5.Cafe Time with you(38)
38.私は悪女② ~キョウコside~
私は少しずつ山本瑞葵の心を削いでいった。
毒を1滴。
それが広がって行く様子は、最高だった。
「最近の瑞葵ちゃん、ちょっと勘違いしている……ように思うのよ」
「え?瑞葵ちゃんが?何も悪いことしてないと思うよ。いつも優しいし」
「あ……。瑞葵ちゃん、影であなたの悪口言ってたわ……。無理やり手伝わされたって……」
「……え?」
少しずつ、少しずつ……。
味方を減らしていく。
とどめを打とうとしたのは、気まぐれだった。
かくれんぼをしているときに思いついただけ。
「ねえ、瑞葵ちゃんを探すのやめない?みんな、嫌な思いしてるのに、仲良くしなくてもいいでしょう?」
「え……。探さなかったら……どうなるの?」
「そのうち家に帰るんじゃないかな?あ、今から私の家に行きましょう!ばあやに銀座までケーキを買いに行かせるから」
「そ、そうね」
「う、うん。きっと瑞葵ちゃんは帰る、よね」
ふふふ……。
簡単――。
あの子には、絶対に見つかるまで帰っちゃダメって言い聞かせたから、帰らないわ。
帰ったりしたら、ハブるって言ったもん。
「簡単すぎて、やりがいがないわ」
手ごたえがなさ過ぎてつまらない。また、暇な毎日が来るのかと思ってウンザリした。
だけど、あいつは樹様と一緒に帰った、らしい。
「くそがあ!あの子、兄妹だからって!一緒に暮らしてるだけでも許せないのに!私の言いつけを守らないなんて!」
喚き散らし、見えるものすべてを壁に投げつけ壊していった。
それでも、気分が晴れることはなかった。
そんな時、あの子に告げ口したクズがいた。
「瑞葵ちゃん、ごめんね。仲良くしてるところキョウコちゃんに見つかったら、私も目を付けられるから……。ごめんね」
「……なんで、私が?何か、したのかな?」
「……キョウコちゃん、瑞葵ちゃんのお兄ちゃんが好きなんだって。それで、一緒に暮らしている瑞葵ちゃんが、許せないんだって……」
「……そう。」
「瑞葵ちゃん、ごめんね」
階段の上から、聞こえてきた会話だった。
「ごみは、ちゃんと捨てないとね……」
家に帰った後、ばあやに“ごみを捨てたい”と言った。
次の日、お母さまの“あの場所”の隣に“私専用の場所”が出来ていた。
そして、クズを家族ごと埋めた。
これでまたあの子を追い詰めようとしたけど、ばあやに目立ち過ぎたので控えるようにと言われてしまった。
面白くない――。




