↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
建国スキルがぶっ壊れている件。歴史の偉人をガチャ召喚して、俺は悠々自適に暮らしたい  作者: 阿鼻恭介
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/140

第3章 第107話 祝・人口五百人突破! アストレア初の定期市が大成功!

 異世界生活九十九日目。


 朝日が差し込む城館の広間で、神城皇牙はいつにも増して気合を入れていた。


「よっしゃ! 今日こそ伝説級の偉人を引いてやるぜ!」


 目の前には《英霊召喚ガチャEX》の画面が浮かんでいる。国家人口は四百九十五人。最初の四人から始まったアストレアも、あと五人で五百人というところまで成長していた。


【無料召喚:3/3回】

【国家人口:495人】

【SR以上排出率:5%】


 一回目の召喚陣が白く輝き、製パン補助を得意とするNフリッツが現れた。続く二回目も白い光となり、荷車整備補助のNカロルが姿を見せる。


「パンと荷車か! どっちも今の街にはありがたいな!」


 皇牙は二人を歓迎すると、期待を込めて最後の召喚を実行した。


 今度は青い光が広がり、帳簿を抱えた青年が現れた。


【R セルジュ】

【適性:市場在庫管理】


「おおっ、Rだ! しかも市場関係じゃねえか!」


 セルジュは突然の歓声に驚きながらも、丁寧に頭を下げた。


「商品数の確認や在庫の管理であれば、お役に立てるかと思います」


「最高じゃねえか! 明日は定期市だからな。エミリアって奴に紹介するぜ!」


 新しい三人を生活案内の担当者へ引き継ぐと、皇牙は満足そうに画面を確認した。


【無料召喚:0/3回】

【国家人口:498人】


「あと二人! 明日は間違いなく五百人突破だな!」


「ふふ。楽しみですね、殿」


 隣で見守っていた巴も微笑んだ。


 皇牙は窓の外に広がる街並みを見下ろした。朝の市場には荷車が出入りし、工房からは木を削る音が聞こえる。最初は城しかなかった荒野に、いつの間にか人々の暮らしが根づいていた。


「……まあ、一万人まではガチャの確率も変わらねえんだけどな」


「それでも、五百人というのは大きな節目ではありませんか?」


「そうだな! せっかくだし、明日は祭りもあるし、思いっきり楽しむか!」


 皇牙は満面の笑みを浮かべた。


     ◇


 その日の市場は、いつも以上に慌ただしかった。


 初めての定期市を翌日に控え、中央広場では出店者たちが商品や備品の確認に追われている。屋台を並べる石畳の区画は皇牙が整備したものだが、販売台や天幕、料理道具まで自動的に用意されるわけではない。


