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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第98話 カイネスの答え

北方同盟・前線都市ヴァルグリム。


静寂。


人々は疲弊している。


支え合いは続いている。


だが――


長くは持たない。


誰の目にも明らかだった。



カイネスは、その光景を見ていた。


「……これが現実だ」


小さく呟く。


アルトを見ずに言う。


「終わらせるべき理由が、分かっただろう」


沈黙。



アルトは答える。


「分かった」


カイネスがわずかに笑う。


「なら」


アルトは続けた。


「それでも終わらせない」


沈黙。



カイネスの表情が変わる。


怒りではない。


困惑でもない。


「……なぜだ」


初めての問い。



アルトは言う。


「終わりは楽だ」


一拍。


「維持は苦しい」


カイネスは黙っている。


アルトは続ける。


「だからこそ選ぶ意味がある」


沈黙。



カイネスは静かに笑う。


「……理解できないな」


一歩前に出る。


「苦しみを選ぶ理由が」


アルトは言う。


「選べるからだ」



空気が変わる。


リシアが息を呑む。


アルカが見つめる。


カルディアが静かに聞いている。


ミヒャエルが腕を組む。


ラグスが笑う。



アルトは言った。


「お前は」


「壊れるしかない世界を見た」


カイネスの目が揺れる。


「だから終わらせた」


一拍。


「でも」


アルトは一歩前に出る。


「今は違う」


沈黙。



カイネスは何も言わない。


アルトは続ける。


「終わらなくてもいい世界を見た」


沈黙。



その言葉が、刺さる。


カイネスの身体が、わずかに揺れる。


光が滲む。


崩壊ではない。


“迷い”。



カイネスは小さく呟く。


「……それでも」


一拍。


「苦しい」


アルトは答える。


「そうだ」


沈黙。



「だから」


アルトは言う。


「一人でやるな」


空気が止まる。



カイネスが目を見開く。


初めて。


完全に。



アルトは言った。


「お前もだ」


沈黙。



カイネスの中で、何かが崩れる。


今までとは違う。


壊れるのではなく――


ほどける。



カイネスは笑う。


だがその笑いは、弱い。


「……遅い」


一歩、後ろに下がる。


「遅すぎる」


沈黙。



アルトは言う。


「それでもいい」


一拍。


「今からだ」



カイネスはしばらくアルトを見ていた。


そして――


視線を外す。



街を見る。


支え合う人々。


疲れながらも、続けている。



カイネスは小さく言った。


「……理解はできない」


沈黙。



「だが」


一拍。


「否定もしない」


空気が変わる。



ラグスが笑う。


「それでいいだろ」


ミヒャエルが頷く。


「十分だ」


カルディアが静かに言う。


「思想の停止ではありません」


アルカが小さく笑う。


「……仲間?」


カイネスは即座に言う。


「違う」


だが、その声は弱い。



カイネスは背を向ける。


「私は選ばない」


一拍。


「だが」


振り返らずに言う。


「お前たちの選択は」


沈黙。



「観る」


空間が揺れる。


そして――消える。



静寂。


ラグスが吐き出す。


「……終わったか?」


ミヒャエルが首を振る。


「いや」


カルディアが言う。


「終わっていません」


アルカが言う。


「……でも」


一拍。


「変わりました」



アルトは空を見上げる。


歪みは、ほぼ消えている。


だが――


完全ではない。



アルトは言った。


「最後だ」


沈黙。



まだ残っている。


小さな歪み。


小さな崩壊。


小さな選択。



それをどうするか。


それが――


本当の答えになる。



物語は次で、


すべてが決まる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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