表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飲めるあたたかさになるまで ――あなたの隣に、いてもいいですか。ずっと――  作者: 蒼宙 つむぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/135

5.Cafe Time with you(19)

19.器 ~哲平side~


 俺は、何をやっているんだろう――。


 最近の俺はおかしかった。

 自覚は、ある。

 でも、感情のコントロールが出来なかった。



「どういうことだ!説明しろ!」

 違う。


「黙ってて済むと思ってるのか!」

 違うんだ。

 そんな言い方がしたいわけじゃ、ない。



 ミスは、誰でもする。

 大事なのは、リカバリーをどれだけ早くするか。

 取り返しのつかないところまで行くと、全てが後ろ倒しになる。

 最悪、納期に間に合わない。

 そうなれば、会社の信用が落ち、違約金が発生してしまう。


 アースプロジェクトは大きな会社ではない。

 それでも従業員がいる。

(彼らを守らなければ)


 ゆくゆくは父の後を継ぐ。あの父の後を――。


 重圧が半端ない。

(従業員、いったい何人いるんだ)

 たまにネット検索して確認するが、年々増えていく。桁が増えているのを見た時は、トイレで嘔吐いた。


 だから、この規模の会社を何とかできなければ、跡継ぎになんてなれない。

 “父さん“のためにも、俺が何とかしなければならないんだ。



 俺は、いろんなものを諦めて生きてきた。ただ勉強をして、いい学校を出て、政略結婚で会社のためになるご令嬢と結婚する。それが、親父に恩返しする方法だと思っていた。


 だけど、あいつらが俺の世界を変えてくれた。


「哲平。難しい顔になってるぞ。そのうち、恐がられるぞ」

「まじでそれな。いっつも眉間に皺寄ってるからな」

「そう言えばこの前、職質されてたって聞いたぞ」

「俺も聞いた」

 大笑いしてるこいつらは、俺の初めての親友だ。


 そして、初めて人を好きになった。

「哲平君、いつもありがとう」

 樹の妹の瑞葵は、俺に笑顔を向けてくれる。下心のない、純真な笑顔を。


 だから、全てを守れる男になりたかった。

 でも、結局は親父の助けがないと何もできていない。

 ヴォルフシュバルツを作るのも、会社を起こしたのも。

 親父がいなければ、できていない。


 俺を庇った蓮のことも――。



 俺に人の上に立つ器があるのだろうか。

 従業員を守っていけるのだろうか。


 今の俺は、小さい男だとしか思えない。



 テラスの奥の片隅。

 植垣の向こう側は、小さな避難場所だ。

 人からの視線を遮ることが出来る。


(そう言えば、瑞葵もここに隠れていたな)


 その瑞葵とは、最近うまく会話できていない。

 嫌われたかもしれない。

 彼女にはいい男だと思われたいのに。

 最近は、かっこ悪い所しか見られていない。



 ――情けない。


 今は、恋愛よりも、するべきことがあるのに――。



 蓮、ごめん。

 もっと頑張るから。

 待っててくれ。



 俺は、頭を抱え、小さな嗚咽を漏らした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