5.Cafe Time with you(7)
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7.始動②
カンファレンスルームの扉を開けると哲平さんと兄の樹がモニター前に腰かけており、モニターの向こう側にはヴォルフシュバルツのチームメンバーが揃っていた。
「健太郎君、お帰り!思ったより早かったね」
兄が健太郎君を迎える。
「えっと、山本……樹さんとお呼びしていいですか?」
勿論と言い楽しそうな兄。隣でむくれている哲平さんとは雲泥の差だった。
私達は空いているところに腰かけると、兄が進行の掛け声をかける。
「さて、ヴォルフシュバルツのミーティングを始めるよ」
「部外者もいるようだが?」
哲平さんが噛みつく。
「哲平に意見は聞いていない。石川君も健太郎君もしっかりと手伝ってもらうからよろしくね」
2人の紹介は……省くみたいだ。
「さて、リリースが決まったよ。1年後の7月だ」
(1年後?それは……)
体が小さく跳ね、声は音を成さない。周りの人たちも青ざめた顔で何も言えない。
「みんな、暗い顔だね。ゴールが見えたからちゃんと予定組めるでしょ」
カラカラと笑う兄が、鬼に見えてしまう。
(どうしよう。エンドラインを2か月前に設定したとして……)
タブレットでカレンダーを開く。
「あ……」
表示されたものは、チーム共有カレンダーになっていた。
(展開が、早すぎて追い付かないよ)
幾つもの締め切り日がすでに設定されていて、視線が右に左にと揺れ動き、息が苦しくなる。
(どういうこと。最終締め切りがリリース3か月前?)
タブレットから離れた指が震える。
「瑞葵。大丈夫だから。深呼吸して」
後で説明すると言って兄は話を続ける。
「正直、かなりタイトだよ。でも、俺たちが全部こなす必要はない。人をうまく使ってね」
できるよねと口は笑っているのに目が冷たい。
「下に着けるメンバーは?」
「朔は自分の裁量で決めていいよ。理央は健太郎君を付けてあげよう。あと、哲平のところの何人かを入れてね。湊はどうする?」
「俺は……友人に頼みます」
「湊の信頼してる人だよね。いいよ。瑞葵と透の下は……哲平のところから5人借りようか。哲平の下は好きにしていいよ」
3日後にもう一度ミーティングするからと兄は言って、会議は強制終了した。
所要時間は、たった10分だった。
明日も投稿予定です。




