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建国スキルがぶっ壊れている件。歴史の偉人をガチャ召喚して、俺は悠々自適に暮らしたい  作者: 阿鼻恭介
第一章

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第1章 第4話 まずは城を建てよう

「……なあ、あの岩山の上に城を建てたら、めちゃくちゃ格好よくねえか?」

 

 神城皇牙が指さした先には、赤茶けた岩肌をむき出しにした岩山がそびえていた。

 

 荒野の中でもひときわ目立つその山は、頂上付近が鋭く切り立っている。もしあそこに漆黒の城を建てれば、遠くからでも圧倒的な存在感を放つに違いない。

 

 巨大な城門に、空へ突き刺さるような尖塔。夜には青白い魔法の光が城壁を照らし、見る者すべてを震え上がらせる。

 

「……くっ、完全にラスボスの居城じゃねえか」

 

「殿、何かおっしゃいましたか?」

 

 前を歩いていた巴が振り返った。赤い鎧に身を包み、薙刀を携えたその姿は、こうした荒野の風景にも不思議とよく似合っている。

 

「いや、ちょっと理想の城を想像してただけだ」

 

「左様でございますか。ですが、あの岩山に城を構えるのは、あまりお勧めできませぬ」

 

「えっ、そうなのか?」

 

「確かに高い場所は見晴らしに優れます。しかし、あのような険しい山では、人や荷を運び込むだけでも骨が折れましょう」

 

 皇牙は改めて岩山を眺めた。確かに、頂上へ続くような道は見当たらない。国家創造EXで道路を作れば解決できそうだが、城下町との行き来に長い坂道が必要になるのは面倒そうだった。

 

「……毎日山登りするのは嫌だな。却下で」

 

「決めるの早えな、おい」

 

 後ろを歩くガルドが呆れたように笑った。

 

「格好よさは大事だけど、住みにくかったら意味ねえだろ。俺は城でのんびり暮らしたいんだからな」

 

「だったら最初から住みやすい場所を探せよ」

 

「だからこうして探してるんじゃねえか」

 

 皇牙が当然のように答えると、ガルドは苦笑しながら肩をすくめた。

 

 四人は、石造りの小屋を出てから周辺を調べていた。もともとの目的は食料探しだったが、マルクが植物を確かめる間、皇牙は城を建てられそうな場所にも目を向けていた。

 

 小屋の隣に造った水槽には、水魔法で生成した飲み水が溜めてある。今日を過ごすだけなら何とかなりそうだが、これから国を作るなら、いつまでも皇牙が水を用意し続けるわけにもいかない。

 

 できれば自然の水源が近く、農業にも向いていて、なおかつ見栄えのする場所がいい。

 

 そんな都合のよい土地が簡単に見つかるのかは分からないが、皇牙としては妥協するつもりもなかった。

 

「皇牙様、少々よろしいでしょうか」

 

 少し離れた場所で地面を調べていたマルクが声をかけてきた。

 

「ん? どうした?」

 

「こちらに食べられそうな植物がございます。念のため、鑑定していただけませんか」

 

 マルクの足元には、背の低い草がいくつも生えていた。葉の形は皇牙の知る植物に少し似ていたが、見たことのない赤紫色の筋が入っている。

 

「おっ、食い物か!」

 

 皇牙は嬉しそうに近づき、万能鑑定EXを発動した。

 

【鑑定結果:荒野芋】

 

乾燥した土地でも育つ多年草。

地下に食用の塊茎を形成する。

十分に加熱すれば食用可能。

 

「おおっ! 食えるじゃねえか!」

 

 皇牙が声を上げると、マルクも安心したように頷いた。

 

「やはり食用でございましたか。根元の土がわずかに盛り上がっておりましたので、地下に何かあるのではと思ったのです」

 

「よく気づいたな。俺だったら普通の雑草だと思って通り過ぎてたぞ」

 

「農作物を育てるうえでは、野生の植物を観察することも大切ですからな」

 

