5.Cafe Time with you(32)
32.悪意の真相
オムライスを食べ、お風呂に向かう。柚子が浮かぶ湯船に浸かると、体の芯からじんわりとした。体がこわばっていたのだと実感する。
ソファに座り目を瞑ると1日あったことが思い出され、下唇を強く噛んだ。
(なんで、キョウコちゃんが?それに……、健太郎君と、あんなことを)
――嫌だ
黒い感情が、お腹の中でぐるぐると渦巻いているのがわかる。
暴れたくて仕方がないと、言っているかのように――。
「瑞葵、ここで寝るの?」
兄もお風呂から上がってきたようだ。
「寝ないよ。……さて、お話、しようか」
目を開け、体を起こし、背筋を伸ばした。
「まず、巌さん。哲平さんのお父さんとお話をしたって?」
そう言いながら、ソファの隣をポンポンと叩く。
「あ~。交渉?ってやつ」
そう言って隣に座る兄。そして、昨日からのことを話してくれた。
今回ね、ちょっと面倒なことになりそうだから、巌さんと契約をしたんだ。
俺と瑞葵の保護をね。
あの女がさ、撮影に来てたんだ。タレントとしてね。
でも、リストに載ってなかったんだよ。急遽、追加要因として上から言われたみたいなんだ。勿論、俺たちはあいつの名前があったら阻止してた。
だけど、それを予測してたんじゃないかな。
権力ある人間に取り入り、自分のやりたいようにやる。
だから、哲平の会社にも突撃してフロアに通されたんだろうね。
昨日、あいつを拒絶したから会いに来たんだろうけど、俺はいないだろ。
で、健太郎君にも興味を持ってたから、いい寄ってたんじゃないかな?
そして、瑞葵にバッタリ会って、嫌みを言った。
あの女は、まだ追ってくる。
瑞葵も、……狙われてると思う。
キョウコ、あいつはとある政治家のご落胤でね。
我儘し放題に育ったみたいだ。
欲しいものは奪う。
飽きたら捨てる。
人は、廃人になるまで痛めつける……みたいだ。
あの女は、狡猾だ。
自分の望むものは、手に入れないと気が済まないんだ。
だから、お前を巻き込んでしまった。
ごめん。
親父と母さんも、――巻き込んでしまったんだ。
これは、悪夢だろうか。
きっと、そうに違いない。
だって、そんなこと、許される訳ないもの。
私は、枯れたと思った涙を、もう1度流した。