 木工職人たちは自分たちの手で台を組み立て、料理店の者たちは食材の仕込みを進めていた。


「焼き菓子は予定より少し多く用意しておこうか」


「いや、売れ残ったら困るだろ。初回なんだから、無理はしない方がいい」


 そんな会話が、あちらこちらから聞こえてくる。


 会場責任者のセシリアは、広場全体を見渡しながら予定を確認していた。R人材のエミリアは出店者の名簿を片手に、各店の準備状況を確かめている。


「搬入は明日の開場前までに済ませてください。開場後は、こちらの通路へ荷車を入れないようお願いいたします」


 エミリアの説明に、店主たちは頷いた。


 試験開催に参加するのは十店舗。料理や菓子のほか、木工品や布製品なども並ぶ予定だった。


 新たに加わったセルジュは、売上集計を担当するリカルドから記録方法を教わっていた。


「商品の数は、持ち込んだ分と売れた分を分けて書くのですね」


「ええ。売上金額だけでは、どの商品が人気だったのか分かりませんから」


 リカルドが帳簿を示すと、セルジュは真剣な顔で頷いた。


 店ごとに管理する方法は少しずつ異なる。そのため今回は細かい規則を押しつけず、出店者の負担が増えすぎない形で記録を集めることになった。


 西門ではフェリクスとヴィルヘルムが、翌日の荷車の到着予定を確認している。関羽の部下たちも会場周辺の警備を分担し、混雑した場合に通行を止める位置を確かめていた。


 初めての催しを成功させるため、街のさまざまな仕事がつながり始めていた。


     ◇


「……うおおっ! めちゃくちゃ祭りっぽくなってる!」


 午後、皇牙は巴を連れて市場の広場を訪れた。


 天幕が張られ始めた屋台からは、焼きたてのパンの香りが漂っている。木工品の店では職人が小さな箱を磨き、布製品の店では色とりどりの布が並べられていた。


「殿。まだ販売は始まっておりませんよ」


「分かってるって! でも、こういう準備してる雰囲気も好きなんだよ!」


 皇牙は楽しそうに屋台の間を歩いた。


 そのとき、巴が一軒の屋台の裏で足を止めた。


 積み上げられた木箱の角が、搬入用の通路へはみ出していたのである。


「すみません。この箱は、もう少し奥へ置いていただけますか?」


 声をかけられた店主は、慌てて箱を動かした。


「申し訳ありません。荷物が多くて、つい……」


「明日は人も増えます。万が一のとき、ここを通れるようにしておきましょう」


 巴は穏やかに答え、通路の幅を確かめた。


 皇牙はその様子を感心したように眺めていた。


「……巴って、本当に頼りになるよな」


「殿をお守りするためには、危険を先に見つけることも大切ですから」


「そっか。じゃあ、明日も頼んだぜ!」


「はい。お任せください」


 そんな二人のもとへ、ヴァルデン子爵領から来た商人が挨拶に訪れた。


 彼は蜂蜜と干し果物を扱う店主で、今回の定期市へ通常の条件で申し込んだという。


「こちらでは蜂蜜を菓子に使う方が多いと聞きまして。少し多めに持ってきました」


「蜂蜜!? いいじゃねえか! 絶対買う!」


 皇牙が即答すると、商人は思わず笑った。


 暫定協定が正式に成立したことで、通行や給水に関する取り決めは明確になった。ただし、子爵領の商人だから特別扱いされるわけではない。


 それでも、新しい土地で商品を売る機会が増えたことを、商人は素直に喜んでいた。


     ◇


 翌朝。異世界生活百日目。


 皇牙は広間の中央で、いつもの召喚画面を開いていた。


【無料召喚:3/3回】

【国家人口:498人】

【SR以上排出率:5%】


「異世界に来て百日かあ。……よし! 記念すべき日に五百人突破だ!」


 最初の召喚陣が白く輝き、Nの野菜販売補助マルセルが現れた。


【国家人口:499人】


「あと一人!」


 二回目の召喚陣からは、衣類補修補助のNイレーネが姿を見せた。


【国家人口:500人】


「……来たあああっ!」


 皇牙は両手を高く突き上げた。


「五百人突破だあああっ!」


 突然の歓声に驚いたイレーネへ事情を説明すると、彼女も嬉しそうに笑った。


「私が五百人目なのですね。光栄です」


「おう! これからよろしくな!」


 巴も隣で祝福の言葉をかけた。


「おめでとうございます、殿」


「ありがとな、巴! でも、無料ガチャはもう一回残ってるんだよな!」


 皇牙は嬉しそうに最後の召喚を実行した。


 青い光の中から現れたのは、菓子製造管理を得意とするRアデーレだった。


【R アデーレ】

【適性:菓子製造管理】


「おおっ! 菓子関係のRだ!」


 皇牙は満面の笑みで歓迎した。


「今日は市場で祭りをやるんだ! まずは街に慣れてもらって、あとで菓子職人たちに紹介するぜ!」


【無料召喚:0/3回】

【国家人口:501人】

【SR以上排出率:5%】


 人口が五百人を超えても、排出率は五パーセントのままだ。それでも、皇牙にとっては十分に嬉しい節目だった。


 しばらくすると、住民登録を担当するクラリスが広間へやってきた。


「皇牙様。国家人口が五百人を突破したことを確認いたしました」


「おう! ちょうど今、五百一人になったところだぜ!」


「おめでとうございます。最初の頃から考えると、本当に大きな成長ですね」


 クラリスは穏やかに微笑んだ。


 その報告は城館の職員たちにも伝わり、廊下では祝いの言葉が交わされ始めた。


「……よし! 今日は定期市もあるし、まとめてお祝いだな!」


 皇牙は嬉しそうに笑った。


     ◇


 昼前、市場の中央広場に、初めての定期市が開幕した。


 十店舗の屋台が並び、焼きたてのパンや肉料理の香りが風に乗って広がっていく。普段の市場よりも人出は多いものの、セシリアが予定していた通路には十分な余裕があった。


「……うわあ! すげえ!」


 皇牙は目を輝かせながら広場を見渡した。


 菓子店では蜂蜜を使った焼き菓子が人気を集め、昼前には用意した分の半分以上が売れていた。一方、木工品の店は最初こそ客足が鈍かったが、職人が小さな木箱をその場で組み立てて見せると、興味を持った客が集まり始めた。


