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飲めるあたたかさになるまで ――あなたの隣に、いてもいいですか。ずっと――  作者: 蒼宙 つむぎ


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5.Cafe Time with you(4)

本日2話目です。

4.にやけてしまう ~健太郎side~


 瑞葵ちゃんとWEBで打ち合わせと称して会話をする。

 画面越しだが、顔色もよく、やつれてもいないので心が少し落ち着いた。

 だが、仕事以外にも伝説のゲームのリニューアルのメンバーになったことでいろいろと悩みは尽きないと漏らした言葉が気になった。

(日本のいい所と悪い所が紙一重なんだよな)

 アメリカに来て、海外の考え方と手法をしっかりと学んだ。そして、日本の技術の良さを痛感もした。勿論、足を引っ張る要素も。

(瑞葵ちゃん、きっと悩むことが多そうだな……)

 寝る時間を削って頑張りすぎないかが心配になるが、傍にいるわけではない。どうにかできないものだろうか……と考えてしまう。


 数時間後、個人メールに意外な人から連絡があった。

 “健太郎君、日本に帰ってきなよ。アメリカでたくさん学んだから、こっちで重宝されるし、俺も期待してるよ。 山本樹”

 瑞葵ちゃんのお兄さんだ。

 正直、連絡もらえるだけでうれしすぎる人だ。

「でも、勝手に帰国するわけにもいかないしな……」

 アメリカ行きは哲平さんからの指示だ。例の件も落ち着いたが、帰国の連絡が来ない。

「……」


 カチャカチャカチャ


 早速返事をすることにした。

 “山本さん、連絡いただきうれしいです。俺も日本に帰りたいですが、会社から帰国の連絡がないので帰れません。瑞葵さんからゲームの件を伺いました。お力になりたい気持ちは強くありますが……。 久遠健太郎”

 事実と本音のみを簡潔に伝えた。

 すると数分後、また樹さんからメールが届く。

 “わかった!巌さんに連絡しておくね。ちょっと待ってて。 樹”

「巌さんって。哲平さんのお父さん?え?連絡しておくって……」

 すぐにどうこうなるわけないだろうと高を括った。

 顎に手をやりふふふと笑っているとスマホに着信があった。

(知らない番号だけど……。この番号を知っている人は少ないはず)

 こわごわ青いボタンを押して声をかける

「Hello」

『久遠健太郎君、柳巌だ。日本行きのチケットを午後には届けさせるから、明日帰国しなさい』

 そう言って、ガチャリと電話が切れた。

「え?チケット?明日?」

 ほんの数分の出来事だ。

 頭が追い付かないままランチタイムになり、食堂へ向かおうとした時に後ろから声をかけられた。

「健太郎、チケットを受け取れ。あ、受取サインはここに」

 黒服さんが封筒とバインダーの書類を差し出してきた。

「え?もう?」

「何事もスピードが命だ。覚えとけ」

「……はい」

 ポカンとした顔のまま受取サインを書き、明日の朝一番のフライトチケットを受け取る。

「えー、マジか……」

 “ゆっくりと昼食”は諦め、カロリーバーを買いに購買へと向かった。


 バタバタとしていて気持ちが落ち着かない。

 だた、それだけ。


 自分に言い訳をしながら荷造りを急ぐ。

 耳や顔が熱い。

 なぜか、口角が上がってしまうのは、きっと気のせいだろう。



 そして、帰国。

 まず、家に荷物を置いて会社へと向かう。

 久しぶりの“生”瑞葵ちゃんは、控えめに言って“輝いて”いた。

 思わずハグしてしまった。その後哲平さんに怒られて瑞葵ちゃんが倒れちゃったけど、俺はにやけが止まらない。


 瑞葵ちゃん、ごめん。

 君の言葉がうれしくて止められなかった。

 後悔はちょっとだけしてる。

 いや、……ごめん。

 後悔は、していない。

 やっと君に会えたんだ。

 哲平さんに睨まれても、この気持ちは止められそうにないや。


 1人にやついていると、隣にいる瑞葵ちゃんからつぶやき声が聞こえた。

「……帰ってきてくれたんだ」


 うれしくて、彼女に笑顔を向ける。

 だが、視線の先から哲平さんが

 ――無表情で、俺たちを見ていた。


今日も読んでくれてありがとうございます。

明日は平日なので1話投稿予定です。

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