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警察署内。
木下と森田は捜査資料室で、防犯カメラの映像を何度も確認していた。
モニターには、黒いパーカー姿の少年が映っている。
商品をポケットへ入れ、店を出た直後――。
姿が、一瞬で消える。
巻き戻す。
再生する。
結果は変わらない。
「何回見ても……消えてるよね」
森田が腕を組みながら首を傾げる。
「編集された映像には見えない」
木下は画面を見つめたまま呟く。
「う~ん。だとしたら、どういうこと……?」
その時だった。
コンコン。
軽いノックの後、部屋の扉が開く。
「君ら、若いのに残業?えらいねー」
アロハシャツ姿の金田が、ひょこっと顔を覗かせた。
「あっ、かねっち!」
森田が笑顔で手を振る。
「だから略すな」
木下がすかさず突っ込む。
「まぁまぁ」
金田は笑いながら二人のもとへ歩いてくる。
「で、何をそんな真剣な顔で見てるの?」
「かねっち、これどう思う?」
森田はモニターを指差した。
「ん〜? どれどれ」
金田は画面を覗き込み、黙って映像を最後まで見届ける。
部屋に沈黙が流れる。
木下も森田も、金田の反応を待っていた。
やがて金田は、小さく頷いた。
「……瞬間移動だね、これ」
あまりにも落ち着いた口調だった。
「瞬間移動?」
木下と森田が同時に声を上げる。
「そんな馬鹿な……」
木下は思わず言葉を漏らす。
金田は椅子に腰掛けると、二人を見回して微笑んだ。
「馬鹿な話だと思うでしょ?」
二人は黙って頷く。
「だけどね」
金田の表情から笑みが消える。
「僕はさ、慣れてるんだよ」
一拍置いて、静かに続けた。
「こういった……厄介な事件にはね」




