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スキルなしと追放された俺、辺境で目覚めたのは〈領域支配〉だった 〜帝都が気づいた時には、もう遅い〜  作者: 影山クロウ


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第79話 異質反応

第三階層・世界核外殻。


新しい鼓動は、確かに安定し始めていた。


ドクン。

ドクン。


双方向接続によって生まれた“還流”。


三百年前に失われたはずの“戻る道”。


アルカが震える声で言う。


「還流率……四十二%」

「まだ不安定ですが……成立しています」


ミヒャエルが呟く。


「歴史が変わるな……」


ラグスが笑う。


「もう変わってるだろ」


カルディアは静かにアルトを見ていた。


「あなたは」


一拍。


「文明の構造を書き換えました」


沈黙。


だがその空気を――


次の瞬間、すべてが塗り替えた。



ドクン――


違う。


今のは違う。


鼓動ではない。


“音”ではない。


アルカが凍りつく。


「……え?」


観測器が、あり得ない挙動を示していた。


波形が崩れている。


周期がない。


数値が意味を失っている。


「なに……これ」


ミヒャエルが顔を上げる。


「振動か?」


「違う……」


アルカの声が震える。


「これは振動じゃない」


一拍。


「定義できません」


沈黙。



カルディアが即座に動いた。


「測定対象を切り替えて」


「深層、さらに下層へ」


アルカが操作する。


だが――


「……反応がない」


「いや、ある」


「でも」


ラグスが苛立つ。


「はっきり言え」


アルカは言った。


「“位置が存在しない”」


沈黙。



ゼノスの表情が、初めて明確に変わった。


「……早い」


アルトが問う。


「何がだ」


ゼノスは、世界核のさらに奥を見ていた。


その視線は、今までとは違う。


理解している者の目ではない。


警戒する者の目だ。


「原初接続者ではない」


沈黙。


「これは」


一拍。


「もっと古い」



ドクン。


いや、違う。


それは“鼓動”ではない。


空間が一瞬だけ歪んだ。


音もなく。


前触れもなく。


ただ――


“世界のルールがズレた”。


アルトの視界の端で、UIが暴走する。


【未知領域検出】

【分類不能】

【干渉不可】


(干渉できない……?)


初めてだった。


アルトの能力が、“対象を定義できない”。



ラグスが一歩前に出る。


「来るぞ」


誰も何も見ていない。


だが全員が理解している。


“何か”がいる。


カルディアが低く言う。


「これは……存在ではない」


アルカが震える。


「じゃあ、何なんですか」


カルディアは答えなかった。


答えられなかった。



世界核の外殻が、ゆっくりと歪む。


光が乱れる。


双方向接続で整い始めていた流れが、


一瞬で“意味を失う”。


ゼノスが呟いた。


「……干渉されている」


アルトが言う。


「誰に」


ゼノスは答えた。


「“設計者ではないもの”に」


沈黙。



その時。


アルトの意識に、何かが触れた。


言葉ではない。


意思でもない。


ただ――


「……?」


認識しようとした瞬間、消える。


だが確実に存在する。


“観測できない存在”。


UIが一瞬だけ反応する。


【原初層 接触】

【警告:定義不能存在】


(原初……)



アルカが叫ぶ。


「世界核の構造が崩れています!」


カルディアが否定する。


「違う」


「崩れていない」


一拍。


「書き換えられている」


ラグスが歯を食いしばる。


「誰がそんなことできる」


アルトは静かに言った。


「……俺じゃない」


沈黙。



ゼノスがゆっくりと息を吐いた。


「来てしまった」


アルトが問う。


「何だ」


ゼノスは、初めて明確な言葉で言った。


「原初存在」


空気が凍る。


アルカが呟く。


「……それは」


カルディアが低く言う。


「世界核の“元”」


ゼノスが続ける。


「人類が触れてはいけなかった領域」


ドクン。


世界核が歪む。


新しい鼓動。


いや、違う。


“鼓動ではない何か”。



アルトは静かに言った。


「出てこい」


沈黙。


応答はない。


だが――


世界が、わずかに“ズレた”。


その瞬間。


全員の視界に、同時に“それ”が映った。


形はない。


色もない。


だが、確実に“そこにある”。


理解できない。


認識できない。


それでも分かる。


「……いる」


ラグスが呟く。


アルカは言葉を失う。


カルディアは目を見開く。


ゼノスは、静かに言った。


「エイドス」


沈黙。


世界のさらに奥。


文明のさらに外側。


存在の定義すら超えた“何か”が、


今、目を覚ました。


物語はついに――


“人類の外側”へ踏み込んだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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