 マルクはそう答えると、腰を落として周囲の土を少しずつ取り除いた。しばらくすると、拳ほどの大きさをした茶色い塊が姿を現す。

 

「おっ、ジャガイモみたいだな」

 

「まだ何とも申せませんが、これなら食料になりそうです」

 

 マルクは周辺の株も確認し、食べられる大きさに育ったものだけを選んで掘り出した。皇牙も手伝おうとしたが、土を掘る道具がないことに気づき、結局はマルクの作業を見守ることになった。

 

「……農具も必要だな」

 

「ええ。今は手作業でも構いませんが、畑を作るなら鍬や鋤が欲しいところです」

 

「その辺は俺が作ってやるよ。材料さえあればな」

 

 ガルドが横から口を挟んだ。

 

 皇牙は二人のやり取りを聞きながら、満足そうに頷いた。自分には何の変哲もない草にしか見えなかったものが、農民の知識と鑑定スキルによって食料に変わったのだ。

 

 こういう協力の仕方なら、いくらでも歓迎だった。

 

 集まった荒野芋は、大きなものから小さなものまで合わせて十数個。四人で十分な食事になるかは分からないが、少なくとも何もないよりは遥かにましだろう。

 

 皇牙は塊茎を鑑定したうえで空間収納EXにしまい、マルクと顔を見合わせた。

 

「よし、これで今日の晩飯は何とかなりそうだな」

 

「はい。ただ、栽培に使えるかもしれませんので、いくつかは残しておきたいところです」

 

「じゃあ、その判断は任せた。俺は全部食っちまいそうだし」

 

 皇牙が笑うと、マルクも穏やかに微笑んだ。

 

 食料の目処が立ったところで、四人は再び周辺の地形を調べ始めた。

 

 小屋から歩いて十数分ほどの場所には、周囲より少し高くなった広い台地があった。先ほど皇牙が目をつけた岩山とは違い、斜面は比較的緩やかで、頂上付近には平坦な土地が続いている。

 

 背後には低い丘陵が連なり、正面には見渡す限りの荒野が広がっていた。

 

「……おっ、ここなんかよくねえか?」

 

 皇牙は台地の上に立ち、周囲を見渡した。

 

 岩山ほどの迫力はないものの、見晴らしは悪くない。城を建てるには十分な広さがあり、少し下った場所には畑や住宅を造れそうな土地も広がっている。

 

 何より、ここなら山登りをしなくても済みそうだった。

 

「巴、どう思う?」

 

「見晴らしはよろしいですね。周囲から近づく者にも気づきやすいでしょう」

 

 巴は台地の端へ歩き、斜面を見下ろした。

 

「ただ、こちら側は傾斜が緩やかでございます。人が通りやすいということは、敵も近づきやすいということ。城壁や門の位置には注意が必要でしょう」

 

「なるほど。じゃあ、正面に立派な城門を作ればいいんだな」

 

「門の大きさよりも、守りやすさが肝要にございます」

 

「……あ、はい」

 

 思わず格好よさを優先しかけた皇牙は、素直に頷いた。

 

 巴は小さく微笑んだあと、周囲の岩場にも目を向けた。台地の片側には大きな岩が連なっており、人が通るには不便そうな地形になっている。

 

「こちらの岩場を利用すれば、敵の進む方向をある程度限ることができましょう。ただし、周囲をすべて調べたわけではございません。安全を保証できるという意味ではありませぬ」

 

「まあ、そこは城壁を作って何とかするしかねえな」

 

 皇牙は腕を組んで考えた。

 

 国家創造EXがある以上、城壁を建てること自体は簡単だ。だが、敵がどこから現れるのか分からない以上、最初から完璧な防衛施設を作ることは難しい。

 

 それなら、まずは住むための城を作り、必要に応じて守りを強化すればいい。

 

 どうせ増築や改築もできるのだ。

 

「マルクはどうだ? この辺りで農業できそうか?」

 

「台地の上は乾いておりますが、斜面の下には比較的草の多い場所が見えますな。そちらを調べてみたいところです」

 

