表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飲めるあたたかさになるまで ――あなたの隣に、いてもいいですか。ずっと――  作者: 蒼宙 つむぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/135

4.Cafe Latte(29)

遅くなりました!

29.まさかのチーズクッキー


 2つの物から1つを選ぶとき、どっちがお得かを考えて選んでしまう。全く同じものだと綺麗に見える方や人気の物を選ぶ。――食べ物は特に。


「お土産です。好きなの選んでください」

 少し離れたところで女の子が、箱を持って誰かと話をしているのが視界の隅っこで見えた。

(結構大きな箱を持っている。ということは、こっちにも来るのかもしれないな……)

 ただいま、絶賛人見知り期間中なので、できるだけ人と関わりたくない。

 無言で引き出しからマグカップを取り出し、こっそりと席を離れようと立ち上がる。ふとデスクの端にある書類に目が留まる。

「……」

 見なかったことにしてカフェテリアに向かおうとしたが、振り返って手に取って歩き出した。

(どのみち、提出しないといけないのだし、早めに出したら気持ち楽になる、よね)

 哲平に最終チェックしてもらうための書類だ。半日余裕があるが、デスク一角からそわそわを感じてしまって落ち着かなかったのだ。


 あれから哲平とは話をしていない。瑞葵から避けているわけではないのだが、タイミングが変に良すぎて出会わない。

(仕事だからね)

 自分に言い訳しながら先に書類を渡しに向かう。



 コンコン


 ノックをすると哲平の“応“の返事が返ってきた。

「失礼します。最終チェックをお願いしたくて持ってきました」

「あ、瑞葵、か。……書類、ありがとう」

 歯切れの悪い物言いが瑞葵の気持ちをざらつかせた。眉間がギュッとなったのが自分でもわかる。

「……」

 無言で書類を手渡し、踵を返して退室をすることに決めた。

 俯き気味で移動しているので、目が合うことはない。

 だけど、哲平が自分に話しかけようか迷っている空気は感じ取れる。

(それでも、私から話しかけない。用事があれば、ちゃんと話はする。それ以外は、今は……)


 精神的に弱いって自覚はある。

 すぐに悪いように考えてしまいがちなのも。

 前向きに何でも考えられる人は、自分からすれば眩しすぎる存在で、羨望の目でいつも見ていた。

 うらやましいけど、私は彼らじゃない。

 私は、最後に残ったものを取る側だ。


 甘いものを食べるつもりでブラックコーヒーを入れてきた。

 デスクの上には“お土産”が置かれていた。

「……」

 まさかのチーズクッキー、甘くない系だった。

 手に持っているコーヒーに目を落とし、もう一度カフェテラスへと戻ることにした。



 ふふふ


 思わず笑みがこぼれる。

 甘いものだと勘違いしていた自分がおかしい。


 勝手に予測して、先回りしても、絶対なんてない。

 そもそも、自分は“選ぶことを”を放棄した側だ。

 なのに、何を期待していたのだろう。


 俯いていた顔を上げ、軽く呼吸をする。

 まだ傷ついていないのだから、恐れずに向き合ってみてもいいかもしれない。

 傷ついたら、その時は泣けばいいのかもしれない。

 まだ何も起きていないなら、自分から“選んで”みよう。


 砂糖と豆乳でラテにした。

 今の気分で入れた飲み物。

 フワッと立ち上がる香りが胸に広がる。


 カップを持ち上げ、もう一度哲平のいる部屋へ歩き始める。

 もう、足取りに迷いはなかった。


今日も読んでくれてありがとうございます。

明日も、遅くなるかもですが投稿頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