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木下と森田は手分けして捜査を始めた。
森田は周辺の住宅を一軒ずつ訪ね、水谷の目撃情報を集める。
「こんにちはー! 警察です! 少しだけお話を聞かせてもらってもいいですか?」
持ち前の明るさで住民に声を掛けていくが、有力な証言は得られなかった。
一方、木下は近くのコンビニへ向かい、店長に事情を説明していた。
「防犯カメラの映像を確認させていただけませんか」
店長はすぐに了承し、木下を事務所へ案内する。
木下はモニターの前に座り、昨日から現在までの映像を一つひとつ確認していく。
どれほど時間が経っただろうか。
事務所の扉が開き、森田が元気よく入ってきた。
「きのっち! 残念! こっちは収穫なし!」
「そうか……」
木下はモニターから目を離さない。
その時だった。
「……待て」
映像の中を歩く一人の少年に、木下の視線が止まる。
「これ……水谷くんじゃないか?」
森田も画面を覗き込む。
「ほんとだ……たぶん水谷くんだ」
今日の朝9時の頃の映像に映っていた少年は、制服ではなく黒いパーカーにジーンズ姿だった。
帽子を深く被り、顔ははっきり見えない。
しかし、その体格や歩き方は水谷とよく似ている。
二人は無言のまま映像を見つめる。
少年は店内を歩き回り、棚の商品をいくつか手に取る。
そして周囲を見渡すと――。
商品をそのままズボンのポケットへ滑り込ませた。
「!これって……万引きじゃ……」
森田が息を呑む。
木下も険しい表情で頷いた。
しかし、本当に異常だったのは、その直後だった。
少年が店内から出た、その瞬間――。
その姿が、跡形もなく消えた。
「なっ!?」
二人は同時に声を上げる。
木下はすぐに映像を巻き戻した。
もう一度再生する。
少年は商品をポケットへ入れ、店内を出て――消える。
もう一度。
もう一度。
何度見返しても結果は変わらない。
まるで瞬間移動でもしたかのように、少年は一瞬で画面から姿を消していた。
事務所に重い沈黙が流れる。
木下はゆっくりと立ち上がり、店長へ向き直った。
「この映像を捜査資料としてお借りしたいのですが、よろしいでしょうか」
「ええ、もちろんです」
店長は緊張した面持ちで頷く。
正式な手続きを済ませ、木下は防犯カメラの記録媒体を証拠品として受け取った。
「行くぞ」
「うん」
森田も真剣な表情で頷く。
二人は事務所を後にし、公用車へ乗り込んだ。
防犯カメラに映った、説明のつかない現象。
その映像の意味を確かめるため、木下と森田は警察署へと車を走らせた。