 マルクが指さした先には、周囲より緑の濃い低地が広がっていた。

 

 荒野の中では珍しく、背の低い木々もいくつか生えている。

 

「おっ、何かありそうだな。行ってみるか」

 

 四人は巴を先頭に、台地から緩やかな斜面を下り始めた。

 

 途中、ガルドが地面に転がる石を拾い上げ、その表面を確かめていた。

 

「石材には困らなそうだな。まあ、皇牙が建物を一瞬で作れるなら、城を建てる分には関係ねえか」

 

「そうだな。でも、家具とか道具を作る材料は必要なんだろ?」

 

「ああ。木材も金属も、勝手に湧いてくるわけじゃねえからな」

 

「その辺は、いずれ商人から買うことになるか」

 

「金があればな」

 

「……そういや、俺たち無一文だった」

 

 皇牙が顔をしかめると、ガルドは声を上げて笑った。

 

 無料で城を建てられる能力があっても、財布の中身まで増えるわけではない。そもそも財布自体、持っていなかった。

 

 そのうち商売を始める必要があるのだろうが、今すぐ金の稼ぎ方まで考えるのは面倒だった。

 

 そんなことを考えているうちに、四人は緑の濃い低地へ到着した。

 

 マルクが早速しゃがみ込み、土を指先で崩し始める。先ほどの台地とは違い、地面にはわずかに湿り気が残っているようだった。

 

「ふむ……こちらの方が、ずっと条件はよさそうですな」

 

「農地にできそうか?」

 

「可能性はございます。ただし、水はけや土の深さも確認したいところです。実際に作物を育ててみなければ分からぬことも多いでしょう」

 

「まあ、畑なら俺が作れるし、あとはマルクに任せるよ」

 

「承知いたしました。ただ、農地が広くなれば人手も必要になりますぞ」

 

「分かってるって。今は四人しかいねえもんな」

 

 皇牙は苦笑した。

 

 国家創造EXなら巨大な農地を一瞬で作れる。しかし、農民はマルク一人だけだ。いくら広い畑があっても、世話をする人間がいなければ意味がない。

 

 便利すぎる能力にも、使いどころというものがあるらしい。

 

 そのとき、少し先を調べていた巴が声を上げた。

 

「殿、こちらへお越しください」

 

 皇牙たちが近づくと、岩の隙間から細い水が流れ出しているのが見えた。

 

 透明な水は岩肌を伝い、小さな窪みに溜まっている。周囲の草木が比較的よく育っているのも、この湧き水のおかげなのかもしれない。

 

「おおっ! 天然の水源じゃねえか!」

 

 皇牙は嬉しそうにしゃがみ込んだ。

 

 見た目は綺麗な水だったが、異世界の水が安全とは限らない。皇牙は念のため万能鑑定EXを発動した。

 

【鑑定結果:湧水】

 

地下から自然に湧き出した淡水。

現在の水質に有害な成分は検出されません。

飲用可能。

 

「よし! 飲める水だ!」

 

 皇牙は思わず拳を握った。

 

 マルクも水の流れを確かめ、満足そうに頷いた。

 

「これはありがたいことでございますな。ただ、水量はあまり多くないようです。大勢が暮らすとなれば、ほかの水源も必要になるでしょう」

 

「まあ、その辺は後から考えようぜ。俺も水魔法が使えるし、当面は何とかなるだろ」

 

「はい。ただ、いずれは殿のお力に頼らずとも水を確保できるようにしたいところです」

 

「それそれ。俺も毎日何千人分の水を出す仕事なんて嫌だからな」

 

 皇牙が真顔で答えると、ガルドがまた呆れたように笑った。

 

「国を作ろうって奴が、そんなに働きたくねえもんなのか?」

 

「だからこそ国を作るんだろ。優秀な奴に仕事を任せて、俺は好きなことをする。これが理想なんだよ」

 

 皇牙は胸を張って答えた。

 

 もっとも、何もかも家臣に押しつければいいとは思っていない。マルクやガルドに無理な仕事をさせても、結局は困るのが自分だ。

 

