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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第99話 選択の終点

北方同盟・前線都市ヴァルグリム。


夜明け前。


空はほとんど静かだった。


歪みは、わずかに残っているだけ。


だが――


完全には消えていない。



アルカが言う。


「……あと少しです」


カルディアが頷く。


「収束はしています」


ミヒャエルが言う。


「だがゼロにはならないな」


ラグスが笑う。


「当然だろ」


沈黙。



アルトはその“残り”を見ている。


小さな歪み。


小さな崩壊。


小さな選択。


(……消せる)


能力的には。


概念を書き換えればいい。


完全に。


誰も迷わないように。


誰も失わないように。



だが――


アルトは動かない。



アルカが気づく。


「……やらないんですか?」


沈黙。



カルディアも理解する。


「完全化は可能です」


ミヒャエルが言う。


「やれば終わる」


ラグスが笑う。


「楽だな」


沈黙。



アルトは言った。


「終わるだけだ」


空気が止まる。



アルトは空を見る。


「それは維持じゃない」


一拍。


「停止だ」


沈黙。



アルカが小さく言う。


「……じゃあ」


「どうするんですか」



アルトは答える。


「残す」


沈黙。



カルディアが問う。


「意図的にですか」


アルトは頷く。


「そうだ」


ミヒャエルが低く言う。


「リスクだな」


ラグスが笑う。


「面白いじゃねぇか」



アルトは言う。


「完全にすれば」


一拍。


「選ぶ必要がなくなる」


沈黙。



「だが」


「選ばない世界は」


一拍。


「人じゃない」



アルカが目を見開く。


カルディアが静かに頷く。


ミヒャエルが息を吐く。


ラグスが笑う。



アルトは続ける。


「だから」


一歩前に出る。


「ここで終わらせる」


沈黙。



アルカが震える。


「……終わらせる?」


アルトは答える。


「介入を」


空気が変わる。



カルディアが息を呑む。


「……離脱」


ミヒャエルが言う。


「管理をやめるのか」


ラグスが笑う。


「いいじゃねぇか」



アルトは言う。


「人に任せる」


沈黙。



その瞬間。


UIが展開される。


【接続:解除準備】

【維持構造:自律移行】


アルカが叫ぶ。


「待って!」


「それやったら……!」


カルディアが言う。


「制御がなくなります」


ミヒャエルが言う。


「崩れる可能性がある」



アルトは頷く。


「ある」


一拍。


「だからいい」


沈黙。



ラグスが笑う。


「最初からそれだろ」


アルトは小さく頷いた。



アルトは最後に空を見る。


人々を見る。


支え合う姿。


迷いながらも、手を伸ばす。



(……これでいい)



アルトは言った。


「終わりだ」



ドクン。


世界が一度、大きく揺れる。


接続が解ける。


アルトの中から、


“世界”が離れていく。



アルカが叫ぶ。


「……切れた!」


カルディアが言う。


「自律運用に移行」


ミヒャエルが呟く。


「……本当にやったか」


ラグスが笑う。


「これでいい」



世界は――


止まらなかった。



小さな崩壊は残る。


だが、


人が動く。


支える。


迷う。


選ぶ。



アルトはそれを見る。


ただ、それだけ。



アルカが小さく言う。


「……大丈夫ですか」


アルトは答える。


「分からない」


一拍。


「だから任せる」



朝日が昇る。


光が差し込む。


歪みは、ほとんど見えない。


だが完全ではない。



それでいい。



物語は次で――


終わる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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