5.Cafe Time with you(11)
2話目です!
11.始動⑥
「無理だと思う理由を、全部教えてください」
私の言葉を聞いた全員が一瞬ぽかんと口を開けていたが、次の瞬間、一斉に高瀬さんに向きなおった。
「えっと……、人足りていないよね」
高瀬さんがぽつりと答える。
「はい、足りてません」
是と答える私。
そして、周りはそれを見守りに徹する。
「工数もおかしいでしょ。計算は?」
「まだです」
「仕様固まってない」
「そうですね、本当はもっと追加したいくらいなのですが……」
「はい?これ以上追加してどうするのよ!」
「え?だって、楽しい方がいいじゃないですか」
ね?と兄に同意を求めると、うんうんと笑っていた。
(どうせやるなら、できるところまで頑張りたいし)
脳内でやりたいことを思い浮かべ、笑みがこぼれる。
「だ、だからと言って、これじゃ間に合わないでしょ!」
「そうですね……。そこが問題なんですよね」
高瀬さんは納期と仕事量を気にしているのがわかる。
「通常はこれくらい工程を組んでいくもので……」
そう言って、持ってきていたタブレットでフロチャートを見せてくれた。
(このフロチャート、自分で作っているみたい)
わかりやすく作られたものを、みんなで確認する。
「無理って言ってるのは、感情じゃないです」
高瀬さんの声は、落ち着いていた。
「ありがとうございます」
私は感謝の気持ちを素直に伝えた。
「え?」
高瀬さんは首をかしげる。
「すごく真剣に考えてくださったのがわかります。これ全部、必要な指摘でした」
そう、私一人では見えないことを気付かせてくれたから。
「それで、一つ提案なのですが、工程を変えませんか?」
「え?工程を?」
「はい。先ほどのフロチャートがわかりやすくて、見直ししてみるのもありだなって」
ちゃんと目で見るとわかることもたくさんある。
「例えば……こことここを、逆にしたり。あ、これだと意味ないか……。あ、ここをこっちに移動したら……、真ん中が必要なくなりませんか?」
思いついたことを口にしてみた。
「……あ」
「うん……これなら、できそう」
「ですね。人もなんとかなる?かも」
次々に感想を述べてくれる。
さっきまで顔が青かった田中君も笑顔になってくれて安心した。
「あとは……仕様は明日までに何とか形にしますので」
(私のところで止まっていたら、みんなに迷惑かけちゃう)
少し前のめりで伝えた。
「それじゃ、今日はこれで解散ってことでいいんじゃない?」
そう言ってカレンさんがパンと手をたたいた。
「そうですね。今持っている仕事をほかの人に振り分けましょうか」
「そうしてくれると助かる!」
「え?カレンさん、もしかして仕事もしながらこちらをするつもりでした?」
「うん。何とかできる量だと思ったからね~」
そう言うカレンさんを眩しく思って聞いていた。
「でも、それでも3か月というのは……」
高瀬さんはやはり不安があるのだろう。
「高瀬さん、これは3か月でも長い方なんです。本当なら2か月で次の工程に移りたいのですが……」
(お兄ちゃんにお願いして3か月にしてもらったのよね)
「2か月?それは!……そもそも、なんでそんなに短いんですか?」
高瀬さんの疑問は尤もだと思い、兄の顔を見る。
「言ってもいいよ」
仕方ないなという顔で了承してもらった。
「あの、まだ公表していないことなので、オフレコで」
前置きをして、大事なことを伝えた。
「これは――ヴォルフシュバルツのRPGゲームのリニューアルの一部です」
「「「「え?!」」」
「1年後にリリースとなります。ね、お兄ちゃん」
一応、リーダーの兄にも念押しをした。
「そう言うこと。みんな、よろしくね」
笑顔の兄を見た高瀬さんは顔を赤くしたり青くしたり忙しそうだ。
「ヴォルフシュバルツ!」
とか
「あの……山本、樹様?」
なんて言いながら。
タブレットを抱え直し、私は会議室のドアへ向かった。
これから忙しくなる。
一分だって無駄にできない。
今日も読んでくれてありがとうございます!
明日も2話投稿頑張ります!




