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飲めるあたたかさになるまで ――あなたの隣に、いてもいいですか。ずっと――  作者: 蒼宙 つむぎ


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4.Cafe Latte(32)

本日2話目です。

32.どうしてこうなってしまったんだ③ ~哲平side~


 瑞葵を送り届け、グルチャを確認する。

「……」

 誰も、何も言わない。

 俺はそっとスマホの画面を閉じ、目を瞑る。

 今日のことを瑞葵はどうとらえたのかが気になる。

 胸に引っかかりを感じたが、今は考えても何も始まらない。

 思考を深く沈め、明日に備えることにした。



 ピロン


 スマホの通知音が鳴る。

(休日の朝からなんだ?)

 時計を見ると9:00を過ぎたところだ。

 朝早すぎるという時間でもない。

 通知を画面で確認すると、瑞葵がグルチャで話している。

「なっ!」

 慌てて体を起こし、読んでいく。


 “神崎さん、ご相談があるので、個人で連絡させてください”


(個人で連絡取り合う?)

 慌てた。

 急いで着替え、髭もそらずに家を飛び出した。



 ピンポン


 階下の樹と瑞葵の部屋の呼鈴を鳴らす。

 すぐに返事がなく、どう一度鳴らしてしまった。

「哲平~。朝早くから何?乙女の寝起きを見たいの?」

 玄関がガチャリと開き、樹が目を擦りながら文句を垂れる。

「お前はどうでもいい。瑞葵は?」

「瑞葵?ん~。靴がない」

「はあ?どこ行ったんだよ」

「え~。どこかな~」

 まだ頭が起きていないのかふらふらとリビングへ向かう樹。

(しっかりしてくれ!)

 イラついて怒鳴りたくなったがこらえた。

 それよりも瑞葵が心配だ。


「あ~。近くのパン屋に行ってるみたい。メモがあった~」

「パン屋……。あそこか」

 美味しいパン屋があると言っていたのを思い出し、そこへ向かおうとエレベーターに乗り込む。

 いつも思わないのに、今日はやたらとエレベーターが遅く感じる。


 マンションを出て、交差点に向かうと瑞葵が帰ってくる姿が見えた。

(よかった)

 どっと疲れが出て、ため息を吐く。

 とりあえず、瑞葵に確認しないと。

(何を確認?)

 ふと自分の思考がいつもと違うことに気が付く。

(なんだろうか……。俺が、俺じゃない?)

 不思議に思ったが、瑞葵が優先だ。

 手を上げ、声をかけようとする。

「瑞葵、どこに……」

 だが、声が止まってしまった。

 隣に透が、いる。

(なんで?透が)


 ドクドクドクドク


 心臓が早鐘を打ち、苦しい。

(なんで隣に透がいるんだ?隣には……)

 視線が右に左にと忙しく動く。


(嫌だ!)


 心が、叫ぶ。


 瑞葵が楽しそうに笑っている。


(なんで楽しそうにしているんだ)



 彼女の隣には、俺がいるのだと思っていた。

 そうなるように、囲うつもりでいた。

 俺は遅かったのか。

 何か間違ったのか。

 思考が黒い沼に沈んでいく。


 ――どうして、こうなってしまったんだ。


今日も読んでくれてありがとうございます。

明日も2話投稿予定です。

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