「へえ! 実際に作ってるところを見ると欲しくなるな!」


 皇牙が感心していると、木工職人は笑顔で答えた。


「普段は工房におりますから、こうして直接見ていただけるのはありがたいです」


 皇牙は満足そうに頷いた。


 料理店も順調だった。焼いた肉を挟んだパンは昼どきに人気となり、店主は追加分を焼く準備を進めている。


 どの店も同じように売れているわけではない。それでも、普段とは違う客と出会い、自分の商品を知ってもらえる機会になっていた。


 皇牙は楽しそうに屋台を見て回り、気になる料理を次々に買い込んでいった。


「殿。少し買いすぎではありませんか?」


「大丈夫! 食べきれなかったら城のみんなにも分けるから!」


 巴は呆れたように微笑んだ。


     ◇


 昼過ぎ、広場の入口で小さな混雑が起こった。


 料理を買おうとする客と、新しく入場する者が同じ場所に集まり、通路の一部が詰まってしまったのである。


 巴はすぐに周囲を確認した。


「入口を一度止めてください。中の通路が空くまで、少しお待ちいただきましょう」


 関羽の部下が来場者へ声をかけ、入場を一時的に制限する。


 セシリアは会場内の人の流れを確かめ、空いている側の通路へ案内するよう係員へ伝えた。エミリアも入口近くの屋台へ向かい、客を呼び込む声を一時的に控えてもらう。


「急がなくても大丈夫です。順番にお進みください!」


 係員たちの声が広場へ響いた。


 しばらくすると人の流れが落ち着き、入口の列も少しずつ動き始めた。


「……ふう。大きな問題にならなくてよかったな」


 皇牙は安堵したように息を吐いた。


「皆さんが落ち着いて対応してくださいましたから」


 巴が答えると、皇牙は周囲で働く者たちへ目を向けた。


 会場を造ったのは自分だが、それを安全に動かしているのは彼らだ。改めて、その違いを実感した。


「……よし! 終わったらみんなに何か美味いものを差し入れしよう!」


「ふふ。きっと喜ばれますよ」


     ◇


 午後、ヴァルデン子爵領の商人が持ち込んだ蜂蜜は、予想以上の人気を集めていた。


 アストレアの菓子店主がその蜂蜜を使った焼き菓子を販売したところ、客の評判がよかったのである。


「……これ、うちの店でも使えませんかね?」


 菓子店主の問いに、子爵領の商人は嬉しそうに頷いた。


「定期的に仕入れていただけるなら、ぜひお取引したいです」


 二人は商品の量と価格について話し始めた。


 少し離れた場所でその様子を見ていた張良は、穏やかに微笑んだ。


「……よい成果ですね」


 ナポレオンも頷いた。


「協定を結んだからといって、商売が生まれるとは限らん。だが、こうして実際に取引が始まれば、双方にとって協力する理由が増える」


 張良は、子爵領商人の反応や西門の通行状況を記録するようコルベールへ提案した。


 ナポレオンは警備担当者から報告を受け、荷車の待機場所が十分に機能していたかを確認する。大きな混雑はなかったものの、定期市の日には通常より搬入が集中することが分かった。


「次回は、出店者の搬入時間をさらに分散した方がよさそうだな」


「ええ。今日の経験を生かせば、より円滑に運営できるでしょう」


 張良は静かに頷いた。


 小さな催しだったが、交易と行政の両面で多くの成果を残し始めていた。


     ◇


 夕方、初めての定期市は無事に終了した。


 リカルドとセルジュが売上や商品数の記録を整理し、セシリアとエミリアは出店者たちから感想を聞いて回っていた。


 菓子店は予想以上に売れ、木工品の店は新しい注文を受けたという。子爵領の商人も蜂蜜の取引先を見つけ、満足そうに帰り支度を進めていた。


 もちろん、売れ残りが出た店もあった。しかし、どの店も次回への改善点を持ち帰ることができた。


 皇牙は広場の中央で、片づけを進める人々を眺めていた。


「……いやあ、楽しかったな!」


 隣に立つ巴が、穏やかに微笑む。


「はい。皆さんも喜ばれていたようです」


「五百人も超えたし、祭りも成功したし……今日は最高の日だぜ!」


 皇牙は満足そうに笑った。


 だが、その表情はすぐに少し真面目なものへ変わった。


「……でもさ。俺が最初にこの国を造ったとき、こんなに人が集まるなんて思ってなかったんだよな」


 巴は黙って耳を傾けた。


「城で昼寝して、ガチャ引いて、美味い飯食ってさ。それだけできれば十分だったのに……今じゃ、みんなが楽しそうにしてるのを見るのも悪くねえなって思うんだ」


 皇牙は夕日に照らされた広場を眺めた。


 屋台を片づける商人たちが笑い合い、職人たちは次の開催について話している。


 自分の思いつきが、多くの人の新しい楽しみになった。


「……なあ、巴」


「はい、殿」


「俺、この国を造ってよかったわ」


 その言葉に、巴は少しだけ目を見開いた。


 やがて、柔らかく微笑む。


「私も、殿とともにここまで来られて、嬉しく思います」


 皇牙は照れくさそうに頬をかいた。


「……へへっ。まあ、明日からはまた昼寝するけどな!」


「ふふ。それも殿らしいですね」


 二人の笑い声が、夕暮れの広場に静かに溶けていった。


 五百人を超えたアストレアは、小さな開拓地から、交易と暮らしが息づく街へと成長し始めていた。

お読みいただきありがとうございます。

ブックマークや評価をいただけると励みになります。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。