乙女の闘い
先祖たちの魂が倉持に吸い込まれていく。
倉持はその想いをしかと自分の心に刻み込んだ。
倉持「もしもこれが物語なら…バトルものではなくて、ラブコメディでしょう… ラブコメの戦闘シーンは…需要がないですからね… でも、しっかりケリはつけさせてもらいましたよ」
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倉持が闘っている間、現実の世界では、すでに3日が経っていた。
その間に、倉持を救出する段取りは整えられていた。
淡島の神の境内には、溢れるほどのお金が収められていた。
ロリ「よくもまあ…これだけ…思いがこもったお金が集まったことだ…」
千秋「そりゃあそうだ… 私達が何年もかかって貯め込んできた…思いが詰まっているからな」
千秋はどや顔で、賽銭箱にお金を注ぎ込んだ。
倉持がラッキースケベの対価として、支払ってきたお金が次々と収められていく。
通りすがりでラッキースケベにあった人間も、ラッキースケベられた店員も、元同級生も、一度でも倉持のラッキースケベにあった人間が皆集まったのである。
呼びかけには愛里も一役かった。
他にもネットワークをたくさん持つ、宇美、三奈、ジョディ、学園長、赤井、桃井が中心となり、様々な人に呼びかけを行っていた。
その想いやお金が一気に集まったのだ。
さらにそのまま多くの人たちが境内に集まった。
溢れんばかりのに人がその場で、倉持の帰還を願った。
一方桜の木の周りにも多くの人が集まっていた。
香月、桜をはじめ、会社のメンバーや大学時代の知り合いたちが集結していた。
そして、シェアハウスにも…
紅葉はせっせと食事の準備をしていた。
そこには倉持の実の母である光と育ての母である花もいた。
光は病み上がりで歩けないながらも車イスを使い、花と共にやってきていた。
金剛も準備を手伝っていた。
由紀はソファに寝そべりながら声をかける。
由紀「…いいの? 向こうに行かなくて?」
紅葉「…いいのよ。だって帰って来るなら…居場所が必要でしょ?」
花「そうそう。明るい部屋に帰ってきたいもんだよ。 男ってのは」
金剛「そうだな…出迎える役っていうのも…必要だよ」
由紀「なるへそ」
紅葉「そういう由紀さんはいいの? どこにも行かなくて?」
由紀「んー?私? ああ…そうだな… 私はな…魔女なんだ」
花「?」
光は笑みを浮かべながら娘を見ていた。
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それだけではない
倉持家にも人は集まっていた。
これまで倉持に関わった人間の全てが、倉持を取り戻そうとしていた。
ミモザとミライも祈っていた。
手筈は整った。
以前よりもずっと強い想いが集結していた。
全員がモニターに集中した。
そのモニターの中央には、青野ハルが映し出された。
前髪はピンによって止められ
後ろ髪はシュシュによって束ねられていた
眼の横は赤く腫れていたが、その眼は堂々と凛としていて、そして力強かった。
青野に注目が集まる。
青野は息を深く吸い込み、心を鎮めてから、想いを告げた。
青野「皆さん…倉持さんは今頃、自分の心にあった呪いとの決着をつけるころです…その後、おそらく神様の元に沈んでいきます…私達は…その神様よりも強い想いで…倉持さんを引き上げなければ行きません…全力の想いを…今この時倉持さんにぶつけてください…そして…再び…倉持さんに会うんです!!!」
全員が静かにうなずいた。
青野「まずは…淡島の神様…香月先生…お願いします。以前と同じ要領で…倉持さんへと通ずる道を作ってください… 場所は以前と変わっているでしょう…探索は淡島の神様とこちらのツールで行います。その間、香月先生は道の維持をお願いします」
青野「全身全霊で立ち向かいましょう」
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その頃、倉持の意識は最奥まで落ちていた。
宇宙の果てにあった。
神のみが届く場所…
そこに倉持はあった。
だが、倉持は諦めていなかった。
自分を迎えに来てくれる存在がいるということを信じていた。
倉持は漆黒の世界の中、立ち上がり…右腕を上げて待っていた。




