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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第89話 拡張される維持

北方同盟・前線都市ヴァルグリム。


歪みは消えていない。


だが――


「持ちこたえてる……」


アルカが呟く。


観測器の中で、崩壊しかけた個体が

“完全崩壊に至らず”踏みとどまっている。


カルディアが言う。


「補助構造が機能しています」


ミヒャエルが腕を組む。


「猶予ができたな」


ラグスが笑う。


「ならやることは一つだ」


アルトを見る。


「増やすんだろ?」


アルトは頷いた。


「ああ」



アルトは再び地面に手を置く。


だが今回は違う。


一点ではない。


“街全体”。


UIが展開される。


【補助構造:範囲拡張】

【対象:都市単位】

【負荷:極大】


(……ギリギリだな)


アルトは息を吐く。


「行くぞ」



ドクン。


光が広がる。


地面。

建物。

空間。


すべてに“細い線”が走る。


それは目に見えない。


だが確実に――


“繋がった”。


アルカが叫ぶ。


「範囲……拡張!」


カルディアが言う。


「都市全域に展開確認」


ミヒャエルが驚く。


「ここまでやるか」


ラグスが笑う。


「やるしかねぇだろ」



その瞬間。


別の場所で崩壊が発生する。


だが――


即座に“止まる”。


アルカが震える。


「……自動で抑えてる」


カルディアが言う。


「完全ではない」


「だが」


一拍。


「崩壊速度を大幅に低下させている」



アルトは言う。


「これで」


「人が間に合う」


ミヒャエルが頷く。


「戦えるな」



その時。


兵士の一人が近づいてきた。


震えた声。


「……あの」


アルトたちを見る。


「さっきの……」


言葉が続かない。


アルカが優しく言う。


「大丈夫です」


「今は持ちこたえられます」


兵士は戸惑う。


「……どうすれば」


沈黙。



アルトが言った。


「触れろ」


全員が見る。


アルトは続ける。


「崩壊しかけている者に」


「触れて、呼びかけろ」


兵士が驚く。


「それだけで……?」


「十分だ」


一拍。


「支えになる」



兵士は迷う。


だが――


走った。


崩壊しかけた仲間の元へ。


震える手で、肩に触れる。


「戻れ……!」


「戻ってこい!」



ドクン。


光が揺れる。


だが崩れない。


アルカが叫ぶ。


「還流率、維持!」


カルディアが言う。


「成立しています」


ミヒャエルが呟く。


「……本当に誰でもできるのか」


ラグスが笑う。


「だから言ったろ」



兵士が振り返る。


涙を流しながら叫ぶ。


「……戻った!」


歓声が上がる。


周囲の空気が変わる。


絶望から――


希望へ。



アルカが小さく言う。


「……広がってる」


カルディアが頷く。


「はい」


「維持が“共有”され始めています」


ミヒャエルが言う。


「システムだけじゃない」


「人だな」


アルトは静かに言った。


「それでいい」



だがその時。


遠くの空間が、再び歪む。


今までとは違う。


もっと強い。


もっと深い。


アルカが叫ぶ。


「高深度反応!」


カルディアが言う。


「さっきの比じゃない!」


ラグスが笑う。


「来たな」



空間の中心。


そこに現れる。


カイネス。


だが――


その姿は変わっていた。


身体の一部が完全に光に侵食されている。


人と、崩壊の中間。


アルカが震える。


「……あれ」


ミヒャエルが低く言う。


「完全に踏み込んでるな」


カルディアが言う。


「自発的な中途接続」


沈黙。



カイネスが笑う。


「いいな」


街を見渡す。


「広げたか」


アルトを見る。


「だが」


一歩前に出る。


「それで止まると思うな」



ドクン!!


周囲の空間が一気に歪む。


今までとは桁が違う。


複数箇所で同時崩壊。


アルカが叫ぶ。


「都市全域同時発生!」


カルディアが言う。


「補助構造が追いつかない!」


ミヒャエルが叫ぶ。


「限界か!」



カイネスが笑う。


「これが“数”だ」


一拍。


「維持できるか?」


沈黙。



アルトは前に出る。


「やる」


ラグスが笑う。


「当然だな」


アルカが震えながら頷く。


「……やります」


カルディアが静かに言う。


「全体最適に切り替えます」


ミヒャエルが言う。


「指揮を取る」



都市全体が揺れる。


崩壊。

維持。

崩壊。

維持。


せめぎ合い。


アルトは目を閉じる。


(……足りない)


一拍。


(もっとだ)



UIが、静かに反応する。


【拡張可能領域:検出】

【未使用リソース:存在】


アルトの目が開く。


(……まだある)



アルトは言った。


「もう一段階、上げる」


全員が息を呑む。


ラグスが笑う。


「来たな」


アルカが震える。


「まだあるんですか……」


カルディアが静かに言う。


「やるしかありません」


ミヒャエルが頷く。


「決めろ」



アルトは世界を見る。


崩れかけた人。

支える人。

広がる維持。


そして――


歪みの中心にいる男。


カイネス。


アルトは言った。


「全域接続に入る」


沈黙。



世界が――


次の段階へ進もうとしていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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