 必要な人材と設備を揃え、無理なく仕事が回るようにする。それさえできれば、自分も家臣たちも余計な苦労をせずに済むはずだった。

 

 湧き水の場所を確認した四人は、再び台地へ戻った。

 

 皇牙は高台の中央付近に立ち、周囲を見渡す。

 

 眼下には農地に使えそうな低地があり、その近くには小さな湧き水がある。背後には緩やかな丘陵、片側には岩場。正面には広い荒野が続き、将来道路を延ばす余地も十分にあった。

 

 小屋からも歩いて来られる距離なので、当面の荷物を運ぶのにも困らないだろう。

 

「……うん。やっぱりここがいいな」

 

 皇牙は満足そうに頷いた。

 

 巴は台地の端から周囲を警戒しながら、静かに口を開いた。

 

「現時点では、周囲に危険なものの姿は見当たりませぬ。ただし、魔物が近づかぬとは限りません。城を築くのであれば、まずは門と城壁を備え、周囲を見張れるようにするのがよろしいかと」

 

「了解。そこはちゃんと考えるよ」

 

 皇牙は続いて、マルクとガルドへ視線を向けた。

 

「二人も、ここで問題なさそうか?」

 

「はい。農地を広げられる余地がございますし、水源も近くにあります。開拓を始めるには悪くない場所でしょう」

 

「俺も賛成だな。ただ、工房は城から少し離れた場所にしてくれよ。火を使う仕事もあるし、材料を運び込める道も必要だからな」

 

「分かった。工房用の場所も確保しておこう」

 

 三人の意見を聞き、皇牙は改めて高台を眺めた。

 

 まだ分かっていないことは多い。周辺にどんな魔物がいるのかも、近くに街や村があるのかも知らない。それでも、最初の拠点を作る場所としては十分に条件が揃っている。

 

 そもそも、国家創造EXなら後から建物を増やすことも、造り直すこともできるのだ。

 

 最初から完璧な土地を探し続ける必要はない。

 

「よし! 決めた! 俺の城はここに建てる!」

 

 皇牙が勢いよく宣言すると、巴は小さく頷いた。

 

「承知いたしました、殿」

 

「それじゃあ、早速設計だな!」

 

 皇牙は嬉しそうに国家創造EXの画面を開いた。

 

 建築可能な施設の一覧から城を選ぶと、建物の規模や外観、配置を設定する項目が現れる。さらに、設計内容を確認するための立体的な完成予想図も表示された。

 

「おおっ! プレビューまでできるのか!」

 

 皇牙は目を輝かせた。

 

 これなら、実際に城を建てる前に大きさや形を確かめられる。まるで建築ゲームの編集画面だった。

 

 早速、皇牙は頭の中に思い描いていた城の姿を設定していく。

 

 黒い城壁に囲まれた広大な敷地。正面には重厚な城門がそびえ、その奥には高い尖塔を備えた本城が建っている。城門を抜けて真っ直ぐ進んだ先には巨大な階段があり、最上階には豪華な玉座の間が用意されていた。

 

 完成予想図に現れた城を見て、皇牙は思わず息を呑んだ。

 

「……やべえ。格好よすぎるだろ」

 

 これだ。

 

 まさしく、自分が異世界に来たら建ててみたいと思っていた理想の城だった。

 

「くっ……これぞ我が漆黒の魔王城……!」

 

「……皇牙、お前さん何言ってんだ?」

 

 横から覗き込んでいたガルドが怪訝な顔をした。

 

「いや、何でもない。それより見てくれよ、この城! 最高だろ?」

 

 皇牙が胸を張ると、ガルドは完成予想図をじっと眺めた。

 

「確かに立派だけどよ……お前、今ここに何人いると思ってんだ?」

 

「四人」

 

「そうだろ。こんなでかい城を建てたところで、誰が使うんだよ」

 

「……俺?」

 

「一人で何百部屋も使うつもりか?」

 

「いや、さすがにそこまでは……」

 

 皇牙は言葉に詰まった。

 

