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金田は肩をすくめながら笑った。
「ほんとに面白いね、僕にも君たちみたいな相棒がいたらなぁ~」
木下が首をかしげる。
「いつも、捜査はお一人で?」
「いーや。田口って男と組んでる」
金田は苦笑しながら頭をかいた。
「でも、あいつは単独行動が好きだから、僕もこうして一人で行動してるってわけ」
「田口さんって……あの田口さんと組んでるんですか!?捜査一課の!」
普段は無表情な木下の目が、驚くほど輝いた。
その反応に、金田は思わず笑う。
「そうだけど……君、あいつのファンかなにか?」
「はい!」
木下は迷うことなく頷いた。
「いつも熱い魂で事件と向き合う姿が本当にかっこよくて……、
まだそんなに話したことはないんですけど、田口さんは俺の憧れの人です」
「えっ、それ初耳なんだけど?」
森田が驚いたように木下を見る。
「お前に話しても、『ふーん』で終わらせるだけだろ」
「……確かに」
森田はあっさり認める。
そのやり取りに金田は吹き出した。
「はははっ!まるで漫才みたいだ」
笑いながら腕時計に目を落とすと、「あっ」と小さく声を漏らす。
「やばっ、もう行かなきゃ」
金田は二人に向かって軽く手を振った。
「じゃあ、またねー」
そう言い残すと、アロハシャツを揺らしながら足早に廊下の奥へと消えていった。
金田の姿が見えなくなると、森田は廊下をじっと見つめたまま呟いた。
「きのっち、あの人……只者じゃないよ」
「あ?」
木下は不思議そうに森田を見る。
「あの人さ、アロハシャツで出勤してるのに、誰も怒ったりしてないんだよ?」
「……」
「きっと、裏ではすごい立場の人なんだよ」
木下は少し考えたあと、口元をわずかに緩めた。
「お前もアロハシャツで出勤してみれば?案外怒られないかもしれない」
「え、ほんと?」
森田は目を輝かせる。
「じゃあ明日からアロハシャツ着て出勤する!」
「冗談だ。真に受けるな」
「えぇ~!」
森田は大げさに肩を落とす。
「せっかく南国ポリスになろうと思ったのに」
「南国ポリスってなんだよ」
二人は軽口を交わしながら駐車場へ向かい、公用車へ乗り込んだ。
目的地は、水谷の家。
昨日は父親に追い返され、話をすることができなかった。
今日こそ、彼の息子が同級生に暴力をふるったことを話さなければならない。
車を走らせ住宅街へ入り、あと数十メートルで目的の家が見えるという、その時だった。
――ドォォォンッ!!
腹の底まで響くような轟音が辺りを揺らした。
「っ!?」
木下は反射的にブレーキを踏み込む。
視線の先で、黒煙が勢いよく空へ立ち上っていく。
次の瞬間。
赤い炎が水谷の家全体を包み込んだ。
「え……?」
森田は目を見開いたまま言葉を失う。
「うそだろ……」
木下は呆然と呟く。
燃えている。
昨日までそこにあった、水谷の家が。
「森田!」
「は、はい!」
「消防に連絡! それと本部へ応援要請だ!」
「了解!」
森田は震える手で無線機を手に取る。
木下は公用車を路肩へ止めると、燃え盛る家へ向かって全力で駆け出した。




