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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第90話 全域接続

北方同盟・前線都市ヴァルグリム。


都市が軋んでいる。


崩壊と維持が、同時に発生している。


ドクン。

ドクン。


世界の鼓動と、

人の叫びが重なる。


アルカが叫ぶ。


「限界です!」

「補助構造、飽和!」


カルディアが言う。


「局所対応では追いつかない!」


ミヒャエルが歯を食いしばる。


「崩れるぞ!」


ラグスが笑う。


「なら上げるしかねぇな」


全員の視線が、アルトに集まる。



アルトは静かに立っていた。


目の前には、崩壊。


背後には、維持。


そして中央に――


カイネス。


(……足りない)


理解している。


今の構造では、

“間に合う範囲”に限界がある。


(なら)


一拍。


(範囲そのものを変える)



アルトは言った。


「全域接続に入る」


沈黙。


アルカが息を呑む。


「……それって」


カルディアが低く言う。


「都市単位ではない」


ミヒャエルが理解する。


「……領域全体か」


ラグスが笑う。


「やっと本番だな」



カイネスが興味深そうに言う。


「ほう」


一歩前に出る。


「できるのか?」


アルトは答えない。


ただ、手を広げる。



UIが展開される。


【接続範囲:拡張】

【対象:地域単位→広域】

【負荷:臨界】


(……超える)


アルトは静かに息を吐く。


「やる」



その瞬間。


世界が、繋がる。


ドクン!!!


鼓動が跳ねる。


地面。

空間。

人。


すべてに線が走る。


都市を越えて、

周辺領域へ。


さらにその外へ。


アルカが叫ぶ。


「……広がってる!」


カルディアが言う。


「範囲……拡張中!」


ミヒャエルが驚く。


「止まらないぞ……!」



光は見えない。


だが感じる。


“繋がっている”。


人と人が。


意識と意識が。


完全ではない。


だが確実に――


“届く”。



崩壊していた人々の動きが変わる。


完全崩壊に至らない。


支えられている。


アルカが震える。


「……止まってる」


カルディアが言う。


「全体で支えている」


ミヒャエルが呟く。


「個じゃない……」


「集合でもない」


ラグスが笑う。


「中間だな」



アルトは立っている。


だが――


明らかに負荷がかかっている。


UIが警告を出す。


【負荷:限界超過】

【個体境界:崩壊リスク】


(……重い)


意識が揺れる。


自分と他人の境界が曖昧になる。


(……持て)


歯を食いしばる。



アルカが叫ぶ。


「アルト!」


カルディアが言う。


「危険です!」


ミヒャエルが言う。


「やりすぎだ!」


ラグスが笑う。


「でも止めねぇだろ?」


アルトは答えない。



カイネスが、その姿を見て笑う。


「いいな」


一拍。


「壊れかけている」


アルトを見る。


「それが本質だ」


沈黙。



カイネスが両手を広げる。


「見ろ」


ドクン!!


彼の周囲で、

さらに深い崩壊が発生する。


今までより強い。


速い。


アルカが叫ぶ。


「また増えた!」


カルディアが言う。


「全域でも追いつかない!」


ミヒャエルが叫ぶ。


「押し切られる!」



アルトは目を閉じる。


(……まだ足りない)


一拍。


(繋ぐだけじゃダメだ)


理解する。


“受動”では維持できない。


必要なのは――


(……主導)



アルトのUIが変化する。


【新機能:未解放】

【条件:定義拡張】


アルトの目が開く。


(……ここか)



アルトは言った。


「定義を拡張する」


全員が息を呑む。


カルディアが呟く。


「……さらに?」


アルカが震える。


「これ以上……?」


ラグスが笑う。


「やるしかねぇだろ」


ミヒャエルが言う。


「決めろ」



アルトはカイネスを見る。


「お前は言ったな」


一拍。


「壊れるのが本質だと」


カイネスが笑う。


「そうだ」


アルトは答える。


「なら」


沈黙。


「壊れない形にする」


空気が変わる。



カイネスの笑みが深くなる。


「……やってみろ」


ドクン。


世界が揺れる。


アルトは一歩、踏み出す。


「次で」


一拍。


「決める」



全域接続は完成した。


だが――


それでも足りない。


物語はここから、


「存在の再定義」へと踏み込む。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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