ガイア
オリオンは身支度をしている。彼はこの国との決別を意識していた。自分の中でのヒロの存在は大きくなっており、彼女と国を天秤にかけたなら、今の自分にとっては考えるまでもなく、彼女へ傾いていた。
オリオンの部屋のドアがゆっくりと開く。その気配にオリオンは身構える。
「オリオン……」それは、女王ガイア、彼の母親であった。
「母上……」オリオンは膝まずく。
「あなたは、行くのですね」母は少し悲しそうな顔をする。
「はい、やはり僕は国を統治するよりも民達とこの世界を変えたい、そして……愛するヒロを助けたい」オリオンは目の前で拳を握りしめる。
「昼間のあなたを見て、その決意は解りました。私は自分の心を殺して兄である王と契りを交わしました。あの時……私を愛した人が今のあなたと同じように私を連れて逃げてくれたら……、きっと違う私がいたのでしょうね……」母ガイアは悲しそうにオリオンの部屋の窓から星空を見た。「あなたは自分の道を進みなさい。そして愛する人を救いなさい」彼女は言いながら鍵を一本オリオンに手渡した。
「これは?」オリオンは普段、物静かな母が情熱的に話す言葉に驚きを見せていた。
「さあ、私は知りません。王の部屋あった地下への鍵を王が無くしたのかも、王は物をよく無くす方ですから」母はニコリと笑った。
「母上……」オリオンはガイアの手を握ると涙を流した。「お元気で……」そう告げると、部屋を飛び出して地下へと向かった。




