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飲めるあたたかさになるまで ――あなたの隣に、いてもいいですか。ずっと――  作者: 蒼宙 つむぎ


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4.Cafe Latte(40)

今日も訪れてくれてありがとうございます♪

40.ありがとう


 何事もなく、午後からの仕事をしているとメール着信のポップアップが右端に見えた。


 “ミーティングをしたいけど、時間ありますか? 久遠健太郎”


(健太郎君からミーティングのお誘いか……)

 時間はある。だけど、最近はメールのやり取りもなかった。

 キーボードに置かれた手は、動かない。

(どうしようかな……)

 少し悩んで、一旦メールを閉じることにした。



 気分を変えたくてミネラルウォーターを片手にテラスへと向かった。

 天気も良く、少し暑いくらいだ。

 太陽の光が刺さるように感じる。

 コクコクと喉を潤していると、左手に振動を感じた。

 表示を確認すると神崎透からのメールが届いている。


 “データを共有ドライブに入れている。データ量が重いので削る必要がある。 神崎”


(やっぱり負荷がかかりすぎているんだ……)

 なぜだか気分が晴れない。変な違和感が拭えない。

 私はモヤを抱えたまま自席に戻った。



 カチカチ


 健太郎からのメールをもう一度確認する。

 自分のスケジュールを確認し、キーボードを打つ。


 “何時からにしますか?いつでも大丈夫です。 山本瑞葵”


 メール送信し、書類を確認しているともう一度ポップアップがあった。


 “10分後にこちらのURLに。 久遠健太郎”


 すぐに個人ブースへ向かい、カメラを繋いだ。



『久しぶり!元気そうだね』

 明るい声に、爽やかな笑顔。

(健太郎君は、変わらないね)

「あ、あの。お久しぶり、です。えっと、いろいろとありがとう、ございました」

 手が少し震えてしまう。声も途切れてしまう。

 頬が、熱い。

(お礼、なんとか伝えられた)

『あ、ううん。いいんだ。無事なら、それだけで』

 モニターに映る彼の笑顔は、やはり眩しい。


 挨拶の後、健太郎君から今している仕事の相談を受けた。

 私でいいのかと一瞬思ったが、頼ってもらえるのは嬉しい。

 思ったより楽しく話をすることが出来て、心が軽くなっているのを感じた。

 こんな風に話すことが出来て、ただうれしかった。


『そう言えば、こっちは日本とやり方が違って、最初は戸惑ったよ。いつも叱られたな』

「え、久遠君も叱られたりするんだ」

『いつもだよ。“削れ”って毎回ね』

「え!“削れ”って?」

 健太郎君はなんでもソツなくできると思っていただけに意外だった。

(健太郎君に、相談してみようかな……)


 ポケットに入っているハンカチを服の上から握った。

(私に、勇気をちょうだい)

 心の中でヒーローにお願いをし、口をキュッと引き締め、彼を見つめる。

 まっすぐに、彼の目を。


「あの、久遠君。えっと、実は相談がありまして……」


 思っていたより緊張しなかった。

 彼は真剣に耳を傾けてくれていた。



 誰かと一緒に考え、悩んで作っていくのが怖かった。

 自分から意見を言うのは、尻込みをする。

 だけど、今目の前にいる彼は、同じ目線でいてくれる。


「ありがとう、健太郎君」


 彼の頷きに、頷き返す。

 画面越しでも、距離は感じなかった。


 同じ方向を向く人が、いる。


本日で第4章が終わりです。

明日から最終章に入ります。

たぶん、2話投稿できるかと思います。

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