表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『瑠璃島館殺人事件』  作者: 西埜水彩
『瑠璃島館殺人事件』
PR
4/10

quattro 経緯説明

「まずはへアトンさんは最初から存在していません。ここにあるのはマネキンです」


 カミルイさんは布団をめくる。そこにはナイフが刺さったマネキンがあった。


「ではこれから説明しますので、入り口に集まってください」


 カミルイさんがバラバラな場所にいる私達へ声をかけた。


 カミルイさんの話し的には、ここにいるので全員ってことなんだろうな。そこで今が一番始まりにはふさわしい。


 部屋の中は、私が使っている部屋とは変わらない。奥のドアはバスルームやトイレへ向かう物だし、私の部屋と同じクローゼットとベッドがある。ただ私物がないからか、モデルルームの感じが強い。


 そのベッドの上には、ナイフが刺さったマネキンがある。カミルイさんが布団をめくったため、さっきまでと違って生々しい。


 これいくらお金がかかっているんだろうか? だってマネキンは安くはないし、ナイフが刺さったことにより売ることもできなくなるだろう。


「セアラ様、これでようやく始まりますよ。でもどういう風になるのでしょうね」


 カミルイさんの言葉を無視して、リリさんはあちこち見ている。


「とりあえず今はカミルイさんの話を聞きましょう」


 私はリリさんの手を引っ張り、カミルイさんの周りにいる。


 そこにはミーナさん、リズさん、それからローズさん、コスプレっぽい執事がいた。これ以上は増えなさそうなので、本当にここにいる人たちが参加者なのでしょう。


「ではまずは点呼をします。セアラさん」


 とカミルイさんは1人ずつの名前を呼び出した。どうやら参加者の点呼の時間らしい。


 全員の名前が呼ばれ、みんな『はい』と返事した。これで全員そろったのをカミルイさんが確認したので、とうとう始まるんだ。


「GMのカミルイと申します。これからよろしくお願いします。それではまずは大ホールで昼食をとりながら、これからの話をしましょう」


「この部屋は調べたらいけませんか?」


 手を上げてローズさんが質問した。どうやらローズさんはかなりやる気があるみたいで、部屋のあちこちを見ている。


「駄目です。どこを調べるかは、大ホールで決めます」


 そりゃそうだ。今始まったばかりだから、調べるのは無理だろう。


 とはいえもうすでにこの部屋を観察することはあらかた終わった。証拠は特に見つけられなかったけど。


「そうですね。昼食の時間ですし、そのときにアリバイとかも話しましょう」


 コスプレっぽい執事はうきうきで、誰よりも早く部屋から出た。


「あっ大事なことを言います。これからマーダーミステリー『瑠璃島館殺人事件』のセッションをスタートします。気分転換のために瑠璃島館へやってきたセアラさん、ミーナさん、リズさん、リリさんの4人です。この館ではローズさんとリアンさんの2人が働いてきます。その館で起きた殺人事件、果たして犯人は誰でしょう?」


 そうこれはマーダーミステリーだ。役を演じながら、殺人事件の犯人を見つけるというゲーム。


 私の役である『セアラ』は殺人犯ではないので、GMであるカミルイさんをのぞいた残りの中に犯人がいる。そしてコスプレっぽい執事の名前はリアンらしい、さっきの点呼でこの名前で返事していたから間違いない。


 そこでまずは情報を集めるために、話し合いだ。そのためにも大ホールで集まって、昼食をとりながら話すのが一番良いだろう。


 大ホールにはさっきまでと同じく大きな机、こぢんまりとした本棚もある。


 周りを見てみると、他の人は食事の準備で忙しそうだ。私は公爵令嬢なのだから手伝わなくていいはず、そこで本棚へ近づく。


「これはイタリア語の本かな? 英語とは雰囲気が違う」


 私は別に外国語のことに詳しくないけど、背表紙を見る限りイタリアっぽい感じがする。


 その中に一冊だけノートがあった。


「えっと『奈良レインボーフェスタ、奈良レインボーパレードボランティア日記』って本なのね。うーんどういう内容だろうか」


 いまいちよく分からないので、ノートを本棚に片付ける。


「セアラ様、食事の時間ですよ」


 リズさんの声がする。どうやら昼食の準備が終わったらしい。


 私はリズさんが案内してくれた席に座った。私は公爵令嬢なので奥の席で、周りにはリズさん、ミーナさん、リリさんがいた。


「ではいただきます」


 カミルイさんの合図とともに、食事が始まる。


 ナポリタンとサラダ、そしてメインが牛肉のステーキだ。物価高の今、とても貴重な食事になっている。


 少なくとも私が通っている学校の寮では、ステーキなんて全く出ない。そこでひとかけらずつ、ゆっくりと味わっていく。


「今回はこのマーダーミステリーに参加していただき、誠にありがとうございます。今日はリアルでのマーダーミステリーとのことで、ヒントが書いてあるカードを部屋に行って探していただきます」


 マーダーミステリーを私はしたことがないので、リアルでのマーダーミステリーがマーダーミステリーとの違いがあるのかよく分からない。


 でもカミルイさんの感じからすると、このイベントは独特なのだろう。


「ということはヒントとなるカードを探して、あちこちの部屋へ行くのですか? この人数ですとTRPGみたいに机の上でするかと思ったんですけど」


 ローズさんが手を上げて、質問する。


 TRPGを私は知らないので、ローズさんが何を言っているのかは分からない。


「脱出ゲームみたいな感じですよ、どっちかといいますと。そのためにカードを集めると謎が解けるような、簡単なつくりにしています」


 へーこのマーダーミステリーは簡単らしい。いやそれはカミルイさんにとって簡単であり、私には関係ないか。


「ではまずは自己紹介をしましょうか。役名とハンドルネームをお願いします」


 どうやら自己紹介の時間が始まったらしい。今までと違ってハンドルネームを言うから、マーダーミステリーとはあんまり関係なさそうだ。


「私からいきます。リアン・ラーゴです。ハンドルネームはるれです。よろしくお願いします。まだミスには詳しく、何度もしたことがあるので気軽に頼ってください」


 この中では一番年が植えそうで、少しおじさん感もある。マーダーミステリーが好きと言うことは、このためにわざわざこの島へ来たのかな?


「ローズ・イゾラです。よろしくお願いします。ハンドルネームはまつで、私もまだミスには詳しいです」


 るれさんよりも年下そうだけど、この中では一番しっかりしていそう。実際この中ではリーダーになれそうな感じがする。


「私はリリ・フェッロです。ハンドルネームはくるみで、この島の高校生です」


「私はミーナ・スターニョで、ハンドルネームはさくらです。私もリリと同じく高校生です」


「私はリズ・オットーネです。ハンドルネームはももで、リリやミーナと同じく高校生です」


 3人が適当に自己紹介をする。3人ともマーダーミステリーの話はしない、やったことないはずだから。


「私はセアラ・ドゥーカです。よろしくお願いします。ハンドルネームはいちごです」


 ということで3人にそろってさらっとした挨拶をしてみた。まあ別に私の事なんて、詳しく知らなくても良いでしょ。


「今日はこのメンバーでしていきます。ではみなさんにしかできない、ゲームの世界を作りましょう」


 カミルイさんがうきうきとした、高い声で話し続ける。


 別にマーダーミステリーをしたら何かが変わるわけではない。それでも今は答えを出すことが大事だ。


 だってマーダーミステリーに参加すると決めたのは、自分だから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