 確かに、今の人数でこの規模の城を建てても、ほとんどの部屋は使われない。そもそも、家具や寝具すら揃っていないのだ。

 

 巨大な城を建てても、生活する場所は空っぽのまま。そんな状態では、せっかくの豪華な城も宝の持ち腐れになってしまう。

 

「それに、後から増やせるんだろ? だったら最初は使うところだけ作ればいいじゃねえか」

 

 ガルドの言葉に、皇牙はしばらく考え込んだ。

 

 確かに、国家創造EXなら増築も改築も簡単にできる。最初から完成形を作る必要はない。

 

 それなら、将来の巨大な城を想定して敷地を確保しつつ、最初は必要な建物だけを造ればいいのではないか。

 

「……なるほどな。それ、いい考えじゃねえか!」

 

「いや、普通のことだと思うけどな」

 

「いいんだよ! じゃあ、最初は本城を中心に作って、あとは人が増えたら拡張していこう!」

 

 皇牙は早速、完成予想図を修正し始めた。

 

 将来の城壁や庭園のために広い敷地を残し、今使う本城は現実的な規模へ縮小する。ただし、外観については妥協しない。黒い石壁に鋭い尖塔、重厚な正面玄関はそのまま残した。

 

 さらに、巴の意見を聞きながら城門と見張りに使える場所を調整し、ガルドのために工房を建てる予定地も確保する。マルクが農地へ向かいやすいよう、低地へ続く道路の位置も考えた。

 

 皇牙は夢中になって画面を操作していた。

 

 面倒な書類仕事なら五分で飽きる自信があるが、こうして自分好みの城を設計する作業なら何時間でも続けられる。

 

 やがて、三人の意見を取り入れた新しい完成予想図が姿を現した。

 

「……よし。これならどうだ?」

 

 そこに映っていたのは、巨大な帝国の城というより、これから発展していく国家の中心となる城だった。

 

 規模こそ最初の構想より小さくなったものの、黒い城壁と尖塔の迫力は十分に残っている。必要な施設も無理なく配置できそうで、将来の拡張にも対応できる形になっていた。

 

「これなら悪くねえな」

 

 ガルドが頷き、マルクも安心したように微笑んだ。

 

 巴は完成予想図をしばらく見つめたあと、皇牙へ向き直った。

 

「殿。最初の拠点としては、十分な城にございます」

 

「おっ、巴もそう思うか?」

 

「はい。ただ、実際に建てられたあとにも、周囲の警戒は怠らぬようにいたしましょう」

 

「もちろん。その辺は頼りにしてるぞ」

 

 皇牙は嬉しそうに笑い、完成予想図をもう一度眺めた。

 

 城を建てる場所は決まった。

 

 大まかな設計も完成した。

 

 あとは国家創造EXを使って、実際に建設するだけだ。

 

「……よし。それじゃあ、いよいよだな」

 

 皇牙は高台の中央へ歩み出た。

 

 足元には乾いた大地が広がり、遠くには赤茶けた岩山がそびえている。今はまだ何もない土地だが、まもなくここに自分だけの城が誕生する。

 

 それも、建築費も資材費も一切かからず、一瞬で完成するのだ。

 

 普通の建国ゲームなら、資材を集めたり建設時間を待ったりする必要がある。しかし、この世界の皇牙には、そんな面倒な作業は必要なかった。

 

「……やっぱり、このスキルぶっ壊れてるよな」

 

 皇牙は思わず笑みを浮かべた。

 

 そして、最後にもう一度完成予想図を確認する。

 

 黒い城壁。鋭い尖塔。重厚な城門。

 

 これから始まる自分の異世界生活に、これ以上ふさわしい建物があるだろうか。

 

「よし! それじゃあ、俺の城を建てるぞ!」

 

 皇牙の宣言に、巴たち三人が顔を上げた。

 

 その目の前で、皇牙は国家創造EXの建設画面へ手を伸ばす。

 

 いよいよ、何もない荒野に最初の城が誕生しようとしていた。

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