スムーズにみんながどこの部屋を調べるのかが決まった。
「では少ししたら行きましょう。そう今のうちに自室に置いた貴重品や私物は回収してください。自室に色々な人が来ますから」
貴重品は今も持っているし、そもそもたいした物を私は持っていない。
この閉鎖的な島で、必要な物なんて特にあるわけではないのだ。
そこで貴重品を取りに行った他の人を待ちながら、本棚にある本を見つめる。
「本当にこの本、どんなんだろう?」
昼食前に見た『奈良レインボーフェスタ、奈良レインボーパレードボランティア日記』を手に取った。
見た目はノートのようで、中には何かが書いてある。
ただし私は島の外へ行ったことがないのもあって、意味が全く分からない。かろうじて読めるけど、地名すらあんまりピンとこない。
とまあ理解できないので、そのままノートを本棚にしまう。
「では皆さん探してください」
全員集まったらしく、カミルイさんが指示を出す。
私が探すのは、ミーナさん達メイドさんが使っている部屋だ。そこで階段近くにある私の使っていた部屋を通り過ぎて、その隣にある3人の部屋へと向かう。
流石3人の部屋と言うべきか、ベッドが3つある。部屋の大きさは私が使っている部屋と変わらないから、ベッドのせいでやや狭い。
そしてクローゼットはあった。
「この中にあるのかな・・・・・・」
さっき私が使っていた部屋で探していたとき、カードはなかった。
そこで探すことができなかったクローゼットの中にカードはありそうだ。
でもこのクローゼット、鍵がかかってるんだよな。どこに鍵があるんだろう。
「そうだ」
私はベッドの下を見る。学園では大事な物をベッドの下に隠すことが流行っている。例えばこっそり入手した外国関係のものなんか、みんなベッドの下に隠している。
となればここでもベッドの下に、鍵があるかもしれない。
ベッドは3つあるから、一体どれだろう? 入口から奥にかけて3つある、ベッドの下をのぞいていった。
1つ目のベッドには何もなくて、2つ目のベッドの下には箱がある。箱をとって中を開けてみると、そこに鍵があった。
やった、これでクローゼットの鍵を開けられる。
私はクローゼットの前へ行き、鍵穴を探す。あっ取っ手の近くに鍵穴発見。
鍵穴に鍵を入れて、回す。少しひっかかりはしたものの、鍵はスムーズに回った。これで鍵が開いたかな?
「あっ開いた開いた」
クローゼットを開けると、中にはほとんど何も入っていない。
でも今探しているのはカードなんだし、かさばるものじゃない。調べるなら下の方でしょ、そこにカードが落ちている可能性が高い。
あっ封筒が落ちている。
緊張のためか震えそうになる手で、封筒を取った。封筒の数は6枚ある、紫、水色、ピンク、白、赤、黄色と封筒はカラフルだ。
この封筒の中にカードが入っているはずだ。深呼吸をして、封筒を1つずつ開けていく。
紫の封筒何もなし、水色の封筒もそう。
「えっとこれは『瑠璃島館へのお誘いのお手紙』か」
ピンク色の封筒に入っていたのは『ぜひ瑠璃島館へ来てください』と書かれたカードだった。カードに書かれた説明文によると、これはセアラの家に届いたお手紙らしい。
すなわちセアラはこの館には、誘われてきたって事になる。
「あっこっちにも入ってる。えっと『胃薬(毒味用)』だって」
白色の封筒の中にも、カードが入っていた。
毒味する人のために、胃薬って事だろうか? 毒味をするとすればリリさんだろうか?
3人の中で立場が一番弱いから、そういうのありえそう。
赤色の封筒と黄色の封筒は空っぽだった。えっとたいした情報はない。これらの情報だけで犯人が分かるわけがない。
なんせセアラ達が瑠璃島館へ招待されたこと、そして毒味役用の胃薬があること。それのどこが事件に関係ある?
もしかして3人は事件とは全く関係がなくて、それでヒントのカードもお粗末なのかもしれない。
そのほかクローゼットの中には何もない。ヒントとなるカードも、そうじゃないものもない。
3人の部屋の中には、3人の私物すらなくてがらんとしている。当然のように他のカードもない。
お風呂場やトイレも探すべきかな? 時間もあるし、探すことにした。
とはいってもお風呂場やトイレも、私の部屋と同じくヒントとなるカードがなかった。トイレの収納も探してみたけど、何もない。
手詰まりだ、このままじゃあ謎解きができない。
犯人の手がかりとなるカードはないし、あるのは何に役立つのか分からない情報のカードだけだし。
今私は詰んでるかもしれない。私だけでは何も分からない。
「セアラ様、調べるの終わりです。情報共有、大ホールでしますよ」
誰かが声をかけてくれたので、3人の部屋を出る。
さーて他の人はどんな情報を持っているのかな?




