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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第97話 限界の重さ

北方同盟・前線都市ヴァルグリム。


夜。


街は静かだった。


だが、それは安らぎではない。


“疲労”の静けさだった。



アルカが座り込んでいる。


観測器はまだ動いている。


だが手が止まる。


「……はぁ」


息が重い。


カルディアが近づく。


「休んでください」


アルカは首を振る。


「……まだ、終わってない」


だがその声に力はない。



ミヒャエルが周囲を見る。


人々は支え合っている。


だが――


明らかに疲弊している。


誰かが倒れれば、また誰かが支える。


終わらない循環。


「……消耗戦だな」



ラグスが壁にもたれる。


「いい感じだったんだけどな」


一拍。


「長くは持たねぇ」



その時。


一人の男が崩れ落ちる。


崩壊ではない。


ただの――


疲労。


だが、その瞬間。


近くの人間が一瞬躊躇する。



「……え」


ほんの一瞬。


その間に、揺らぐ。


ドクン。


光が滲む。



アルカが叫ぶ。


「……ダメ!」


駆け出す。


だが――


遅い。


男は崩壊しかける。



その瞬間。


別の人間が飛び込む。


「俺がやる!」


触れる。


支える。


戻る。



アルカが膝をつく。


「……また」


ラグスが低く言う。


「ギリギリだな」


ミヒャエルが言う。


「余裕がない」


カルディアが言う。


「維持が負担になっています」


沈黙。



アルトはそれを見ていた。


(……これが限界か)


維持はできる。


だが――


続かない。



アルカが震える声で言う。


「……これ、ずっと続くんですか」


誰も答えない。



ミヒャエルが言う。


「人は無限じゃない」


ラグスが言う。


「そりゃそうだ」


カルディアが言う。


「負荷は蓄積します」


一拍。


「必ず破綻します」


沈黙。



アルカが顔を上げる。


「……じゃあ」


「どうすればいいんですか」


沈黙。



アルトは言った。


「……減らす」


ラグスが聞く。


「何をだ」


「維持の負担を」


カルディアが言う。


「どうやって」


アルトは答えない。



その時。


空間が揺れる。


ラグスが笑う。


「……来たな」



カイネスが現れる。


だが――


前とは違う。


完全に崩れていない。


だが完全に戻ってもいない。


中間。



カイネスは静かに言う。


「見ただろう」


街を見渡す。


「限界だ」


沈黙。



アルトは言う。


「まだだ」


カイネスは首を振る。


「違う」


一歩前に出る。


「もう始まっている」


沈黙。



カイネスは指を指す。


人々。


疲弊。


躊躇。


「崩壊は止まっていない」


一拍。


「形を変えただけだ」


空気が重くなる。



アルカが震える。


「……そんな」


カルディアが静かに言う。


「正しいです」


ミヒャエルが低く言う。


「別の形の崩壊だな」


ラグスが吐き捨てる。


「クソみたいな話だな」



カイネスはアルトを見る。


「だから言った」


「終わらせるべきだと」


沈黙。



アルトは答える。


「違う」


カイネスが問う。


「何がだ」


アルトは言う。


「まだ足りない」


一歩前に出る。


「だが」


一拍。


「答えはある」


沈黙。



カイネスは静かに見ている。


「……なら見せろ」


一歩下がる。


「最後だ」


空間が揺れる。


だが消えない。


その場にいる。



ラグスが笑う。


「逃げねぇのか」


カイネスは答える。


「観る」


一拍。


「お前の“最後”を」



アルトは空を見る。


歪みは、まだ残っている。


人も、限界に近い。


(……ここで決める)



アルトは静かに言った。


「強制はしない」


沈黙。


カルディアが息を呑む。


アルカが見つめる。


ミヒャエルが黙る。


ラグスが笑う。


カイネスが目を細める。



「だが」


一歩前に出る。


「任せる」


沈黙。



世界が、わずかに揺れた。


物語はここから、


「最後の選択」に入る。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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