第五話 Fランクの墓掘り
その広間は、何かが突き破っていった後の静けさに包まれていた——誰も話さず、たった今通り過ぎていったものによって、誰もが並び直されたような静けさだった。
ヤガミは静かに柱の陰へと戻っていった。彼の周りの空間が、また閉じていく。
彼の中に積み重なっていた何かが——彼女が想像できるよりもずっと長い間——ついに外に出た。あとに残ったのは、その余韻だけだった。
肩が、わずかに下がる。握っていた手が開いた。
肩の傾きの中の何かが、違う重さへと落ち着いていった——もっと大きな何かのために家具を動かした後の、部屋の重さのような。
ミズキは、彼に言葉を向けられたときのまま、その場に立ち尽くしていた。顔は蒼白で、二人の間の床に目を落とし、そこに何か読み取るべきものがあるかのように探していた。
ヤガミのことは、一年の最初の週から知っていた——物静かで、その大部分を手の届かないどこかに置いているような静けさだった。無害に変わった人、とだけラベルを貼って、それ以上深く見ようとはしなかった。
そのヤガミ像は、もういなかった。そもそも存在していたのかすら、もうわからなかった。
私は何を見落としているんだろう。講義室で、すべてが崩れる前にも浮かんだのと同じ問いが、まだ答えのないまま浮かんだ。
ガン——ガン。
石を踏む、意図的な足音。部屋の方が譲るのが当然だと言わんばかりの足音だった。奥の重厚な樫の扉が、誰も触れた様子もないまま開いていく。
そして、彼が現れた。
ミズキは、彼女に唯一できるやり方でその姿を捉えた。背が高く、淡い色の髪を編んで後ろに流し、人の視線を集めるためだけに作られたような顔立ち。繰り返しの中で定位置を見つけた笑み。
「レオン」
その声は、努力の跡すら見せずに空間を満たした。温かく、確信に満ちた声——二度頼む必要など、一度もなかった人間の声だった。
「第一王子。軍の統括者だ」
前方の何人かの学生が、後で「そんな声出してない」と否定するような声を漏らした。誰かが何かを囁いたが、聞き取れなかった。恐怖はまだそこにあったが、少し光沢のあるコートを着ているだけだった。みんな、その光沢に手を伸ばした——そちらの方が掴みやすかったから。
ミズキは、それには手を伸ばさなかった。
横に目をやる。
ヤガミは柱の陰から、レオンを見ていた——難しい問題に取り組むときに見せる表情だった。表面の下にある構造を探るような目。レオンの顔と扉の衛兵たちの間を視線が行き来し、まるで見取り図でも作るように、彼の断片を目録に収めていく。
地図を作っているのかもしれない。彼女には外から読み取れない、何かの分類に振り分けているのかもしれない。
レオンの視線が集団を一巡する——慣れた、鷹揚な視線。長い繰り返しの中で身についた余裕。その視線がヤガミの上で止まり、予想外の何かを見つけた一瞬を、彼女は捉えた。ほとんど見えないほどの間。それから、視線は先へ移った。
「ついてこい」
レオンは、確認も待たずに背を向けた。「時間を無駄にする余裕はない」
廊下は長く、松明の光ではない何かに照らされていた——温かく、どこから来ているのか彼女には見当もつかない光だった。
壁は床から天井まで、フレスコ画で埋め尽くされていた。軍勢と、金の鎧をまとった人物たちが、凄まじい暴力の場面に閉じ込められている。その下を歩く者を押し潰すために作られたような絵だった。
学生たちは、まとまりのない、放心した塊となって進んでいく。何人かは壁に触れようと手を伸ばした。畏怖のざわめきが、泣き声の大部分に取って代わっていた。ある種の進歩だった。
ミズキは集団の中ほどを歩きながら、見ていた。
ヤガミは壁際を歩いていた。
そこを歩くのは、壁際からなら廊下の両端が見えるからだった——すべての入口、すべての出口が。
後方の席、隅の席。その傾向には前から気づいていた。なぜかと尋ねようと思ったことは、一度もなかった。おそらく古い恐怖が、その習慣を作り上げ、それを手放す理由を一度も見つけられなかったのだろう。
彼の目は、フレスコ画の上を、初日に講義室の座席表を追ったのと同じように動いていた——美しさよりも情報を求めて。どの戦いか、どの時代か、これを発注した者たちが人々に何を覚えさせたかったのか。
彼がふと目をやり、見られていることに気づいた。
彼女は視線を逸らさなかった。
彼の方が、逸らした。
玉座の間の扉は、開いたのではなかった。譲ったのだ——両方の扉が同時に、廊下へ空気を押し出すほどの重みを伴って開いていく。
ミズキはそこを通り抜け、立ち止まった。
天井は見えなかった。柱は、石が骨のような質感を帯びるほど古かった。あらゆる面がフレスコ画で覆われていたが、これらは装飾というより記録に近いものに見えた——王朝よりも長く残る、唯一の媒体に刻みつける必要があった何かのように。
奥の黒い玄武岩の上に、玉座があった。そこに座る男の顔には、四十年分の厳しい決断が刻まれていた。それはもう重さを量ることをやめた者が身にまとう刻み方だった。部屋の重力は、彼の上に乗っていながら、圧しているようには見えなかった。
傍らには、王女がいた。銀色の髪を、実用的な三つ編みで後ろにまとめている。肩当てには使い込まれた跡があった——その細部を、ミズキはどこに繋がるかもわからないまま、記憶の隅にしまい込んだ。
イリュリアの視線が、集団の上を機械的に動いていく。そして、ヤガミの上で止まった。
それは目録を取るような視線だった——収まるはずの枠に収まらない形に向ける、あの種の集中力。
