5.Cafe Time with you(17)
17.合流
向かった先では、いつも飄々としている兄が、眉間に皺を寄せて神崎さんと話しをしていた。
(立て直しの目途、難しいのかな)
室内も、さっきから何かが動いた形跡がない。
「兄ちゃん……」
酸素が薄く感じる。声をかけるのも躊躇うほどに。
「あ、瑞葵。どうかしたのか?」
たった1時間ほどのことだったのに、笑いかけてくれる兄の顔は疲れ切っている。
「その、どうなったかと思って」
言葉を躊躇した。
「あ……。ちょっと難しいなって話してたところ。あそこの4人、びくついちゃったし……。延期に、するしかないかも」
「延期?!」
(徹夜を何日もしてでも何とかする人が、そんなこと言うなんて……)
兄は、滅多なことでは納期を遅らせることはない。
後ろで控えていた人たちをちらりと伺う。
カレンさんたちが、迷いなく頷いた。
「私たちの方はカレンさんと田中君が進めることになりました。残りの私達4人は、こっちを手伝いたい、です」
(どういわれるだろう。人の手伝いなんてまだ早いって言われるかな)
いつも断られていたから、今日も無理かもしれない。
「瑞葵……」
下唇を、無意識に噛んだ。
兄の答えを聞くのに、身構えてしまう。
「いいのか?!みんな疲れてるだろう?ていうか、カレンさんと田中君だけで大丈夫なのか?」
目を見開いて、圧強めで聞いてくる。
「実はほとんどできてて、残りは少ないの。あと少しで次の工程に移れるから」
状況をかいつまんで説明する。
話を聞いてる兄と神崎さんは、思わず顔を見合わせている。
「瑞葵……まじでここまでできたのか……」
「さすがですね、瑞葵さん。樹さん、あそこの4人は……」
「そうだよな……。正直、俺は信用できないんだよね……」
そう言って2人は森本さんたちをちらりと見る。
確かに、報告が遅れたのはよくない。
チームでしていることなのだから。
でも、ここで担当から外すと、彼女たちはどうなるのだろうか。
「……。あの、彼女たちは反省してるから。外さないで欲しい」
無駄なことを嫌う兄は、それでも駄目だというだろう。
それでも、この仕事を嫌いになって欲しくない。
「でもな……」
兄は、面倒そうだと言わんばかりの顔だ。
「わ、私も、彼女のことを気にかけます。放っておくのは、性に合わないので……。だから――」
高瀬さんは、緊張しながらも兄に訴える。
(やはり後輩思いな人なのね)
私は、胸が温かくなった。
「ん~。瑞葵に甘えようかな……」
「樹さん……そうしましょう。瑞葵さん、お願いします」
兄も神崎さんも、なんとか提案を受けてもらえそうだ。
「透、後は任せる。哲平のフォローしてくるよ」
そう言って兄が足早に退室して行った。
高瀬さん達は部屋の隅で座っている人たちの元へと向かっていた。
森本さん達は、しきりに「ごめんなさい」と言って泣いていた。
きっと、彼女たちは今日のことを忘れないだろう。
それでいい。
失敗は、次に活かせばいい。
私達は、――チームなのだから。