ヤガミは、それに気づいた素振りすら見せなかった。
レオンが片膝をつく。「陛下。召喚されし者たちです」
王が立ち上がった。「異世界の子らよ」
言葉を、少しの間そのまま置いた。「今日より、汝らはこの世界の一部となる。この先の道は険しい」
意図的な間。「だが、それだけの価値があるやもしれぬ。今夜は休め。訓練は明日から始まる」
イリュリアが立ち上がった。「父上。慣例が」
王の表情が変わる——和らいだのではなく、調整されたのだった。「宴だな」
彼女は集団の方を向いた。声は平静で、明瞭だった。「汝らは、選択の余地なくここへ連れて来られた。最初の夜を恐怖で終わらせるべきではない。可能な限りの休息を与えるべきだ」
一拍。「だが、その前に——汝らが何者であるかを、知る必要がある」
彼女が指を鳴らした。
一人ひとりの前の空気が変わった。ミズキはそれを、見る前に感じた——気圧の変化、何かが焦点を結ぶ感覚——そして、画面がただそこにあった。半透明の青、書類のように無機質な。
【ステータス】
【名前】
ミズキ・アッカーマン
【レベル】
1
【ランク】
B
【クラス】
巫女
【能力値】
・筋力:――
・敏捷:――
・知覚:――
・体力:――
・知力:――
・魔力:――
【情報】
・年齢:――
・称号:――
・所属:――
・出身:――
【スキル】
・ロック中
【潜在能力】
規格外。
「これゲームなの!?」
「ランクBって何なの——」
「見て見て、私のこれ——」
部屋は一気に崩れた。三十人余りの声が、それぞれ自分の浮かぶ画面に答えを求めて叫び、誰もが自分の内側しか見ていなかった。
ミズキは自分の画面を一度だけ読んだ。巫女。文字は鋭く、青く迫ってくるようで、意味が通らなかった。その真下、スキルの欄には錠前のアイコンがあり、「ロック中」と刻まれていた。
その矛盾以上に考えを進める前に、右手に熱が走った。突然に、全身を巡るほどの熱。それは画面とは関係なく、自分の皮膚の下から来ていた。
頭が追いつくより先に、本能が指を握りしめていた。凝縮された白いエネルギーの刃が、鋭い音を立てて掌から迸り、石の床に強い光を投げかけた。
玉座のそばで、鋼が擦れる音がした——衛兵の手が、柄を探り当てた音だった。
玉座の傍らで、小さな手が一つ上がった。的確な仕草だった。
イリュリアは一言も発さなかった。それでも、衛兵の手は止まった。
ミズキは自分の掌の刃を見つめ、それから「巫女」という文字と、それに反する錠前を見た。心臓が肋骨に叩きつけられる。システムが嘘をついているか、あるいは単に、自分が何者かを把握していないかのどちらかだった。
息を無理やり吐き出し、自分の意志の流れを断ち切る。光が消えた。オゾンの匂いだけが、鋭く空気に残った。
王は動かなかった。イリュリアは動いていた——その注意は今、ミズキに向けられていた。機械的に、先ほどヤガミにしたのと同じように、彼女を目録に収めていく。
ミズキは画面を脇に置き、代わりに部屋全体へ意識を巡らせた。クラスの分布を目録に収め、その下に隠れているはずのパターンを探る。古い癖だった。抑えようがなかった。
探してもいないのに、外れ値を見つけた。
ヤガミは動いていなかった。彼の画面も、他の全員と同じように目の前に浮かんでいた。彼はそれを読んでいた。
彼女は部屋を横切った。
彼の画面には、こうあった——
【ステータス】
【名前】
ヤガミ・レン
【レベル】
1
【ランク】
F
【クラス】
墓掘り
【能力値】
・筋力:――
・敏捷:――
・知覚:――
・体力:――
・知力:――
・魔力:――
[データ取得不可]
【情報】
・年齢:19
・称号:――
・所属:――
・出身:異世界
【スキル】
・ロック中
・登録済みスキルツリーなし
【潜在能力】
[解読不能]
【システム注記】
生存可能な分類の中で最低ランク。
キャリア:未確定。
彼女は彼を見た。表情は平静だった。そこから読み取れるものは、何もなかった。
「墓掘り」
彼女はそう言った。
「ああ」
「それって——」
「一番ひどいやつらしい」
笑いになりかけて、なりきらなかった息を吐いた。「まあ、納得だ」
彼女は、彼が崩れるのを待った。崩れなかった。
彼は、彼女がまだ真似方すら知らない仕草で画面を消し、玉座の方を見上げた。イリュリアは、あの平坦な、記録するような視線をまだ彼に向けていた。彼はその視線を一秒だけ受け止め、それから逸らした——左の壁のフレスコ画へ。英雄たちと、討伐されている何か古いものが描かれていた。
「自分が壊れてるだけだと思ってた」
彼女にだけ聞こえるほど静かに言った。「ただ、早かっただけみたいだ」
その言葉は、前にも聞いたことがあった。講義室で、あの光が来る前に。
二度とも、同じ言い方だった——平坦で、しばらく抱えたまま、まだどうするか決めかねている事実のような。
周りの玉座の間では、三十人余りが、これからの人生を決定づける数字を見つめていた。興奮に目を輝かせる者もいれば、恐れる者はもっと多く、どちらの反応が正しいのか、まだ誰にもわからなかった。
ヤガミは両手を体の脇に下ろしたまま立っていた。特に何を見るでもなく、すでにみんなよりも先のどこかにいた。それを喜んでいる様子はなかった。一度も自分に有利に出たことのない計算を続け、もうそれを期待しなくなった者の、平坦で摩耗した表情だった。
待っているんだ、と彼女は気づいた——救出も、巻き戻しも、もう過ぎ去った先で。次に来る何かへ。




